「死苦」死ぬ苦しみ

「死苦」死ぬ苦しみについて触れていきます。四苦八苦の四苦「生老病死」の最後の苦しみである死の苦しみです。死の苦しみについて哲学的に書いていきます。 死苦(しく)とは、死ぬ苦しみ、死の苦しみでありながら、死を迎えることからは逃れられないということを示しています。そして、死苦は、死ぬ苦しみ、死の苦しみであると言いながらも、死そのものは経験し得ないため、より厳密に考えると「死に対する恐怖」や「死にたくないという思い」から起こる苦しみを意味します。裏を返せばこの生や生命への執著がもたらす苦しみです。 まず、哲学的に考えると

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「病苦」病の苦しみ

「病苦」病の苦しみについて触れていきます。語るまでもなく病については、ダイレクトに苦しく、痛かったりしんどかったりするので誰しもが実感を持つものだと思います。ただ、「四苦八苦シリーズ」なので触れざるを得ないため、あえて哲学テーマとして、この「病苦」について考えてみましょう。 病苦(びょうく)とは、病の時、病気の時の苦しさでありながら、そうした病に冒されることからは逃れられないという意味で「思い通りにはならない」という苦しみになります。四苦八苦の3番目の苦しみです。 老苦においても、「病に冒されやすくなる」という側面

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ファン効果とHAMモデル

ファン(fan)とは同一の概念が出現する文の数であり、ファン効果(fan effect)とは、文などの自然言語の記憶における干渉現象で、概念と事実を示す文を多く記銘するほど、概念と事実を含む文の検索が難しくなり、再認に要する時間が長くなるという効果。ファン効果の現象のメカニズムはHAMモデルなどによって説明されている。 「意味を厳密に示すために、しっかりと表現しなければならない」といった感じで、お役人が好きそうな文章の表現は、検索を難しくし、混乱を招くという良い例である。 ファン効果の混乱の例 ファン効果は、単語を

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ブローカ-ズルツァー効果

ブローカ-ズルツァー効果(Broca-Sulzer effect)とは、閾上の明るさ知覚において、同じ輝度であれば、2秒間呈示される場合よりも、短時間呈示の方が明るく感じられる傾向があり、50~120ミリ秒付近でピークが生じるという効果。明るさ知覚において、光化学反応のブンゼン-ロスコーの法則、光覚閾におけるブロックの法則から予測される輝度以上の効果を持つ場合を示す。ブローカ-ズルツァー効果の名称は、ブローカ氏(Broca)とズルツァー(Sulzer)氏から。 ブローカ-ズルツァー効果は、単純には光の強さ、明るさが

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ブンゼン-ロスコーの法則とブロックの法則

ブンゼン-ロスコーの法則(Bunsen-Roscoe law)とは、光化学変化に関する法則で、「光の強度と呈示時間とは相補的な関係にある」という法則である。感光物質に及ぼす光の影響はその光の強度「I」と呈示時間「t」の積「I×t」となる。 ある限定された範囲で視覚系の感光物質にも、これと類似した関係が成り立つ。これが定式化されたのがブロックの法則である。 ブロックの法則 ブロックの法則(Bloch’s law)とは、光覚閾の時間的加重に関する法則で、呈示時間の増加に比例して光覚閾は低下すると予測する法則

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アンスバッハー効果

アンスバッハー効果(Ansbacher effect)とは、対象の運動速度によって、対象の見えの大きさ(長さ)が異なって知覚される現象のことである。回転する円盤において見える円弧は、ある回転速度以上になると完全な円と知覚されるが、円弧の見かけの長さは、回転速度が増すに伴いしだいにより短縮されて見えてくる。これがアンスバッハー効果である。なお、見かけの短縮の程度は図形の形状によって異なる。 アンスバッハー効果の名称は、アンスバッハー氏(Ansbacher)から。このアンスバッハー効果はひとまずレコードのような円盤をく

