丼勘定で長丁場

それがたった数%の違いでも、気づいた瞬間からなるべく早く取り組むか取り組まないかで長期的に見ると大きな差になります。

そうした数字的な物事で結構見落とされているのは「複利計算」です。イメージとしては初年度は元本のみ、翌年は元本と利子を合わせて再投資するというやつです。複利で回数が多ければ多いほど、その差は歴然としたものになります。

運用で考えた場合、利率が7%であれば複利では10年で約2倍になり、利率10%であれば7年で約2倍になります。

また計算式は異なりますが、ローンなどの場合は逆に支払総額は凄まじい額になっていくということになります。特に期間が長ければ長いほどです。しかも金利ではないという感じで別物扱いされがちですが、手数料や団体信用生命保険なども結局ローンにかかる費用には変わりありません。

別会計と予算

さて、行動経済学などの分野でよく言われることですが、金銭で考えられ得る様々な対象を「別会計」としている人が結構いるようです。

住宅なら住宅、車なら車、旅行なら旅行といったように、それぞれに予算感があり、別口で考えてしまうというやつです。

しかしながら、お金には代替性があります。特定のお店でしか使えない商品券などと異なり、ある程度のものに対して、何にでも振り分けが可能であるという特性を持っています。ということで、車両購入に際して浮いたお金を旅行に回すこともできるのです。

ところが、車の購入代金で浮いた分はカスタム代とかカーナビ代などに消えていったりします。もちろん、ガソリン代として「旅行」に回されることもありますが、概ね車に関連したことにしか使われなかったりします。

しかし、本来お金は何にでも使えます。さらに各々別会計となっている各種予算自体が、根本から「必要」なものかどうかは別問題だったりする場合もありますし、根本から代替手段を用いるという選択肢も潜んでいたりするわけです。

それでもある消費分野にはある程度の予算感があり、その予算の範囲内であれば安易に使われたりします。そして浮いた場合でも、浮いたお金というものは安易に使われていったりします。

安易に使われやすい「浮いたお金」

浮いたお金というものは安易に使われがちです。

なぜなら、頭の中の会計基準として予算という発想がなされるからです。

支払いという行動は概ね意識としての痛みを伴います。一種の苦しさです。

アイツこと自我は、そうした痛みを予め想定しておくことで、実際の痛みを和らげようとします。それが「予算」です。

予算を想定し、予算に応じて実際の購買行動を起こすと、意識としての痛みが和らぐという感じです。

予算の範囲ならばあまり痛みを感じない

「今から鉄拳が飛んでくる」と防御態勢を取っている時と、まったく無防備なときに後ろから殴られる時の痛みを想像してみればわかりやすいかもしれません。

そのような感じで「別会計の予算」を朧気ながら想定しつつ、その予算の範囲ならばあまり痛みを感じないという感じでやりすごしています。

そして予算が余った場合、予めその予算分の痛みは受け入れる準備ができていたので、その分を消費してもあまり痛みを感じないという現象が起こります。それが「同一会計」の範囲ならなおさら感じません。

旅行代金としてある程度の金額を想定していた場合、「最終日に無駄なお土産を買ってしまう」という感じがわかりやすいかもしれません。

そんな感じで、普段ならほぼ起こさないであろう無駄な支出、ゼロからでは起こさないような消費行動も何故か起こしてしまうのです。家の中にいる人がわざわざ外出してまで買いに行くことなどありえないような品物を買ってしまうという感じです。

たった数%の違いであっても期間が長いとすごい額になる

そうしてたった数%の違いかもしれませんが、少しずつ無駄な消費、つまり浪費に費やされる金額がどんどん嵩んでいきます。

その期間が長ければ長いほど、失った金額は大きなものになります。

常に最新のスマートフォンを使い続け、本体代と合わせて月に1万円使うということを10年繰り返せば総支払額は120万円になります。コンパクトカーくらいなら買えそうな金額ですね。金額は少ないですが、その間運用していたら積立の複利でそのお金が貯まっていたはずです。

しかしながら、ゼロ金利かつインフレ傾向にある場合は、価格の変動のない資産に変換していく方が本来は理に適っています。運用益がそれほど出ないのに、インフレでお金は価値が目減りしていくからです。

まあ人によってそれぞれ事情があるので、必ずしもそうする必要はありませんが、闇雲に消費行動を起こす前に、長い期間が経れば大きな差になることを少しは頭に入れておいた方がよいでしょう。

経済や金融のリテラシーが高まっていくプロセス

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