体の記憶と澱みが消える感覚

イライラや不安の記憶というものは頭の中に残るという捉え方が一般的ですが、緊張によって起こったコリが体の記憶として体に残るという側面もあります。

うつやパニック障害等々を含め広く自律神経失調症の要因となるひとつはコリにあります。

一応緊張の原因となる精神としての原因があって、それによって生じた結果といえば結果ですが、その一種の疲労は蓄積していきます。

何度も想起してしまう記憶は、いま現実には起こっていないことなので虚像ですが、そうした虚像によって起こる緊張、そして緊張から起こるコリはどんどん蓄積していきます。

普通はある程度睡眠を取ったりすると回復していきますが、そうして治っていくのは表面上のものばかりで、奥の奥に蓄積した塊は、横になるだけはなかなか消えてくれません。

しかし、そんな奥の奥に溜まった疲れが消えていくと、澱みが消える感覚、視界のクリアさと共に気分も晴れやかになっていきます。

溜まったものを一度出し切るという程度なので、溜まる原因については働きかけておらず、それだけでどうにかなるというわけではありませんが、身体の苦しさによる精神の苦しさという二重苦、負のスパイラルをひとまず逆行させるには意義があります。

ということで、現代特有の体の負担に対する対処について軽く触れていきます。

現代特有の体の負担

思い返すと、うつ病や自律神経失調症などという言葉が頻繁に出てきた時と、時代の変化で一致する現象があることに気づきました。

それはコンピュータや携帯電話の登場です。

それまでにはなかった動きや姿勢、その場その場で終わってはくれない常時接続感、光の刺激などなど、環境要因として身体面、精神面両方に新しいタイプの負荷がかかったという感じがします(なるべく意識しないように努めて)。

また、疲れは寝れば取れると言われても、新しいタイプのコリや「いつ連絡が来るかわからない」という常時の緊張というものがあるので、それ以前の睡眠とは大きく性質が異なるという面も潜んでいます。

手のひらや首の奥に生じるしこり

そんな感じなので、本来はスマートフォンやパソコンを叩き割るというのが根本的には一番早いのですが、交友関係や仕事の都合上そうはできないと思いますので、ひとまずは溜まった分の処理の方についてだけ触れていきます。

PCにおけるマウス操作やスマートフォンの画面を操作するときの指から腕の負担、並びに姿勢からくる首の負担、光から来る目の負担により、親指と人差し指の間から腕、そしてそのラインに沿った首のあたりに強烈なしこりができていることがあります。

これが奥の奥に溜まったコリであり、ちょっと温泉に浸かった程度では取れません。

手のひらや腕の奥底、深層筋がこると、キレやすくなりますし、首の深層筋がこると、脳への血流が低下し、また、神経を圧迫して自律神経が乱れます。

また、コリと言えば背中側ばかりが着目されますが、それはそれで置いておいたとしても、腹回りが凝っていることがあります。

それらは、ゆるいマッサージ程度ではほぐれません。表層筋はほぐれても、奥の奥の深層筋に癒着が起こっており、寝ても回復しないという感じになっています。

「神経が通っているので首はこわい」と言って放置される傾向にありますが、その部分が自律神経の失調に大きく関わっています。ひとまずは、首の側面から後ろの方、胸鎖乳突筋や後頭下筋群をチェックして、しこりがあれば叩き潰していきましょう。

コリを叩き潰せ

パソコンやスマートフォン、電話やネットの常時接続というものが登場する以前と以後とでは疲れのあり方が異なるので、旧来からの解釈や方法論が通用しなかったり、物足りなかったりするという場合があります。

ひとまずはそうした深層筋をほぐすことを専門家に相談するのが一番ですが、まああまり手をかけてもらえない場所でもあります。もちろん自己責任の範囲になりますが、この場所をほぐすと澱みが消える感覚が訪れたりします。

筋膜の癒着を剥がす

ツボ押しということで、強く押すということをイメージしてしまいそうですが、一番いいのは筋膜の癒着を剥がすという感じです。

基本は皮を引っ張るという感じです。筋肉はつままず、皮だけを引っ張ります。そしてその後に筋肉に対して横方向にほぐし、その後縦方向にほぐします。

また、凝り固まったしこりを指で押さえながら、その周辺をぐるぐる回すというのが一番効きます。深呼吸を加えるとより一層効果的です。

首なら凝りのある場所を押さえながら首をぐるぐる回したり、首の付根を押さえながら、そこと繋がっている腕をぐるぐる回す、という感じです。腕を回したりして、首のところが伸ばされているというのならば正解です。

で、個人差はあると思いますが、しばらく続けてやってみてほぐれてくると、下からスーッとした感覚がやってきて首を経由して頭の方に向かう感じになります。で、そのスーッとした感覚が頭の澱みを取り除いていく感覚が生じるでしょう。

同様に、腕や手のひらも行います。手首の腱あたりの皮を引っ張り、その後にほぐすというのが効きます。

腕の場合は、痛く感じるしこりを捉えたら、それを指で固定化するようにして、手首を回したり上下左右にぶらぶら振ると効きます。親指の付け根を含め、手のひらの場合は、押さえて指を動かすと効きます。

指の負担を軽減するテーピング

なお、マウス操作や画面タップ時の指の負担を軽減させるにはテーピングが有効的です。親指周りや人差し指の付け根、小指の付け根などに軽くテープを巻くだけで、負担は結構軽減されます。

どうせほぐすなら同時にこうしたコリの予防策を講じるというのもいいのではないでしょうか。

緊張の結果に対処しただけ

まあそんな感じでコリをほぐすテクニックの詳細は専門家の情報に任せますが、これらはあくまで生じた結果に対して対処しただけであり、根本的な緊張や動作の不自然さに働きかけたわけではありません。ということで、原因の原因は残っている感じになります。

しかし、それら原因が残りながら、さらに身体的な不調があると、負のスパイラルが起こりやすくなりますので、ひとまずは第1段階として緊張の結果に対処しておくということから始めると良いでしょう。

同じ現象も状態によって解釈が変わってしまいます。

同じような悩ましげな問題が生じた場合でも、体の状態によって解釈のあり方が変わってきたりします。体がガチガチの状態でさらに悩ましげな問題が来た時にはキレてしまったり絶望してしまったりもしますが、体が健康体である時では「まあいいか、あれとあれをこうすればいいんだ」と淡々と対処できたりします。

そんな感じなので、ある程度コリをほぐしきってみて澱みが消えてから、問題に対して理性で検討してみるというのが良いでしょう。


体が軽くなると気も軽くなったりします。うつに関しては、意識的なアプローチが一番で、うつを一瞬で治すという感じで言えばもちろん錯覚を見切るというのが理想的です。本来は何かをしなくてはならないという焦燥感、緊張感があるよりも何もしない法が良いのですが、「何もしないってのもなぁ」なんてな感じで、「何かをすること」が必要だという思ってしまう人もいるでしょう。ということで、そんな時は、体を軽くして1ミリずつ楽になっていきましょう。

体を軽くして1ミリずつ楽になろう


酸欠だからうつになるという短絡的な感じではないのですが、気分がすぐれない時に即効性のあるものとして、酸欠改善の呼吸法があります。体のコリから内臓の不調、そしてうつ状態まで、たいていは酸欠が大きく影響を与えていたりします。首のコリの改善と共々、酸欠状態によって歪んだ分を矯正するというのも一つの手です。

うつと酸欠と呼吸法

Category:うつ、もしくはうつ気味の方へ

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