生命保険等金融商品の不適正募集の背景や手口

今なおたまに生命保険をはじめとした金融商品の不適正募集が問題になることがあります。高齢者を狙った詐欺的な営業方法をはじめ、様々な抜け穴や解釈をもって強引に契約を結ばせようとする問題です。

こうした不適正募集、特に高齢者を狙った不正契約・不適切な営業活動は昔からちらほらありますが、その手口は押し売り等々一般に想像されるような形以外にもたくさんのパターンがあります。業法違反という意味での違法というレベルを超えて、犯罪の領域ですらあります。

現行の法制度などが関係しているのか、詐欺的営業にもかかわらず、不適正募集が発覚してもその募集人・営業担当に科される罰は営業停止処分や減給などにとどまり、詐欺罪として扱われないというのが不思議ですが、そうした事はひとまず置いておいて、被害に遭わないためにもある程度の手口を知っておく方が良いでしょう。

そしてその上で、「無面接募集の生命保険契約を無効にする」でご紹介したような形で生命保険契約をはじめとした金融商品の契約を無効にしていきましょう。

もっと前に書いても良かったのですが、逆に手口を教えるような形にはなりたくないと思ったのでしばらく控えてきましたが、「犯罪レベルに不適切な営業」を含めた不適正募集が認知されつつあるようですので、書ける範囲で不適正募集について触れていくことにします。

それでは生命保険の不適正募集を代表例として、その背景や手口などをご紹介していきます。

高齢者を狙った不適正募集の背景

生命保険、投資信託、変額年金、外貨建て金融商品等々不適正募集といえば高齢者を狙った営業です。

高齢者が対象になる事がほとんどなのには理由があります。

それは高齢者が一番「まとまったお金」を持っているからです。

そういうわけで、高齢者が不適正募集の被害に遭うといえば、「痴呆」の方を狙ったものだろうという予測が立ちそうですが、概ねそのような方の場合は、周りの家族の方が「勝手に契約はさせない」ということでガードがきつく、また、いざという時にトラブルから逃れにくいという感じなので、あまり標的にはなりません。

もちろん、判断能力の低下した高齢者を狙う悪徳営業もありますので注意が必要ですが、それと同様に注意すべきは、まだある程度判断能力があると考えられている高齢者の方です。

まとまったお金を持っている

まず第一に、金融商品販売者は「お金を持っている人」しか相手にしません。そして、大金持ちとまでいかなくてもそこそこお金を持っている人たち、それが高齢者です。

もちろん個人差はありますが、いわゆる「現役世代」の人たちは、労働所得などもありますが消費も大きくお金にはそれほど余裕はありませんし、急な出費が必要になる可能性も多いので、長い期間まとまったお金を預けるということがしにくかったりします。

逆に高齢者の方は、退職金などでまとまったお金を手にしていたり、長年の貯蓄がありながら、大きな消費を必要とするシーンが少ないのでまとまったお金を持っていることが多いという感じです。これにももちろん個人差はありますが、全体を見ると確率論的にはそんな感じになります。

金融商品販売者が一番相手としてありがたいのが「そこそこお金を持っていて、日中は在宅していてアポが取りやすく、複雑な内容を紐解きにくい人たち」です。

バブルの高金利時代を知っている

また、高齢者が対象となりやすいのは、「バブルの高金利時代を知っている」という点もやや影響しているでしょう。

昭和55年をピークとして、「定期でも10年で2倍になる」という時代を経験した人たちです。当時は保険商品でも総支払額より満期保険金のほうが高いというのは当たり前、という感じで金融商品でオイシイ思いをした人たちです。

お金の預け替えという感覚

というような高齢者の方々に対して、保険商品にしろ投資信託にしろ、「お金の預け替え」という手口で金融商品を勧めるという感じになっています。

「まとまったお金をどのような形にして置いておくか?」

という感じです。

保険というと、死亡保険金や医療保険のように「リスクに備える」という感じをイメージすると思いますが、養老保険や終身保険は「貯蓄性」が高い金融商品です。

そして、一般的には「月払い」でその月ごとにリスクに備えているという感覚を持ってしまいますが、全期前納払や一括払いという仕組みで一度に支払ってしまうことで、割引を受けられるという構造を持っています。

