感情とその判断からの由来

「君の感情を信頼せよ!」― しかし感情は最後のものでも最初のものでもない。感情の背後には判断と評価があり、それらは感情(傾向、嫌悪)の形をとってわれわれに遺伝している。 曙光35 感情は今の状態の一つの指針で、「その場」に限って言えばそれが全てみたいなものですが、それはすぐに流れていきます。 たまたま訪れた感情にも、その原因があります。その原因を目にも止まらぬ速度で判断して評価しています。 そしてその感情の原因は信念であり、固定観念です。それに現象としての条件が整った時にある種の感情が湧いてきます。 「席を譲れ」と

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ハロー効果

ハロー効果(光背効果、後光効果)とは、物事や人を評価する時に、特徴的な一面(すぐれた/劣った)に影響され、その他の側面に対しても同じように評価してしまうこと。その対象の他の側面、もしくは全てがすぐれている(ポジティブ・ハロー効果)/劣っている(ネガティブ・ハロー効果)というふうに勘違いしてしまうこと。 ポジティブ・ハロー効果 恋愛においてもマーケティングにおいてもよく利用されるハロー効果であるが、これは単純にポジティブ・ハロー効果なら「高級車に乗っている人ならば信用できそう」であるとか、「高級腕時計をしている人なら

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道徳的な感情と道徳的な概念

これだけ道徳、道徳、と繰り返していては、道徳が好きなのかと思われそうですが、繰り返したくないのに繰り返さざるを得ない、これが特別企画の醍醐味です。 道徳の厄介なところは、それを教え込まれてきたから信じ込んでいる、という側面を持ちつつも、その要素に気持ちがスッキリするというものが含まれている点です。また、社会的に見た時にはそれが妥当、というようなことも含まれているので、取り扱いが難しかったりします。 そういうわけで「道徳教育の難しさ」と「いじめ防止」について触れていきましょう。 道徳教育の難しさ 道徳教育を行おうと思

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内発的動機づけと外発的動機づけ

内発的動機づけと外発的動機づけについて。何か物事を成すときには手前に動機がある。人が動機を持つ時、その動機が自発的で内発的なものであるのか、それとも外部からの強制力などを持った外発的なものであるのかによって、動機の性質が変わってくる。 内発的動機づけ 内発的動機づけは、外的な賞罰による外発的な動機づけに対して「その動機が引き起こす活動以外の賞には依存しない動機」である。 環境刺激が適度の新奇性や複雑さをもっている場合、内的な標準と外的刺激の適度な不一致、あるいは不調和がの状態が内発的動機づけを誘発する。 不一致が小

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春の七草

春の七草として七草粥を食べたことは数回しかありませんが、見直してみるとうさぎの好物ばかりです。七草粥を食すという風習は、中国より伝来し、日本では平安時代初期にに宮中や幕府の行事として伝わり、その後庶民へと広まって来たようです。 1月7日(人日の節句)に食べるのが一般的な風習のようですが、旧暦なので現在の2月にあたります。 春の七草は、芹(せり)、撫菜(なずな)、御形(おぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、鈴菜(すずな)、清白(すずしろ)の七種の植物です。なお七種と書いて「ななくさ」と読む場合もあります

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バジル二世

バジル

我が家の住民、バジル君たちです。 バジル(Basil)はシソ科メボウキ属の多年草です。和名はメボウキと言うそうです。バジリコはイタリア語のようです。成長初期段階では草のような茎ですが、成長すると木になっていきます。シソ科なので大葉くんと同じような実のつき方をします。 イタリア料理によく使われるハーブとして有名なバジルですが、健胃、食欲増進作用があるようで、品種は50種以上にもなるそうです。 1年草と説明されることがありますが、バジルは本来多年草であり、1年草という表現は日本の気温が寒すぎるから耐えられないというだけ

