犬蓼(イヌタデ) 赤まんま

犬蓼(イヌタデ)は、タデ科イヌタデ属の一年草。俗称として赤まんま(あかまんま)、アカノマンマ、赤ままと呼ばれます。草丈は20~50cm。自生環境は、道端や野原。イヌタデの茎は紅紫色で茎の基部は横に這い、多く枝分かれして小さな集団を作ります。茎の先はやや立ち、葉は楕円形で葉先はゆるやかに細くなります。托葉鞘の縁に長い剛毛があります。

イヌタデは、夏から秋にかけて、紅紫色の細かな花が集まった小さな穂を出しますが、イヌタデの花は花弁がなく、紅紫色の部分は萼です。秋に茎の先端から穂を出し、桃色の花を密につけます。花被片は5枚です。花より真っ赤な果実が目立ちます。果実は花被片の桃色が最後まで残ります。種は黒で光沢があり、三稜形です。

この「赤まんま」ことイヌタデは、高浜虚子氏によって、新・秋の七草として選定されました。

学名: Persicaria longiseta

イヌタデの赤い花穂

イヌタデ(犬蓼)、は俗称として「赤まんま(あかまんま)」「アカノマンマ」「赤まま」と呼ばれます。「赤まんま」「赤まま」は、粒状をした花(薄片)に包まれた実を赤飯にみたてた名前で、昔の子どもが「ままごと遊び」などで、この花を葉の器に盛ったりしていたことに由来するようです。

イヌタデの「イヌ」は、「似て非なるもの」という意味があります。

タデ科タデ属は世界に200種、日本に自生しているものは約50種で、そのうち食べて辛味がするものはただ一種、川岸、湿地などの水辺に生える柳蓼(ヤナギタデ)とその変種・品種です。

イヌタデ(犬蓼)の名の由来と他の蓼

和名のイヌタデは「ヤナギタデ」に対し、葉に辛味がなくて役に立たず、ヤナギタデに似て非なるものとして、この名がついたようです。しかしながら、春蓼(ハルタデ)、桜蓼(サクラタデ)、愚鈍蓼(ボントクタデ)、大毛蓼(オオケタデ)など、他の種類も、タデと名がつくものの茎や葉は辛くないようです。

ヤナギタデと違い、似て非なる役立たずと言われながらも、イヌタデの茎や葉は煎じて解毒剤や駆虫剤としてつかわれるようで、さらに薬効として胃潰瘍にも効くようです。

タデ科植物の見分け「托葉鞘」

タデ科植物の見分けの方法として、「托葉鞘(たくようしょう)」と呼ばれる葉の根元の茎を包んでいる部分を確認するという方法があります。

犬蓼(イヌタデ)は托葉鞘の縁に生えている毛が長く、柳蓼(ヤナギタデ)は短毛、大犬蓼(オオイヌタデ)は縁に毛が生えないなどの特徴があります。

ヤナギタデ

ヤナギタデ(柳蓼、学名: Persicaria hydropiper)は、イヌタデと同じくタデ科の一年草で、自生環境は、水田湿地、河原など。草丈40~60cm。秋のころ枝先に穂状の花穂を出し、少し紅色を帯びた宿存萼(しゅくぞんがく)のある白色小花をややまばらにつける。花被片は5枚で腺点があります。托葉鞘は筒状で茶褐色、短い毛が密生し、縁に長い剛毛があります。変種なども多く、、この系統はすべて全草に辛味かあるため、香辛料としての需要が多いようです。品種として紫蓼(ムラサキタデ)、青蓼(アオタデ)、麻布蓼(アザブタデ)、細葉蓼(ホソバタデ)、など一部の品種は周年栽培されているようです。

以下のことわざはヤナギタデの辛さから。

  • タデ食う虫も好き好き
  • タデ食う虫は辛さをしらず

タデ科

Category:植物

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