そういうわけで、100万円なら100万円を一気に保険に変えてしまえば「掛け捨て」をすること無く死亡保障がついてくるどころか、一定期間を経過すれば逆にプラスになることもあるのです。

そんな感じなので、営業する側、つまり募集人たちは、リスク予防のための保障ではなく「お金の預け替え」という感覚でそれら商品を売っているのです。

「なぜ銀行の窓口で終身保険が?」

という理由もこれで何となくわかっていただけると思います。

高金利時代に組織が膨らんだ

さて一方、高齢者を狙った不適正募集の背景における金融商品販売側の都合として、組織の肥大化という点が少なからずあるのではないでしょうか?

バブルの高金利時代は、それが定期の預貯金であれ生命保険であれ、株式であれ「売って売って売りまくれ」という時代だったはずです。そして「売るためにはもっと人を増やせ」ということで労働者の取り合いだったことでしょう。

どこの企業でも同じような感じだったのでしょうが、それで組織が一旦大きくなった後にバブルが崩壊し、収益の面で成り立たなくなったりしました。

しかし、日本の法律上、一度正規雇用した後はなかなかクビを切ることはできません。早期退職などである程度人を減らしたとは思いますが、それでもまだ人が多すぎるのです。

人が多いとその人達の給料を出すための原資の必要量も増えます。ということは、それだけたくさん営業に回らなければならないのです。

本当は需給バランスを調整するほうが正しくても、人を雇って組織を大きくしてしまった以上、株を売って損切りするよりもかなり複雑な構造になってしまっているという点が、無謀な営業をしなくてはならない要因として、少なからずあるのではないでしょうか。

ゼロ金利・マイナス金利で営業担当は悲鳴

ゼロ金利・マイナス金利になると、「普通預貯金に預けていても仕方ない」という営業トークができるだろう、と思われがちですが、同時に金融商品の金利にも大きく影響を与えています。

預金市場から株式市場にお金が動けば株式市場は全体として盛り上がるのかもしれませんが、保険商品などにおいては、予定利率の引き下げなどで保険料が高まるためどんどん魅力がなくなっていきます。

国債の利回りを基準とした標準利率で予定利率が変動するので当然です。

予定利率とは、保険商品としてお金を預かることで合間合間に起こる「運用益」の分を保険料から引いておきますねというようなものです。

年金商品も「年金保険」なので、当然にこの予定利率が影響してきます。

そんな感じで、「加入してもあまり得にならない金融商品」ばかりになります。

もちろん保険といえば元々はリスクに備えるためのものなのですが、金融商品販売者・募集人たちは、先に見たとおり「まとまったお金を持っている高齢者」を対象に、「お金の預け替え」を意図しています。

なぜなら、その方が手っ取り早く、金額も大きいため一件あたりの成績も大きいためです。

しかし、財テク的に生命保険や年金保険を売ろうにも、広い意味での金利的に割に合わないような感じになっています。ということでそうした売り方をする営業担当は悲鳴をあげていることでしょう。

恫喝は当たり前の体育会系の営業現場

また、基本的に「売れないものは売れない」とか「需要的にはもう既に限界領域に達している」と認めれば、事業規模の縮小や商品の見直しなどに注力せざるを得ないようになるはずですが、体育会系営業がそれを邪魔しています。

脳筋体育会系の上司が恫喝、罵声を浴びせるのは当たり前、簡単にはクビにできないものだからということで、自主退職を迫るかのように叫び続けているはずです。そうした意図もあって、パワハラが常態化しているという感じです。

高金利時代は商品そのものに魅力があったので、足で稼ぐと言うか訪問件数を高めればそれでどんどん売れたのでしょう。

だからなるべくサボらせずにハッパをかけた方が営業成績は伸びたのかもしれません。

しかし、その時のやり方のまま、力んで叫ぶことしかできない管理職の人たちは「全然足りねぇじゃん!」的に叫べば何とかなると未だに思っています。アホの一つ覚えです。

なぜならその人達は「商品を開発することはできない」ということもありますが、努力と根性で高金利時代などを突っ走ってきたからということも影響しているでしょう。

頭を使わずに「叫べばいいのだ」と思っているという感じになるといった感じです。。叫ぶくらいならば「どうすれば良いのか?」を考えればいいと思うのですが、商品を変えることもできないので、結局いつものやり方である恫喝・罵声に落ち着くということになります。