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原因や結果や現実の軽蔑

結局現実的なものは、それが象徴でありうるかぎりにおいてのみ、まだ価値があるのだと考える。こうして人間は風習の倫理に威圧されて、第一に原因、第二に結果、第三に現実を軽蔑し、すべての彼の高級な感覚(畏敬や、崇高や、誇りや、感謝や、愛の感覚)を、想像された世界、いわゆる高級な世界と紡ぎあわせる。そしてやはり今日でもわれわれは、人間の感情が昂まる場合には、何らかの方法であの想像された世界が働く、という結果を見るのである。悲しいことである。しかしいつかは学問的な人間にとってすべての高級な感情が疑わしくなるに違いない。 曙光3

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同調効果

同調効果は、相手に自分と共通の事柄があると安心感や親近感を覚えるという心理効果である。そして、人は人の意見に対して同調してしまう習性がある。これに関してはアッシュの実験が有名である。同じ集団に属している場合は、だんだん態度が似てくるという傾向がある。 また同調効果と呼ばれるものとしてミラーリング効果というものがある。このミラーリング効果は、好感を寄せている相手の仕草、表情、動作を無意識にまねたり、 自分と同じような仕草や表情をする相手に好感を抱くような効果を意味する。 同調現象 相手と共通の事柄があると安心し、親近

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輪止め

道徳的に苦しみ、その上この種の苦しみの根底には誤謬があると聞くこと、これは癪にさわることである。 ― 道徳の新しい理解を阻止するものは、誇りであり、誇りを満足させる習慣的なやり方である。 曙光 32 省略しましたが、ニーチェは曙光のこの箇所(曙光32)で苦行ジャンキーについて触れています。 苦行を筆頭に、「苦しめばカルマが消える」「体を厭い痛めつければ浄化される」という思想から「努力そのものを賞賛する」といったものまで、苦しみや忍耐、自己犠牲を美徳とするものはこの世にたくさんあります。 そして「苦しむ」、「忍耐する

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テンションリダクション

テンションリダクションとは、緊張と弛緩から自我の防衛機能が低下し、心理的に無防備になるという効果・現象である。緊張している状態からホッとして緩んだ時、その瞬間に心理的なガードが緩むことを意味する。 テンション(tension)は、物理においては張力、心理においては緊張を意味し、リダクション(reduction)は、減少や縮小、削減、還元と言った意味があるので、テンションリダクションとは緊張が弛緩するという感じになる。その時に自我は弱まり、心のファイアーウォールが弱まるという感じになる。 重要な出来事や重大な決断の時

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精神に対する誇り

「誇り」というものは、勝手に内側にとどめておくか、第三者への賞賛の場合に使うようなものです。この言葉の使い方を間違えれば、誇りはただの優越感であり、高慢であり、後ろめたさへの自己説得になってしまいます。 本来自分自身が持つ誇りは、自分自身で納得しておくようなものです。また、誰かを勇気づける時に用いたりするという場合もあるでしょう。しかし「これが私の誇りである」と言い放ちつつ、誇りを卑怯な手段として利用する人たちもいます。 ということで「誇り」と称する傲り、強がりのような、優越感、高慢、後ろめたさへの自己説得について

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定率強化

定率強化

オペラント反応(オペラント条件づけされている反応)に対して、どのように強化してやるかを強化スケジュールと言い、その反応比率に関するものの一つが定率強化であり、通常FRと略される。一定の決まった数だけ反応が自発されると強化されるスケジュールである。 例としてハトが10回窓をつついたら10回目に数秒餌を提示し、提示終了後また10回目に提示するという手続きである。この場合FR10という。時間経過に対して比較的一定な反応率が得られる。また、負の強化の場合も同様である。 オペラント条件づけ オペラント条件づけは、人間を含めた

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徳としての高尚な残酷さ

優越への衝動に全く依存している道徳がここにある。― それをあまり立派だと考えてはならない。 ― まさしく彼が自分の残酷さをぶちまげてやりたいと思うある人々がいる。そこに偉大な芸術家がいる。彼が偉大になるまでは、征服される競争者の嫉妬心を痛切に感じる快楽が、彼の力を眠らせなかったのだ。― 偉大になるために、彼は他の人々にどんなに多くつらい瞬間を支払わせたことだろう!修道女の純潔。彼女は何という非難のこもった眼差しで、違った生活の女性を真面(まとも)に見ることだろう!この眼差しには何と多くの復讐の快感があることだろう!

