勤めだした頃、労働組合への加入をすすめられました。
かなりしつこい勧誘だったのですが、僕と同じ配属先だった同期と二人でそれを拒否しました。
なんでも、自分のいる支店は労働組合の地方幹部がいるので、顔が立たない、というくだらない理由でした。
そんなもののために月に数千円のカツアゲをしてきたのです。
「組合加入を断るなんて、ここでやっていけると思うなよ」
そんな脅しをされました。
でも、僕と同期は断固として拒否しました。
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入社式の時に仲良くなった同期のお父さんが組合の前期トップを務めた人でした。
「毎日ゴルフに行ってるよ。俺はさすがに入らないとまずいけど、おまえらは入るなよ」
年間1000万円以上もらいながら、毎日ゴルフをしているというのです。
それが自分で作った会社ならまだしも、労働組合です。
不思議な話もあるものです。
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勧誘は一回だけではありませんでした。
また、色々な人から様々な圧力をかけられました。
「組合未加入を理由に仕事を教えないというのなら、あなたのような人間からは教わる気はない」
僕たちは、そういった毅然とした態度でいました。
政治思想のようなものを語る人もいました。
また、「今の労働条件は先輩たちが勝ち取った結果であり、おまえたちは先輩に敬意を示さないのか」
といった内容のものもありました。
いえ、法律が決めているのです。
先輩が決めたのではありません。
少なくともその組織の人たちが作り上げたものではありません。
敬意と組織と上納金は関係ないはずです。
「どうして和を乱すんだ」
そういう内容のことも言われました。
でも、組合加入と「和」は関係ありません。
無償の任意サークルではないのです。
「揉めるのもなんだし、ひとまず入っておいたらいいじゃない」
と言う人もいましたが
「あの人たちに上納するお金があるなら、お母さんに夕食でもご馳走しますよ」
そういって跳ね除けました。
戦友である同期は、
「任意という名の強制ですか?そんなものに屈する気はありませんよ」
と言っていました。
若僧ごとき簡単に落とせると思ったのでしょう。
ひどい時には個別に密室に閉じ込められ、また夜の11時に電話が鳴ったこともありました。
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本社コンプライアンス室に連絡しました。
「圧力団体から脅迫されている」
といって、大騒ぎしました。
「勤務時間内外問わず、入社したての弱い立場にある従業員を、大の大人が寄ってたかって恐喝してきます。労働者を守るべき立場にあるものが、労働者を脅してどうするんだ!」
僕たちは本気でした。
コンプライアンス担当を数時間説得しました。
おかげで、そういった勧誘も一切なくなりました。
会社だって労働組合を叩くいい機会です。
それもわかった上でやりました。
後日、本社から数人の担当者が来て、僕たちを守ってくれました。
ただ、エリア内には「先輩に従わないかわいくない奴ら」として噂は広まります。
どこに行っても一部の人間からは睨まれました。
でも、僕たちは一切屈することなく堂々としていました。
「お、問題児二人」
別の同期に冷やかされましたが、
「俺らはお前らみたいに周りの雰囲気で生きてないからな」
と言い返しました。
そうしていると、「実は嫌々加入している」という人たちが、「今からでも辞めたいよ。おまえらすごいなぁ」と、こちらに加勢してくれる事になりました。
おかげで、睨まれることもなくなりました。
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労働組合にしろなんにしろ、そういった組織・団体は、設立当初はそれは良い思想を持った人たちの集まりなのかもしれませんが、組織が肥大化し、力をつけてくると豹変します。
本業を忘れて、甘い汁を吸うことに固執するようになります。
この一件は、楽な戦いではなかったですが、かなりの勉強をさせてもらったような気がします。
「労働者を守るべき立場にあるものが、労働者を脅してどうするんだ!」
同期とふたりで仕事帰りにファーストフード店の中でうにゃうにゃ会議をして、意を決して電話した時のあのフレーズは一生忘れることはないでしょう。
労働組合の勧誘を断る
「労働組合に入りたくない」という人も多いでしょう。その理由は組合費の割に特にメリットがないからです。
しかしながら、僕のようなタイプの人を除き、入社したてで組合の勧誘を断るというのも少し抵抗があると思います。
まず、第一に知るべきは、高度経済成長の時代でもなし、現代の労働組合は一種の思想団体であり、「先輩への恩」を盾に組合費をカツアゲする集団であると思っておいたほうが無難です。
タチが悪いですよね。入社したてで今後仕事も教えてもらっていかねばならないという弱い立場にある人を、弱者救済を掲げる労働組合が恐喝してくるのですから。
労働組合の狂気じみたところは、加入を拒否すると「先輩を軽視している」という謎の思想を持っていることです。
「この労働条件を勝ち取ったのは先輩の奮闘があったからである」ということを武器にして攻めてきます。
それで少ない初任給からゴルフ代、飲み代をカツアゲしようとするのです。
「この職場で穏便に過ごしたいだろう?」
という脅迫を、新入社員にしてきます。労働者を守るべき立場の者が、労働者をカツアゲするのです。
今や春闘など茶番だと思っておいたほうが無難です。組合のトップを押さえておけばそれで事足り、あとは茶番劇を演じるだけですから。
そこで考えてみたいのが、なぜそんなに高額の組合費が必要なのかという点です。
会社にもよると思いますが、新入社員で5000円、その後数万円にも膨らんでいく組合費は何を根拠としているのでしょうか?
