アフォリズム 821-830

アフォリズム 821-830

  • 821.風刺の要請
  • 822.本当の計算
  • 823.生活上の修行
  • 824.個人主義的な風潮
  • 825.罵声と器
  • 826.短期的な逃避
  • 827.人の好み
  • 828.リスクに対する評価と多段の構え
  • 829.おどろおどろしいもの
  • 830.猶予期間

821.風刺の要請

個人的な感想としては、即時的で直接的な非難がしやすい社会環境故に風刺を用いた昇華の機会が減っているような印象がある。

あらゆる方面においてより一層風刺を多用し、笑いに変えていって欲しいと願うところである。

822.本当の計算

物事を本当に調べ、そして計算しているのであれば、嘆きというものはさほど生まれない。

時に共感を欲したり、問題提起をするのも構わないが、実際に計算して数値としての目標や現実的な現象としての目標に変換していくことを推奨する。

823.生活上の修行

日常生活というものも案外厳しい修行となる。

自立して外に飛び出すのも修行となれば、家族関係を良好なものにするというのも修行となる。

824.個人主義的な風潮

あまりに個人主義的な風潮に影響され、「親と一緒に暮らすということは考えられない」というような思考に走ると、逆に窮屈な思考となる。

自分や配偶者の親と同居するというのも、金銭面や労力の面では一部負担が解消される部分もあるが、人間関係の面では良い修行となる。彼らが高齢化した後は様々な負担も大きくなる。かなりの修行になるだろう。

825.罵声と器

感情的な罵声が飛び交うような職場や家庭というものは、ただ様々な圧力に耐えられないほどの器の者が、主となっているというだけである。

「課長ならば務まるが、まだ社長の器ではない」という者が、社長になると罵声が飛び交う。もしくは、本人が体を壊す。そうでなければ組織が崩壊する。

最初はそうした雰囲気があっても、徐々に落ち着いていくのであれば、本人の器が大きくなったという証である。

826.短期的な逃避

器を超える圧力がやってきて、耐えられそうにない場合は、ひとまず逃げた方がいい。短期的な逃避は、「壊れることを避ける」という積極的な逃げとなる。

827.人の好み

好みというものは人それぞれであるため、目の前の人に好かれなくても特に問題はない。

ただ、出会う人出会う人にかなりの高確率で好かれないのであれば、何かを振り返った方が良いかもしれない。

それでも、人の好みは千差万別であるため、目の前の人たちに好かれる必要はない。

828.リスクに対する評価と多段の構え

独立して起業することのリスクは、収益が上がらず廃業し、短期的に生活苦が生ずること程度である。どこかに勤めるとこのリスクは回避しやすくなるが、勤め先がブラック企業であるリスクもあれば、全体的にはホワイトでも、直属の上司が合わないという場合も多々ある。

車に乗れば「加害者になるリスク」を含めて交通事故のリスクが高まるが、歩いていてもひったくりに遭うリスクが高まる。

それぞれ、何かが起こった時にどれくらいうろたえないかと言う程度である。そしてそれらはそれぞれ備えることで多段の構えをしておくこともできる。

車であれば保険を利用するというのも一つであり、歩きであれば護身用具や警報の類を常備するというのもひとつである。

疲れを侮らないということも一つであるし、四方八方に気を配るためにさまざまな「ながら」は行わないというのもひとつである。

「自分はずっと健康で頑張れる」という慢心を疑うというのも一つであるし、「自分はあまり変わらずとも、周囲の人や社会環境は変化する」ということをしっかりと予測するというのも備えのひとつとなる。

829.おどろおどろしいもの

希死、殺意、絶望、破壊。まあそれらはおどろおどろしいものではあるが、その観念は嫌いではない。

それらが全く無いような者の言葉にはなんの重みもなく、その者自身を薄っぺらく感じる。

理性や美、秩序といったものの反対に本能や官能、酩酊を置くというのは二次元的であり、まだ深みが足りない。慈しみや創造、冷淡や破壊といったものも次元の中に加えていく方がより深みが出るだろう。

830.猶予期間

目の前の出来事にただ対応しているだけでは苦の消滅には達しない。

ただ環境にやらされているだけであり「やらされて、それをこなして、それで何になるのか」という虚しさは延々と続く。

様々な達成も猶予期間を伸ばしただけ。

虚しさや根本問題を先送りにする余裕が少し生まれたという程度である。

目の前のことに集中するのも、何かを達成することも、それはそれで良いだろう。

ただ、「それとは別に、まだまだずっと本質的な問題が残っている」ということから目を背けてはならない。

目を背けてもらっても構わないが、若き日の自分に語りかけることができるなら、「ずっとそのまま。そのまま目を背けるな」と言い続けるだろう。

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