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吊り橋効果

吊り橋効果(吊り橋理論)は、吊り橋やジェットコースターなどガクガクするような緊張感を共有した体験すると、連帯感や恋愛感情が生まれるという効果。カナダの心理学者、ダットンとアロンによって1974年に提唱。 吊り橋効果は、よく恋愛心理学として出てくる心理効果である。男女が高い吊り橋を渡るとその緊張感と恋愛のドキドキを錯覚するというような説明がなされ、吊り橋効果を利用して意中の人と仲睦まじくなろうというような安物の解説がなされている。 異性に対する恋愛のドキドキと吊り橋を渡る時の恐怖心のドキドキの区別がつかない 吊り橋効

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徳の俳優と罪の俳優

演劇などを見せられると、感動するどころか「寒気」がしてしまいます。特に売れない劇団が何か地域の催し物で無償で舞台などをしていると本当に鳥肌が立ちます。 全てのタイプの演劇というわけではないのですが、もう個人的にはあの演劇中の「しらこさ」には体感レベルで耐えきれない自分がいます。 そうした演劇、お芝居の寒さは、「見ているこちらが恥ずかしい」という類のものですが、その寒さをどこまで究極的に楽しんでしまうか、というのが以前ひとつのテーマでした。 演劇用の喋り方に寒気 排除したいという気持ちは「怒り」ということになっている

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ツァイガルニック効果

ツァイガルニック効果(中断効果)は、目標が達成されない未完了課題についての記憶は、完了課題についての記憶に比べて想起されやすいという効果。旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニック氏(Bluma Zeigarnik)によって提唱ということで発音しにくく覚えにくいがツァイガルニック効果。端的に言えば「寸止め」。 未完了課題についての記憶は想起しやすいということであるが、それではどうしてお金を借りた人、借りるような人は、借りたことをすぐに忘れるのであろうか。つまりこれは万人に通用するような法則ではないということ

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ブラウザ系ウイルス(広告系)

親友から電話がかかってきて、なんのことかと思えばブラウザに変な広告がバンバン出てくるということでした。ゾゾを見ていて商品詳細に飛ぼうと思ったら変なサイトに飛ばされる、つまりは内部リンクですら外部扱いされるみたいなパターンでした。 三日間くらいあれこれ対策を練っていたそうですがイマイチ根治には至らず、「お金を払うから直してくれ」という感じで呼び出されました。別にお金はいらないと思いつつも、親友宅に着くとすでに封筒に用意してありました。ということで一応の有償サポートになってしまいました。 ひとまず怪しいものをアンインス

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論拠としての気分

昔までは、約束の時間に1分でも遅刻する人を嫌っていました。 完璧主義というわけではないのですが、そういう人がどういう神経をしているのかわかりませんでした。そして、盗人にも三分の理ということで、どういうことか真剣に考えたことがあります。 すると訳を聞くと「楽しみに来ているのに、そういう細かいことを言われると気分が台無しになる」というものでした。 また、「仕事や遊びの局面で、最高のパフォーマンスを出したい」というものでした。 「相手の都合はお構いなしかい」 ということになりますが、これらの「盗人にも三分の理」を真剣に考

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退行

心理学における退行とは、人格発達の途上で、ある心理的な原因や理由から自我が耐えられなくなり、無意識的により、以前の発達段階に逆戻りし、より未熟で未分化な反応を示すこと。 弟妹の出生により母親の愛情がそちらに向かうと、今までしなかった指しゃぶりなどを始めたりすることなどが挙げられる。 また、自我が心的エネルギーと交流して新しい動きを生じようとする過程で退行がおこることがある。これは芸術的創造活動などにみられ「自我に奉仕する退行」と呼ばれる。このように退行現象は両面をもつ。 成長前の幼児的・小児的な未熟な段階に戻る 退