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パヌム現象

パヌム現象(Panum’s limiting case)とは、両眼立体視の現象である。パヌム(Panum,P.L.)により1858年に報告されたことからパヌム現象と呼ばれる。 例えば、左眼に2本の垂直線分、右眼に1本の垂直線分を呈示し、これを両眼視すると通常2本の線分が知覚され、右側の線分が左側の線分よりも手前に奥行きをもって知覚されるといった現象が起こる。これがパヌム現象である。 マッハの帯 マッカロー効果 クレイク-オブライエン効果(コーンスウィート錯視) 心理学 一覧 関連しているかもしれない記事

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不安-解放条件づけ(不安-安心条件づけ)

不安-解放条件づけ(不安-安心条件づけ/anxiety-relief conditioning)とは、電気刺激法を用いた行動療法の技法の一つで、電流刺激を与え不快感が限界値に達した時に「落ち着いている」といった言葉を出してもらい、電流刺激を止めることで「解放・安心」と言葉を関連付ける「条件づけ」のことである。結果「落ち着いている」という言葉と「嫌悪感からの解放」・「心身の安心感」を条件づけることを目的とする。 不安-解放条件づけのプロセス 不安-解放条件づけのプロセスは次のような形になる。 まず、対象者の腕などに電

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レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ・パブロフ型条件づけ)

レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ・パブロフ型条件づけ)

レスポンデント条件づけ(respondent conditioning)とは、「特定のレスポンデント行動を誘発する無条件刺激」と「レスポンデント強化」によって、条件刺激単独でその「レスポンデント行動の誘発」が可能となるように条件づける操作、過程のこと。「レスポンデント(respondent)」とは、応答や反応を意味する。なお、古典的条件づけ、パブロフ型条件づけもほぼ同様の条件づけである。条件刺激の呈示後に無条件刺激を対呈示することにより、条件反応を形成するものを意味する。 特定のレスポンデント行動を誘発する無条件刺

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オペラント条件づけ

オペラント条件づけ

オペラント条件づけ(operant conditioning/操作時条件づけ、道具的条件づけ)とは、人間を含めた動物が、自発した反応の直後に特定の刺激(報酬など)を与えることで、その反応(自発した反応)が生起する頻度を変化させる条件づけ。アメリカの心理学者ジョン・ワトソン氏(John Broadus Watson)およびバラス・スキナー氏(Burrhus Frederic Skinner)より。なお最初期の実験は、アメリカの心理学者のソーンダイク氏(Edward L. Thorndike)によって行われた19世紀末

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分化条件づけ(分別学習)

分化条件づけ(分別学習)

分化条件づけ(differential conditioning/弁別学習)とは、ある刺激の呈示に対しては強化しながら、別の刺激呈示に対しては強化しないという手続による条件づけである。「分別」を示すことから弁別学習とも呼ばれる。 「強化された刺激下」で反応が生じるように、「強化されない方の刺激下」では反応が生じなくなるように条件づけをするというのが分化条件づけである。分化条件づけにおいて、強化されない方の刺激下の制止を分化制止と呼ぶ。 分化と般化 分化は、2つの刺激呈示において、一方に無条件刺激を伴わせ、もう一方に

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内制止

内制止(internal inhibition)とは、消去手続により形成される積極的な制止過程のことで、反応を生じさせないようにと働く生体の積極的な抑制作用のことである。内制止は、パブロフ氏が用いた概念で、消去による反応の減衰は自発的回復や脱制止の現象を考えれば単純な興奮過程の減衰ではなく、反応を積極的に制止する内的過程の発達によるとされた。 条件づけにおける消去と自発的回復 ここでいう「条件づけ」における消去とは、条件刺激のみを提示し、無条件刺激を随伴させないことで「条件刺激」を消失させる手続きのことである。また