そしてそんな恫喝や罵声に屈した人たちが、「高齢者を騙している方がマシだ」と思い、不適正募集に走るのです。

おそらく営業手当欲しさではありません。むしろ給料が下がっても気楽に仕事がしたいと思っているはずです。

一方、詐欺まがいで不適正募集を繰り返している「成績が優秀な人たち」は、称賛され、成績が芳しくない人たちを鼻で笑い、といった感じで「変に自尊心を満たせている環境」を手放したくなくて、詐欺まがいとわかっていても不適正募集を繰り返しているというのが実態というところでしょう。

不適正募集の手口(保険商品の場合)

それでは上記の不適正募集の背景をもとに、実際の不適正募集の手口について触れていきます。まずは保険商品の場合から進めていきましょう。

生命保険の不適正募集は、基本的に無面接募集などですが、近年は監査がかなり厳しいようですので、どちらかというと高齢者を狙った詐欺まがいの話法の方が問題になっていると考えられます。

それではよくある高齢者を相手にした不適正募集について養老保険を基本として触れていきます。

預貯金と錯覚させる

高齢者を相手にした不適正募集の基本は「預貯金と錯覚させる」です。定期預金・定期貯金だと思ったら保険証券が届いたという事例もあるくらいで、全期前納払なら「定期」、月払いなら「積立」だと誤解させるようなケースがよくあります。

しかし、「保険設計書」には総支払保険料と満期保険金額が記載されているので、そんな嘘はすぐにバレそうなものです。

しかしながら、策士はそんな旨もうまくすり抜けます。その手口は、被保険者を子や孫などの若い人にしたり、保険期間を調整したり、保険料支払いのタイミングを分散させたりするのです。

高齢者本人は保険に加入できないからこそ子供や孫を狙う

生命保険というものは誰でも加入できるものではありません。

まず、年齢制限もありますし、年齢が高いほど保険料は高くなります。

そして、「医的謝絶」と呼ばれる健康状態による「保険加入のお断り」というものもあります。これは手術歴などももちろんですが、医薬品の常用も対象になります。

よくあるのは「血圧降下薬」の常用です。「血圧が高めだから予防のために」という理由で、日常的に服用している人は、原則生命保険に加入することができません。

そういった感じで、高齢者本人は保険契約の被保険者になりにくく、「せっかく話をしたのに…」ということにもなりかねないので、対象をその方の子や孫にする手口が横行しています。

被保険者が若いと保険料が安めになるからこそお金の預け替え戦法を使う

若い人ほど病気で死ぬリスクなどが低いため、被保険者が若い人であれば保険料が安めになります。そして全期前納払などで一気にお金を預けると、保険料の割引が適用されるため、総支払額は安くなります。

ということで、保険契約の契約者はお金を持っている高齢者、そして保険の被保険者は子や孫といった若い人という感じで生命保険を設計します。つまり、若い人の割安保険料を利用した、お金の預け替え戦法を使うという感じです。

「保険契約者A(本人)、被保険者B(子や孫など)、満期保険金・死亡保険金受取人A」

という構造を持った保険契約で、保険料を全期前納払などで預けるやり方です。

この戦法であれば医的謝絶の可能性は少なく、また、資産運用的な利率が良くなります。端的には保険商品を売りやすいのです。

なお、この方法自体を非難しているわけではありません。資産運用テクニックの一つですし、うまく使えば、預貯金で寝かせておくよりもリスクへの備えや資産形成に役立ちます。

ただ、問題としては、流動資産の比率が低下しすぎることにより、中途解約リスクが異常に高まったりしながらも運用利率があまり良くなく合理性がないというような側面を隠したりする場合があることです。

預貯金で置いておいた方がトータルで見ると色々なアクシデントに備えられる一方、万が一のトラブルの際に現金が足りず、保険契約を解約しなければならないというような場合に損をする可能性が出てくるのであれば、その提案に合理性はありません。

相続に有利だと説く

また、これは特定の事業者に限定されますが、「相続に有利」だと説いて高齢者を説得する話法があるようです。

基本的に生命保険契約は保険契約者の資産としてカウントされますが、「保険」と名のつくものは「請求がなければ給付なし」と言われるように、満期保険金などは請求を行う必要があります。

