動物園の帰り道

およげたいやきくん

幼き日の動物園の帰り道、僕はお母さんに手を引かれて東大路通りを歩いていました。

そこで通りかかった中古レコード店の店先のダンボールで見つけたドーナツ盤に惹かれました。

昔からあまり物を欲しがらない僕が、かつてないほどに強請ったのを思い返します。でも、買ってはもらえなかったのです。

その記憶はいまでも鮮明に残っていて、あの道を通るたびに幾度も思い返したものです。

現在の僕は、人に強請ることはありません。
そして、その気になれば、オークションなどで手に入れることはできます。
しかし、それでは意味がありません。

たまたま記憶をたどって入った、あの日とあまり変わらない趣のレコード店。
見つけた瞬間の僕は、あの日に返ったような気分になりました。
あの日の僕が、今の僕と重なって、僕とこのレコードと遠い記憶が煌びやかに輝いて昇華していった気分でした。

あの日から22年経った2013年のお話。


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