売るための場ではない場所での無駄な売り込み

年末が近づき、忘年会等々いろいろな会合が盛んに行われるシーズンになってきました。

で、そういう場所というのはあくまでただの集まりだったりするはずなのですが、獲物を狙うかのように「売るための場ではない場所での無駄な売り込みをしてくる人たち」もたまに混じったりしています。

そして、その会合のメンバーが経営者だらけだったりすると、百戦錬磨の人たちばかりなので、もちろん相手にはされません。稀に創業したてで自信がない人も混じっていたりするので、そうした人たちを獲物として狙うということなのかもしれませんが、だいたいは、猛者たちにブロックをかけられて無惨に帰っていくのがせいぜいです。

なんだか発想が安っぽく、そして安易でスケベ心に満ちている感じなので、結局うまくもいきません。

「無駄な売り込み」をしてくる人たち

もちろんマルチネットワークにハマっている人や、自己啓発セミナーにハマっているような自称コンサルタントの類の人がその代表例ですが、そうした人たちでなくともちらほら「無駄な売り込み」をしてくる人たちがいます。

おそらくそういう人たちは、商いに困っていて、当座の売上獲得のため、営業成績のために焦っているのでしょう。しかし焦れば焦るほど売れるものも売れなくなるという構造があるので、結局無駄な努力になります。

「一回会っただけで信用を得ることができて、その上にお客になってくれる」

という都合の良い話を求めて彷徨っている感が否めません。

もちろん事業主として、どんな場でもなるべく売上につながるように行動したいという気持ちはわかりますし、資金繰り的に余裕をかましていられない状況であるのならば焦る気持ちもわかります。

しかしながら、ビジネスマッチングを目的とした大商談会といったようなものではないような、普通の会合でそうした匂いを出すと結局誰にも相手にされず、虚しく去ってくだけになってしまいます。

名刺にプラスアルファという感じで、事業内容や商品が掲載された印刷物を持ち歩くという程度まではいいですが、対面時に「どうか拾ってくれ」というニオイをプンプン出すと疎まれますし、増して軽い商品説明の後に「どうですか?」などと言われた時には、「別に売られに来てるんじゃないんですけど」という気持ちになってきます。

もちろん会ったその場で信用を得ることもお客として迎え入れることも可能ですが、だいたい売るための場ではない場所での無駄な売り込みをしてくる人たちは、自分たちの商品やサービスを紹介するだけであって、「ちょうどそんなものを求めている人はいないかなぁ」という程度の安易な発想で参加していたりします。

そんな下手な売り込みをしていると、信用も得ることはできませんし、実際の売り買いを越えたような「お金を介さない付加価値の交換」がもたらされることもありません。

お金を介さない付加価値の交換

当たり前の話なのですが、何度も何度も顔を合わせ、何度も何度も話していくと自然と仲良くなっていきます。

で、経営者の集まりであればそれはみんな社長さんたちであり、弁護士さんや税理士さんといった人たちもちらほらいたりします。

そうなると、例えば弁護士さんであれば1時間相談すると、相談だけで1万円とか2万円といった費用が必要になります。単純な話なのですが、仲良くなっていくとそうした費用を必要とせずに、専門知識を持つ人達、つまりプロの意見をどんどん無償で得ることができるようになります。

もちろんお互いに交換する形になるので、もらう一方というわけではありません。

しかし仮に、これをお互いにビジネス上の相談としてかっちりとやってしまえば、お互いがコンサルタント料を支払い、受け取ることになります。まあお互いに経費として計上すればいいのですが、売上になるので一方が事業に関すること、もう一方は個人的なことというような事柄であれば、片方は損金として扱えなくなったりします。消費税がかかったり、法人税などにも影響を与えてきますし、会計処理にも手間がかかります。

そんな中、お金を介さずにお互いがお互いの力になるとすれば、「税金などのかからないやり取り」になります。

売り込もうとする人たちは「また空振りだ」と不貞腐れて去っていく

で、スケベ心で「売り込みの成功」を求めている人は、そうした無償の「能力の交換」という空間に入ることもできず、

「ちっ」

という感じで、「また空振りだ」などと不貞腐れて帰っていきます。

「せっかく営業したのに」という感じです。

「せっかく勇気を出してあまり気の進まない営業活動をしたのに軽くあしらわれた」というような感じで、営業スマイルの内側に落胆を忍ばせて去っていきます。

自然体でいれば自然と「お金を介さない付加価値の交換」の輪が生まれる

特にお金を介さない付加価値の交換を求めていなくても自然とそうなっていきますし、時に超優良顧客になったり、そうした優良顧客を紹介してくれることもあります。

しかしそれは、長年自然な形で自然に力を与えあった仲であり、長い年月をかけて形成した信用があるからこそ起こる現象です。

そういえば以前、「採用関係のコストを削減するのにどうしたらいいかなぁ?」なんていうような話があって、会社の状況とかを聞きながら「こんな感じでやってみるのも面白いんじゃないですか?」なんてなことを答えてみたりしたことがありました(詳細は内緒です)。

で、それでうまくいったようで、その後すごく高い店に連れて行ってもらってすごく高いシャンパンを振る舞われたことがあります。

「結局それを決断して実行したのは〇〇さんなんだから、別に気にしなくていいですよー。責任取るつもりで言ったわけでもないですから」

と返してみても

「交際費で落とすんだからお気になさらずどうぞどうぞ。それ以上に助かってますから、どうぞどうぞ」

といった具合です。

そんなつもりがなくても、そんな事が起こったりもします。

空気感で分かる売り込みの意図

よほどの変人でない限り、おおむね誰でもいきなり求めてもいないものを売り込まれるのは嫌だろうと思います。

しかも「困ってるんですよ」なんて言われて憐れみ営業なんてされた時には、「その売れないようなものを買えってのかよ」という気分にすらなってきます。

たまに自社製品のパンフレットなんかを配って回っている人もいるのですが、それはそれでいいとしてその人の空気感によって、

「売り込みかぁ」

という感じがしてしまいます。

まあそれは結局

「自分の利益しか考えていない」

という空気感が出ているという感じです。

もちろん自社のことを考え、自分の利益のことも考えてもらっていいのですが、聞く側としては

「知らんがな」

で終わりです。

例えば扱っているのが何かの産直品だったりするんだったら

「街で買うのと全然違いますよ。絶対に感動しますよ。街の人たちに、スーパーに売っているのが本物だっていう認識で終わって欲しくないんですよ」

くらい言ってみろよ、と思います。

ビラを配って

「お願いしまーす」

で終わらせんなよ、ということになります。

売るための場ではない場所で売り込みをしてる割に、売り込みすらできてないんですよ。

「誰かかまってくれないかなぁ」

なんてな感じで自信がないなら来んなよ、ということです。

語るほどでもない商品を買いに来てるんじゃないんですよ。

買い物に来たんじゃないのに、語るほどでもない商品を売り込もうとされる側の身にもなってみろ、という感じです。

Category:company management & business 会社経営と商い

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語のみ