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内部循環とひたすら歩くこと

僕はよく歩きます。昔からよく散歩にでかけます。それは自然の中だけといった感じではなく、近所でもよく歩きます。 ネパールでのトレッキングのように数日かけて歩くこともあれば、家の近所を5分程度歩くこともあります。 また、歩くだけでなく、自転車やバイク、そして車や電車で旅に出たりもします。 中高生の時は急に「自転車でひたすら国道9号線を走ろう」と友人を誘う形で丹波町まで行ったり、「ふらっと行くか」と自転車で大津市まで行ったりという感じで遠出をすることもしばしばありました。旅の予算としては飲み物代くらいでいいので数百円です

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内集団バイアス(内集団びいき)

内集団バイアス(内集団びいき)とは、外集団の者より内集団の者に対して好意的な認知・感情・行動を示す傾向であり、より望ましい属性を認知し、高く評価し、優遇するという認知のあり方である。 内集団(ないしゅうだん)とは、もちろん「自己が所属する集団」であり、会社であれ、団体であれ、家族であれ、自己が所属する集団は、各々の領域において内集団である。 なお、現在属しているかだけでなく、経歴といった形で自分の属性のあり方として内集団の概念や内集団バイアスが出ることもある。例えば、「母校の後輩だから大目に見よう」というのも内集団

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アナウンスメント効果

アナウンスメント効果(announcement effect/アナウンス効果)とは、候補者の当落や政党の議席の増減についてアナウンスメント(世論調査に基づく予測や観測報道)することで、当落や議席増減に影響を及ぼす現象のこと。投票行動研究の用語であり、単純に言えば「報道の効果」である。 アナウンスメント(announcement)とは、発表や声明を意味するため、外部の人間に対して何かしらの情報を与えるというような意味になる。そうした発表や声明としての「アナウンスメント」がそれを受けた側にもたらす影響がアナウンスメント

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モダリティ効果

モダリティ効果(modality effect)とは、言語材料を記銘(新しく記憶)する時、呈示モダリティによって記憶成績に差が生ずることで、主に視覚よりも聴覚のほうが新近効果(新近性効果)が得られること。言語材料を視覚よりも聴覚で呈示したり音読させる条件の方が、単語や文字のリストの直後再生において特にリスト終末部の成績良いというような効果が代表的である。モダリティ効果は、「2秒間程度持続する聴覚的感覚記憶」である「前カテゴリー的音響貯蔵庫=PAS」を仮定することによって説明されたが、唇だけ動かす条件や、唇の形や手話

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クロスモダリティ・マッチング

クロスモダリティ・マッチング(cross-modality matching)とは、モダリティ(感覚様相)が異なれば、主観的体験の内容は全く異なる中、二つの異なるモダリティの間で、その二つの感覚量が主観的に等しくなるようにマッチングを行うことである。 このモダリティ(sense modality)には、一般に視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、触覚・皮膚感覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚、運動感覚(筋感覚)、平衡感覚、内臓感覚(有機感覚)といった区分がある(モダリティ効果「モダリティ(sense modality/感覚様相)」

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ヤーキーズ-ドッドソンの法則

ヤーキーズ-ドッドソンの法則(Yerkes-Dodson’s law)とは、「覚醒レベル」と「学習のパフォーマンス」と関係において「逆U字型」の関係があり、「ある最適水準までは覚醒の増加とともにパフォーマンスは向上していくが、最適水準を超えると逆に低下していく」という法則である。 アメリカの心理学者であるヤーキーズ氏(Yerkes,Robert Mearns)とドッドソン氏(Dodson,John Dillingham)が行った「ネズミを使った学習実験」からこの法則が導き出された。 その後、ロフタス氏に

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アルベド知覚

アルベド知覚(albedo perception)とは、照明条件の変化にかかわらず、視覚系を通じて得られる「その物体の知覚上の明るさ」は比較的一定に保たれる現象のことである。例えば、太陽の光の下でも、暗い部屋の光の下でも、紙は白く見え、黒い服は黒く見えるような場合がある。これがアルベド知覚である。アルベドとは心理学・知覚的には「外界の物体の明るさに関する情報に関連する指標」を意味する。 人間の活動する環境における照明条件は常に変化する。環境・状況に応じて光の入り方は非常に大きく変化し、外界の物体から視覚系に送り込ま