そして、「保険契約者A(本人)、被保険者B(子や孫など)、満期保険金・死亡保険金受取人A」の保険契約において、通常生命保険契約の契約者が亡くなった場合で被保険者が存命の場合は、その保険契約を相続で引き継ぐかどうかという感じになり、概ね、被保険者が相続し引き継ぎます。その場合、それまでの既払い保険料を相続したという解釈になります。

しかし、全期前納払や一括払いといった、全ての保険期間の分の保険料を既に保険契約者が支払っているケースがあります。

先程の「子や孫を被保険者としてお金を預け替えしておく」というやり方を利用した場合などです。

その場合、通常は「その保険契約は誰が相続するか」ということになります。しかし、医療特約などがついていたりもするので、たいていは被保険者が実子であればその人、被保険者が孫ならばその親にあたる相続人が相続します。その場合は、もちろん保険契約を相続した時点での時価などが相続財産としてカウントされます。

しかし、特定の事業者の場合は、満期期日を迎えて契約者が死亡している場合、被保険者が満期保険金を請求できる規定があるようです(法改正などによって変更されている場合もあるでしょう。ということで、今でもあるのかどうかはわかりません)。

そうした仕組みを利用し「自動的に被保険者のものになる」と高齢者に伝えることで、「相続財産としてカウントされないので相続対策になりますよ」などどそそのかしたりしたようです。

仮にそうして被保険者に請求権が発生したところで、その額面上の金額を相続したことには変わりなく、相続資産になるはずです。ここまでくれば完全に脱税幇助といっても良いでしょう。

まあそれでもいざというときには「申告してくださいとは言った」などと言い、言い逃れることは目に見えています。

そうなると言った/言ってないの水掛け論になりますからね。

満期保険金や償還期間満了をあてにする

また、そうした胡散臭い生命保険募集人は常に大口の契約を狙っています。

なぜなら、100万円の養老保険を10件売っても1000万円の養老保険を1件売っても成績は同じだからです。

そうしたわけで、他の養老保険の満期保険金や、国債などの債券の償還期間満了、定期預貯金の満期のタイミングを調べたり聞き出したりした上で、「枠を作っておきましょう」などと言いながら、大口の契約を獲得するのです。

例えば1000万円の養老保険を一気に全期前納払させるのではなく、まずは、200万円だけ前納させて、二年後に満期になる他の養老保険の満期保険金500万円をまたそのタイミングで充当させ、7年後に償還される300万円分の債券で残りの保険料を支払わせるという感じで提案します。

単純な計算上では、それで1000万円になりますが、保険料を支払うタイミングや前納する金額によって、総支払保険料はかなり複雑な計算になります。

で、保険契約の設計書の総支払額に関しては「これは月払いの場合なので気にしないでください」などと言ってごまかし、単純な計算で「満期1000万に対して支払額は1000万だから、お金を置いておくのと一緒」という錯覚をもたらすのです。

そして「しかも、間は保障も付いてるんですよ」などと、お得な提案かのように装うのです。

養老保険の全期前納払なら保険期間が長い方がリターンが大きいのに最短期間を設定されるのはなぜ?

さて実を言うと、養老保険は特に全期前納払の場合保険期間が長い方が満期保険金額に対しての総支払額が少なくて済みます。「お金を預ける期間」が長いため、保険会社が運用しやすくなるからです。だから10年ものより20年ものの方が、死亡保障などの期間が長い割に総支払保険料は安かったりします。

では、養老保険の全期前納払なら保険期間が長い方がリターンが大きいのに最短期間を設定されるのはなぜでしょうか?