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相乗効果

相乗効果とは、ある要素が他の要素と合わさる事によって単体で得られる以上の結果を上げること。その各要素単一でもたらされる効果同士を足したものよりも、総量としてより高い効果が生じたり、単体ずつでは生じ得ないような効果がもたらされるというのが相乗効果である。 相乗効果の例 相乗効果の例として、おもんないグループがいくら集まってもおもんないままであるが、面白い人が二人以上になると、単体でも面白いのにボケとツッコミという構図まで生まれる可能性があるというようなことがあげられる。 つまり、近年に見られる「コラボ」はレベルの低い

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超人的な情熱に対する信仰のもつ価値

―突然で一度だけの約束から永遠の義務を調達した、制度や風習のことを考えるがよい。そのたびごとに、そのような改造によって極めて多くの欺瞞と嘘が生まれた。また、そのたびごとに、しかもこのような犠牲をはらって、新しい超人的な、人間を高める概念が生まれた。 曙光 27 嘘をつかねばならなくなるなら、原則的に約束はしてはいけません。 ただ、約束をした時点ではわからなかったことが追々わかってくることがあります。その時に約束を守ることを重点に置いてしまうと、ウソをつかなければならなくなります。 最もよい約束の仕方 約束といえば、

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想起集合

想起集合(喚起集合)とは、消費者がある目的をふと思い、何らかの商品を購入しようとする時、その購入検討の対象となるブランドの集合が頭の中の集合である場合の集合。「○○と言えば?」という質問に対し、ある分野のブランド名、企業名の想起を求めた場合に対象者に想起された一群のものが想起集合(喚起集合)である。 いわば想起集合は、ある分野で想起される対象の一群ということでありながら、まさに一軍という感じになる。消費者に商品を購入してもらったり、店舗に来店してもらうためには、想起の段階で想起集合に入っている必要がある。その分野の

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動物と道徳

拝金主義というのはどこまでも拝金主義に徹していきます。だからこそ一部の動物を「経済動物」という呼び方をしたりします。 経済動物という表現は、つまり「儲かればいい」であり、「儲けもできない上に、金がかかるなら殺す」です。 疚しさに対しての自己説得でしかなく、動物に対して経済動物や産業動物という呼称を用いる人間にロクな人間はいません。 経済動物という言葉 経済動物という言葉は、若干の疚しさを持ちながらも、「自分はいい人だと信じたい」という時に自己説得を行う場合に用いられます。 動物も懸命に生きています。 自然界のルール

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宣言効果

宣言効果とは、ある目標を達成するために、あらかじめ周囲に目標を宣言するとその目標の成功率が上がるという「思考は現実化する」が大好きな人などが大好きな心理効果。営業の部署などでありがちな外発的動機づけであり、周囲に宣言することで失敗はできないと自らプレッシャーを掛けることでモチベーションが上がるという元祖体育会系の思想を持つ人たちが根拠とするような心理効果である(本来、自分にプレッシャーを与えてはいけません。それは苦しいことである)。 宣言効果によるプレッシャーによって成功率が上がるというのは、プレッシャーがなければ

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風習と美

握手というものは、万国共通だということを聞きますが、ネパールで友人のお兄さんに初めて会った時に、右手で握手して、さらにいつもの癖で左手を添えると怪訝な顔をされました。 インドやネパール等々、一応あの文化圏では、左手は不浄の手とされていて、トイレに行った時でもトイレットペーパーなどを使わずに、原則左手で洗うようですから、確かに怪訝な顔をされるのはわかるような話です。 が、握手の際に怪訝な顔をしてしまうくらいなら、そんなこだわりというか風習はやめたほうがいいのではないでしょうか。 嫌な気分発動条件 それは文化の押しつけ

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