そこで考えてみたいのが、組合員のメリットです。
その費用に対して元が取れるのか、それを今一度考えてみましょう。
もし組合費だけ取られ、労働組合幹部によるパワハラで退職することになったらどうでしょうか。
組合加入ですら体育会系の「先輩バンザイ」を根拠にしたパワハラで半ば強制的に加入させようとするような人を信用することはできません。
コンプライアンス室を利用する
僕が労働組合に入らずに済んだ理由は、コンプライアンス室を利用したことです。基本的に本社と労働組合は敵対関係にあります。内側ではどうなっているのかはわかりませんが、一応表向きは対立しているはずです。
ということで、本社にコンプライアンス室のようなものがあれば、それを利用して脅迫じみた勧誘や勤務時間内の勧誘、深夜の脅迫電話などのルール違反の通報をしましょう。
適当にやるのではなく、時間・場所・発言者などを詳細にメモ書きしておくことです。ボイスレコーダーを使っても構いません。
「労働者のため」という大義名分
労働組合としても「労働者のための団体」と掲げるのなら、そうした疚しいことはしてはいけないはずです。
「労働者のため」という大義名分のもと、カツアゲをしているのが本当のところだと思われたくないのなら、きちんと運営しましょう。
「先輩への恩」とか「和を乱すな」とか言いながら、単にパワハラ的にカツアゲをしているとしか思えません。
なぜなら、現状その人たちは特に何もせず「先輩への恩」をダシにゴルフに行ったり酒を飲みに行っているだけだからです。
労働組合があるにも関わらず、あれほどパワハラ等があるのはどう説明するのでしょうか?
そうしたものを予防したり、事後的に解決しているという事例も特に提示せず、自らはパワハラやカツアゲをしているというのが何も見えていません。
法律上のルールに逸脱しているのであれば、それは組合の範囲を超えて法令違反として労働基準監督署の範疇であったり、民事裁判の領域になるはずです。
だから結局労働組合など何もしていないのです。
おそらくいざという時は、「それはあなた個人の問題だから」といって何もしないでしょう。何もする能力がないのですから。
労働組合に入らないといけないというルールはない
労働組合に入らないといけないというルールはありません。あったら強制的に加入することになりますからね。
ところが任意という名の強制をもって、「自由意志での選択」かのように脅しながら組合加入をさせようとするのが普通です。
その強制力とは、「労働組合に入らないと職場で嫌われるのではないか?」というものです。
新入社員として入社して、労働組合に入らないと先輩から嫌われて、仕事が捗らないというようなことを思わせるのが労働組合の常套手段です。
ところが、労働組合の役員をしているような「労働組合教」の人以外は、「今すぐにでも辞めたい」と思っている人がほとんどです。
「組合費を払うくらいなら貯金したい」と思っている人が大半だと思っておきましょう。
だから意外にも、一目置かれる存在になるかもしれません。
気迫で負けてはいけません。
十分な気迫を持って、その上で頭を使いましょう。
労働組合の勧誘をしてくる人も、心の何処かでは「諸手を挙げてはおすすめできない」と思っていることがほとんどです。
断固として加入を拒否しましょう
労働組合がただのカツアゲ集団だと思ったら、断固として加入の勧誘を拒否しましょう。
そうした態度こそが腐りきったカツアゲ集団である労働組合をより良いものにするのだということに気づきましょう。
そうしたことができるあなたが次の時代のリーダーです。
職場に残るにしろ、退職して起業するにしろ、次の未来の引っ張っていく人になるに違いありません。
最終更新日:
会社で営業ノルマとして会社には関係ないそうめんなどを買わされるのですがどう対応すればいいでしょうか?
おそらく会社OBのところから仕入れているようです。
たまに聞く話ですね。労働組合の場合は「組合費」でしたが、何か品物を売る行為についてのノルマを課して、結果「自爆」させるというパターンでしょうか。
基本的に会社に勤めている限り、特別法などで制限されたものや違法なものでない限り、仕事と言われれば拒否できません。
相手が会社本体なので、難しいですが、そんな時こそ労働者が団結すればいいのではないでしょうか。
ただ、「囚人のジレンマ」のようなものが働くので、「全員で拒否」はおそらく実現は難しいでしょう。
外部の行政機関に相談してみてもいいかもしれませんが、「査定」で脅してくると思うので、少額なら耐えるしかないのかもしれません。
会社は、命令したことに対しての労働時間には賃金を払わねばなりません。そこをついてみてもいいかもしれません。
自爆せずに売り歩いて残業代を請求してもいいかもしれませんね。で、残業代で自爆する、と。
それで、人事評価に響かせるようなら、異議申し立てを行います。そして退職時に争いましょう。
「こんな細かい話・金額で、そこまでしないだろう」という点をついてくるとは思いますが、労力などと比較してご自由に判断なさってください。
極論的には組織に上に立つか、独立・転職するしかないと思います。