それは単純で、その方が生命保険募集人の「成績としての評価」が高いからです。

ということで、基本的には最短期間を設定されたりします。しかし、全期前納払の支払い金額が満期保険金よりも多い場合は、お客に「保険料を取られるんだったらいらない」と思われないようにするため、若干期間を延長したりしてつじつまを合わせたりします。

基本は最短期間で成績を上げておきたいのですが、疑り深いお客に対してはそうした感じで工夫をしているという感じです。

二年で保険金を減額させる伝説の2:8募集

「生命保険の不適正募集の手口」の最後に、伝説の2:8募集(にっぱち募集)についてお伝えしておきます。

これは、生命保険契約の保険金減額という仕組みを悪用した手口で、単純に生命保険募集人が営業成績欲しさに行う悪徳営業です。

その中身としては、例えば、期間10年、満期保険金額1000万円の保険契約にしておいて、200万円程度だけ前納払いさせます。そして2年後に保険契約を200万円に減額します。

すると、生命保険募集人は1000万円の営業成績になります。

しかし、これを紐解くと、200万円の保険の全期前納払ではなく、1000万円の保険の2年分の保険料だけの前納ですので、割引率が異なります。そして、死亡保障も1000万円だったので、2年後に減額しても、最初2年分の死亡保障部分は若干料金を取られることになるのです。

ということで、表向きは同じようなことに見えますが、保険契約者は少なからず損をしています。2年間死亡保障が1000万円だったという部分をもって弁解してくるでしょうが、それが目的で契約したとは考えにくいはずです。

二年で解約させるワケ

上記のように二年で減額させたり、一度保険契約を結んでおきながら、「特約内容が変更になった」とか、「新しいもののほうが得だから書き換えを勧めます」などと言って、二年で解約募集(既契約を解約させて再契約させる)をする理由は、だいたいの保険会社は契約後二年以内の解約は成績にマイナスをつけ、二年を超えた場合は、成績にマイナスをつけないという規定があるからです。

解約募集の場合は、一部だけ成績にする(新規契約について営業手当は出さないが、一部を成績としてノルマの数字に充当するなど)という感じになっていますが、単純な解約の場合は、二年を超えるとマイナスにはならないということなので、「先に大口の成績を確保しておく」という感じで裏技的に「2:8募集」などが横行していたようです(今でも通用するのかはわかりません)。

所詮営業成績が第一

今まで見てきたとおり、不適正募集に関して僕が経験した「無面接募集」などまだかわいいもので、営業成績だけを狙った詐欺まがいの違法な営業が多数存在してます。所詮営業成績が第一ということです。

そして、そんな感じで優秀な成績を残したものを拍手喝采で表彰し、時に不適正募集が発覚しても全力を上げて会社が庇ったりしているのが実情でしょう。

なぜなら、そんな詐欺まがいの不適正募集営業要員は、詐欺的であっても会社にとって稼ぎ頭であり、多少のトラブルくらいは会社で処理しておいて、高齢者などからどんどん契約をもらってきてくれる方が資本主義的にはありがたいからです。

不適正募集の手口(投資信託や個人年金などの場合)

大まかな流れは、先の保険商品に関する不適正募集と同じようなものですが、次に投資信託や個人年金などに関する不適正募集の手口についても少し触れておきましょう。

投資信託や変額年金などの募集に関しては、概ね定期預貯金の満期などのタイミングで「金利がいいのがありますよ」と言った感じで勧めるのが普通です。そしてその中で、やはり不適切としか言いようがないような営業が出てくるのです。

公的年金額の減少・健康保険料など増加で煽り、バブルの時の金利を想起させゼロ金利・マイナス金利を言い訳にする

老齢基礎年金、厚生年金などの年金額の減少や健康保険料の増加を話題とし、不安感を煽りながら「利殖が必要だ」という感じで結論づけていきます。こうした手口は先物取引の勧誘などでも同じでしょう。

そしてその上で、バブルの時の金利を想起させ「今は金利低いですからね。雀の涙のようですもんね」などとゼロ金利・マイナス金利を言い訳にしながら「でも株とかは恐いですよね」などという感じで話を進めていきます。

そして「金利が良いのがありますよ」と提案していきます。

まあここまではまだ健全と言えば健全です。

中途解約や為替変動リスクを隠し預貯金と錯覚させ、定期預貯金等から預け替えさせる

さて、定期預貯金の場合は、中途解約をしても通常の預金金利より少し低いくらいの金利くらいしかつかないというペナルティしかありません。しかし投資信託や個人年金は、中途解約をするとだいたい預けた金額(購入した金額)より低い金額しか返ってきません。

そうした中途解約リスクをはじめ、基準価格変動リスクや外貨建て商品における為替変動リスクについては、必ず伝える必要があるのですが、不適正募集のケースではそのあたりをぼかして話したりします。

そのあたりの重要事項説明に関する点は、当然に問題となるのですが、それよりも根本的に問題だと感じるのは、「元を取れるのはいつ?」という部分です。

確かに配当はあるが、元を取れるのはいつ?