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経歴効果(履歴効果)

経歴効果(履歴効果/career effect)とは、心理学における実験、測定において、「前回の測定が今回の測定に影響する」といった形で捉えられる影響のこと。実験の測定値に異なりがあった場合に条件統制の問題として考えられる場合の影響を意味する。 心理学における実験や測定は、物理的測定を代表としたような、自然科学の分野のように条件を同一にできず、学習や動機づけ等の要因により測定値が異なる場合がある。測定の経過に伴い対象が変化するため、各々の測定が独立することはない。よって同一対象に同じ測定を繰り返したとしても、学習や

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アンカリング効果

アンカリング効果(Anchoring)とは、ある基準を与え、後の判断の際にそれ以前に提示された基準が影響を及ぼすという効果で、狭義には、係留効果(anchor effect)を意味する。また、「アンカー(錨/いかり)とトリガー(引き金)」という概念で、ある特定物との関連付けにより、その刺激に触れると特定の概念や情動を呼び起こすこともアンカリング、アンカーリングと呼ばれる。 アンカリング効果は、先行する情報として、後の判断に直接関係のないような「数値」や「色」が影響を与え、本来その情報とは関係のない「後の判断」の際に

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ラポール

ラポール(rapport)とは、カウンセリングなどの心理療法において、治療者(面接者)と患者の間に存在する人間関係のうち、相互信頼の関係が成立している状態を指す。通常、受容的態度によって治療に有効なラポールが形成されると考える。臨床心理学における用語だが、実験・テストにおいても、実験者・テスターと被験者・被検者との良好な関係も「ラポール」と呼ばれ、広く二者間において「信頼関係が築かれている状態」「心が通い合っている状態」を意味する。 このラポールという概念の裏には、心理治療の目標として、単純に「既に結果としている心

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コスチューム効果・ユニフォーム効果

コスチューム効果とは、着ている服装が持つイメージ・期待に合わせて意識が変化するという効果であり、それが集団になるとユニフォーム効果として、さらに仲間意識ができたりするというような心理効果が現れる。 着ている服装の色彩的な心理効果も影響はあるが、大きく影響するのは「社会的な期待」であり、職業に応じた「制服」であれば、その制服を着用する職業人が社会に求められているであろう「あるべき姿」に合わせて行動を取ろうとするような効果である。 単体であれば「コスチューム効果」と表現するほうが良いかもしれないが、集団で制服を着て行動

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ラベリング効果

ラベリング効果とは、ラベリングされレッテルを貼られることで、そのレッテルに合わせるように心理が誘導されてしまうという効果。ラベリングが言語的媒介過程を通して学習、記憶に影響を及ぼすことがラベリング効果である。 「あなたは頭がいい」と言われ続ければ、本当に頭が良くなったり、「あなたはいい人ですね」と言われ続けていれば「良い人」であろうとする心が働くといった具合である。 ラベリング効果は、学習記憶に影響を与えるという形になるが、期待に沿うようにとラベリングされたことに合わせてに心や人格が誘導されるという現象であると考え

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アンビバレンス(アンビバレンツ)効果

アンビバレンス効果(ambivalence)とは、両面価値や両価感情と訳され、同一の対象に対して、相反する感情や態度を同時にもつ現象およびその現象による心理効果のこと。相反する感情を同時に起こったり、相反する態度を同時に示すことがアンビバレンスである。なお、ドイツ語の「ambivalenz」から「アンビバレンツ」とも呼ばれる。こうした相反する両面の感情が同時に起こった時、どちらか一方の感情が抑圧され、抑圧されたものが行動に影響を与えるというのがアンビバレンス効果(アンビバレンツ効果)である。 目の前の現象自体は無属

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