アフォリズム 111-120
- 111.寝ぼけ
- 112.可能性を含む評価
- 113.「済ます」の発想
- 114.適切な距離
- 115.予定を断ってでも空白を作る
- 116.良き書物による脱力
- 117.変人を味方に
- 118.高齢者との会話
- 119.腹優先
- 120.必要な物
111.寝ぼけ
「本音がはっきり出るのは夢の中」、ということは、起きているときこそ寝ぼけているようなものであり、寝ているときにこそ本心が覚醒しているというのはまた皮肉なものである。
112.可能性を含む評価
可能性の面から考えれば無限の可能性があるという中、今だけを切り取って確定的に評価するのはいかがなものか。今の状況と言っても、その判断の対象となっているものは過去であり、それは二度とやってこない。
113.「済ます」の発想
何事も何かしらの意識を持っていれば、様々な行動は知識として、経験として、血肉となる。
何の意識も持たなければ、それを「済ます」という義務の消化程度のものとなる。
114.適切な距離
適切な距離よりも近づくと憎悪が生まれやすくなる。
憎悪が生まれた場合、距離を取るとそれは和らぐ。
115.予定を断ってでも空白を作る
何かしらの予定、約束を断ってでも、意識に空白をつくるためにぼーっとすることは必要である。
「大丈夫だろう」と余裕をかまさない方がいい。
116.良き書物による脱力
良き書物というものは読んでいて力が抜ける。
しかしながら、そうしたもののエッセンスを悪用して、本物だと思わせようとするような偽典のようなものも存在する。
117.変人を味方に
その人の最も良い部分を引き出せるのであれば、
―相手が変人であっても、その人は強き味方となる。
118.高齢者との会話
高齢者との会話は、放っておくと時事的なものをつぶやき、頷く程度となるため「つまらないもの」になりやすいが、自分も相手も関心のある「相手の実体験に基づくもの」を引き出せた場合、相手が持つ膨大な「実体験からの知識」を得ることができる。
119.腹優先
我が事としては腹痛を回避するというところから始まった「何事よりも腹を優先せよ」というような信念、教訓は、古代文明の頃から当然とされていたようである。
120.必要な物
必要ということは「必ず要る」ということになるが、無くても生命が成り立つような物を「何が何でも必要である」と考えるのは、一種の執著である。
そうした必要であると思う物ほど、手放すと気が楽になる。
それは「執著を手放すと苦が消滅する」ということを示す。
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