遭難の悲愴感

本格的な遭難を経験したことはありませんが、「まだ実りそうな希望」と「チャンスが失われた中の希望」というものは若干異なり、「広い荒野にぽつんといるような感じ」が、遭難の悲愴感を示すのに最もふさわしいような気がします。

以前、「企画した人の地図のマークのミス」により想定外の山中をうろつくというような軽い遭難について触れたことがありました(すばらしい日々)。その時に後輩が不安から泣きだしたりということもありましたが、「必ずなんとかなる」という希望が揺るぎなくあったので、肉体的な辛さはありましたが、一種の勇気も奮闘も意味のあるものとして働いたりしました。

まだ何をやればいいのかがわかっていれば、重たい体を引き摺りながらでも何とかやる気が出てきます。

しかしながら、八方塞がり感があると、やる気も分散して、結局気力だけが奪われていくような感じになってしまうことがあります。

慣れ親しんだ人と不和

一種の遭難のような悲愴感として、わかりやすそうなものは、慣れ親しんだ人との関係性における不和ではないでしょうか。

経済社会における漂流のような感じも一種の「遭難のような悲愴感」がありますが、それについては、ある種の選択肢の多さや、近視眼的視点によって自分で自分を縛っていること、などによる混乱が八方塞がり感をもたらしているという感じのほうが強いので、まだ何とかなりそうな感じがします。

しかしながら、慣れ親しんだ人との間柄の不和は、「誰よりも近くにいて、誰よりも遠い」というものになり、見知らぬ間柄であればあるほど強くなる、緊張感や気遣い、そしてそれらから起こり得る情熱が起こりにくいため、いわば為すべきことが見つからず、チャンスが無いというような一種の絶望をもたらしてしまうという感じになります。

ということで、一曲いきましょう。

息を合わせること

まあそうした不和については、思考上で共通項を作るということよりも、何にも増して生体レベルでのペースを合わせなければなりません。

何かに関して正しさを求め、AかBかを議論して軍配を上げるよりも、まずは息を合わせることが大切です。

手をつなぐこと

特に男性陣からは不可解に思える「手をつなぐこと」が、女性陣からしてみれば、想像以上に重要なことであるということを大人になってから知りましたが、それを受けて、各種作品をよくよく読み返したり見返したりしてみると、意外にもその重要性が随所随所で示されていたりしていることを発見しました。

小説にしても映画にしても「そんなに重要なことではない」という前提で読んだり観たりしていると気づかなかったり記憶に残らなかったりしますが、「自分にはわからないものの、重要なことなのかもしれない」という前提で読んだり観たりしてみると、「あらここにも」、「はて、こちらにも」という感じで発見できたりします。

そういえばジブリ作品の「風立ちぬ」でもそんなシーンがありました。

愛の治療法

関係性の初級・中級・上級

まあそのような感じで、ある立ち位置にいることには通用していたことでも、関係が変化すれば通用しなくなる、ということを受けた時、「以前の自分では見えていなかったものを見て、もう一段階成長しなければ何ともならない」というシーンがやってきます。

夫婦にしても会社の中の関係にしても、前段階では成り立っていたものの、関係性が変化してからは成り立っていないということであれば、「初級はクリアできたが、中級、上級をクリアできていない」という感じになるのではないでしょうか。

夫婦であれば独身時代の自分は惚れられていたとして、既婚者になってからは相手にされないというのであれば、まだ「初級はクリアできたが、中級、上級をクリアできていない」、という感じですし、会社であれば面接時にはある種の威厳を持ち、尊敬のようなものを得ていたが、同じ会社の一員となってからは威厳なければ尊厳も得れていないというのであれば、同じように「初級はクリアできたが、中級、上級をクリアできていない」という感じになるのでしょう。

もちろん、相手との相性や相手の人格もあるので、一概には言えませんが、「中級、上級をクリアできないこと」を相手の責任にして、また「初級」の方に戻るように、他の人に走ったり、クビにして採用募集をかけているというのが、世の中にありふれた不和の先にあるものなのでしょう。

もちろんその難易度に応じて得れる結果は異なってきます。

クリアした暁には、正論そうなことを振りかざして自分の欲にまみれている人を「ああ、クリアできずに逃げただけなんだなぁ」と思えてくるはずです。

ただ、そうして得た心の余裕は、各種「世の正論」を飛び越えてこの心としての財産になります。

負け惜しみでも何でも無く、何を言われても「はいはい」という感じになってしまうでしょう。

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