投資信託や個人向けの年金保険において、一番ぼかされているのは「元を取れるのはいつ?」という点です。

例えば、投資信託の場合は、商品種類にもよりますが、概ね購入の際に手数料が取られ、投資信託を現金に戻すときには信託財産留保額というものを取られます。

それを合計するとだいたい4%位になったりします。まあ最初に取られるのと、価値が高まってから取られるのとでは絶対的な数字が違うので、本来は少し計算が必要ですが、だいたいそれくらいだと思っておきましょう。(最初に3%強を取られ、後で1%弱くらいです)

こうした点は定期預貯金とは大きく異なります。確かに表面上の金利である配当としての「分配金」は定期預貯金などよりは高いですが、何かと経費を取られているのです。

そして例え基準価格に変動がなくても、それら分配金の分を取り返そうと思えば、一定の期間を要します。

おそらく高齢者に対して不適正募集がなされる場合に隠されるのはこうした点ではないでしょうか?

一時払変額終身年金など、超ご長寿にならないと取り返せないような金融商品

痴呆症の高齢者に対して不適正募集を行ったという例も後をたたないようですが、一時払変額終身年金など、超ご長寿にならないと取り返せないような金融商品を平気で売りつけたりもしています。

「年金」という言葉が何某かの安心感をもたらすのかもしれませんが、時に110歳程度まで生き続けないと元が取れないような個人向け終身年金が平気で売り出されていました。

こうした問題を受けて現在は販売停止になっているような商品も結構あるようです。

個人向け年金保険には定期年金保険と終身年金がありますが、高齢者向けの年金商品の特性としては、定期年金であれば一括払いで払わせて、「10年かけてそのお金を返していく」というようなものです。その10年で受け取る金額は、支払った金額より少し多いと言うような感じです。

しかし、高齢者向けの終身年金は、一括払いで支払った後、「毎月そのお金を返してもらう」というような構造は同じですが、終身の名の通り、契約者の方がなくなるまでその契約は続きます。ということで、定期年金保険と比べて支払額がかなり大きく、また長期間受け取らないと元が取れないようなものがほとんどなのです。

そんな中不適正募集として、痴呆症の80代の高齢者に対して、110歳程度まで生き続けないと元が取れないような終身年金を売りつけたりしていたわけです。

なぜでしょうか?

その高齢者の方のためでしょうか?

おそらくそんなはずはありません。

自分の身内にも同じことをやるのかどうか、それをよく考えましょう。

再度言っておきますが、不適正募集に関して僕が経験した「無面接募集」など本当にかわいいものであり、それ以外にも営業成績だけを狙った詐欺まがいの不適切な営業方法は無数に存在してます。

しかし、罵声と恫喝によるパワハラ体育会系営業が人を追い詰め、一方で優秀な成績を残したものを拍手喝采で表彰し、監査は形だけで杜撰な上に、時に不適正募集が発覚しても全力を上げて会社が庇ったりしています。

なぜなら、そんな詐欺まがいの不適正募集営業要員は、詐欺的であっても会社にとって稼ぎ頭であり、多少のトラブルくらいは会社で処理しておいて、高齢者などからどんどん契約をもらってきてくれる方が資本主義的にはありがたいからです。

そんな歪んだ資本主義が人を幸せにするはずがありません。

自己欺瞞のまま不適正募集を続けていると、それが必ず心を蝕んでいきます。

自分が不適正募集をしている姿を自分の子供に見せられるのか、親に見せられるのか、配偶者に見せられるのかを検討してみましょう。

それで心が痛むならやめておくことです。

不適正募集の一事案として無面接募集の生命保険契約を無効にした時の様子については、「無面接募集の生命保険契約を無効にする」をご参照ください。不正で違法な契約については、解約ではなく無効を主張し、既払い保険料等を全額返金させましょう。そして同時にそうした営業活動を行った生命保険募集人や金融商品渉外営業担当などに制裁を与えてください。

このようなことが起こらなくても経済社会が成り立つような社会を心より望んでいます。

Category:finance お金に関すること

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