利巧だが狭量

彼は自分以外には何ものも尊重する術を知らない。そこで彼が他人を尊重しようと思うなら、彼はいつもまず他人を自分に変えなければならぬ。この点ではしかし彼は利巧である。 曙光 412

ニーチェもうまいこといいますね。「利巧だが狭量」というタイトルがぴったりで、まるで落語のようです。

狭量は心の狭いことを意味しますが、まあもともと口がうまいことを意味する「お利口さん」の「利口」ではなく、あえて巧みという字を用いる「利巧」という表現を用いた訳者の粋な感じもいいですね。

さて、「利巧だが狭量」ということで、ここで何となく社長仲間から聞いた「某上場企業の社長の実態」についてでも書いていきましょう。

上場企業の社長の実態

ある時、僕に一本の電話がかかってきました。仲のいい取引先の社長からです。なんでもその人が言うには、その人の知人である不動産会社の社長から「交流会」のお誘いがあり、「上場企業の社長が主催しているから、もしよかったら人を誘って参加しないか?」という謳い文句のようでした。

いわば話の流れとしては、某上場企業の社長→不動産会社の社長→僕の取引先の社長→僕という感じでした。

で、僕はその上場企業の社長がどんな人かも知りませんし、全く興味もなかったので丁寧にお断りしました。

そして後日、話の通り某ホテルでその交流会が開催されたようでした。

以下は聞いた話なので、はっきりしたことは知りませんが、概ね次のような流れだったようです。

某上場企業の社長主催の交流会当日

交流会当日、当然僕は参加しなかったのですが、僕の知人(先ほど紹介した社長)ともう一人の知人、そして話を持ちかけてきた不動産会社の社長が、その「某上場企業の社長主催の交流会」に参加したそうです。

知人としては日程にも空きがあり、場所もオフィスの近くだったから、というのがその理由のようでした。

会場には50人近くの人がいて、ひな壇のようなものがあり、その某上場企業の社長とその取り巻きがそこにいて横柄に座っていたそうです。

オレについてくる奴、手挙げろ!

ある程度人が集まったところで、上場企業の社長の演説が始まったそうです。年は結構若めだったそうです。

「えー、オレはこれからこのエリアに進出しようと思っている。オレについて来たいやつは手を挙げろ!」

と、いきなりそんな感じだったそうです。

いわゆる「セイ!ホーオ!」みたいなもんです。

いや「ハードコアビーボーイの奴は手挙げろ!」ノリですね。

で、何の上場企業かと思えば、何かの飲食業の人のようでした。

ということで、新規出店の際に、仕事が回ってきそうな内装屋や広告屋やらが数人手を挙げたそうです。

知人たちは口がポカーン状態です。

「なんじゃこりゃ」

そんな感想だったそうです。

その瞬間です。

その上場企業の社長は取り巻きの方を振り返り

「写真撮っといて」

と命令し、手を挙げている様子はバシャバシャバシャっと写真に収められたそうです。

「よーし、お前らはオレについてくるんだな!」

そう言って、また次に取り巻きの方を向き、

「後で社名と名前、住所を押さえとけよ」

と命令していたそうです。

「オレについてくれば、お前らもいい思いできるんだからな!手挙げたやつ、ちゃんと覚えとけよ!」

という交流会スタートだったそうです。

僕の知人に「お誘い」をした不動産会社の社長は、顔を真赤にしていたそうです。

なんじゃこりゃ。

利巧だが狭量 曙光 412

Category:曙光(ニーチェ) / 第四書

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