党派の中の勇気

あわれな羊たちはその隊長に言う。「とにかく先に立って行ってくれ。そうすればわれわれは君について行く勇気を決して無くさないであろう。」あわれな隊長はしかし心の中で考える。「とにかく私の後をついて来てくれ。そうすれば私は諸君を導く勇気を決して無くさないであろう。」 曙光 419

「会社組織の中で」などなど、ある組織の内側にいる間は、その組織の内側で勇気を振り絞り、様々な知恵を巡らせ、何とかその組織を変えようとしたりすることがあります。

概ね創立から時間の経った組織はどこでも内側は腐っていたりします。仮止めの仮止めが常識となり、傍から見れば変だなぁと思うような状態であっても、その組織の内側の人達から見ればそれが普通だったりします。

何かの組織の内側にいて、その中にいることが苦しく、不快であるならば、その状態から脱する方が良いのは明らかです。

そして、その「脱し方」にもいろいろな方法があります。

失敗に終わる方法

最もオーソドックスで、しかも失敗に終わる方法は、言語的説得によって正当性を主張して、相手を改心させようと試みることです。

「みんな言ってますよ」的なやつとか「みんなで声を上げれば」的なやつです。

おそらくこれが日常で最もよく見られる光景であり、そして概ね失敗しているはずです。

デモ行進を行うとまでは行かなくても、「権限のない人たち」が集団で説得するということをすれば何とかなるのではないかと思い、正論のようなものを振りかざして説得を行ったりしますが、権限がない人たちがいくら集まっても権限はありません。

時にストライキが有効なのは、合法的に「運営が止まる」という事が起こるからという形の構造になっているだけで、普段はそれが会社組織であれ、ただの集まりとしての小規模集団であれ、もちろん国家であれ、説得を持って動かすというようなことはたいていできません。

「あれこれ説得してみても変わらない」そんな経験を持っている人も多いでしょう。

生きることに不器用な人たち

正攻法

では、そうした現状を変更する正攻法とは一体何でしょうか?

ひとつはもちろん辞めてしまうことです。

そしてもう一つは、あなた自身が変わり、その無意識の状態を組織の中に伝播し、感化してしまうことです。

辞めてしまうという選択肢は、現状ではないフィールドに一気に飛んでしまい環境を変えるという感じです。

しかし、現状の状態で選択した新しいフィールドは、今の状態を反映します。ということで、先にやるべきは、外に働きかけることではなく内に働きかけることです。

つまりいずれにしても外に働きかける前に、内に働きかけるほうが良いという感じです。

内に働きかける

そういうと、言語的に自己説得を行おうとする人がいますが、正攻法としてはそれと少し異なっています。

言語的説得は、他人への説得の時と同様に失敗に終わる可能性が高いということは既に経験済みの人も多いと思います。

例えば、有給休暇を取らせないという風潮がある職場で、体育会系の上司がいて、その上で有給休暇を取ろうとするというシーンを考えてみましょう。

言語的思考の上で

言語的思考の上では、法律で決まっている正当な権利であり、日程の調整くらいは良しとしても取得するしないに関して、会社に選択権はないというのが本当のところですし、そうした感じで自分の正当性を確認することは簡単にできます。

しかしながら実際に有給休暇の申請をしようと思った時にはストップがかかります。思考上では決着をつけたはずなのに、です。

体の感覚

そこで思い浮かべてほしいのですが、そうしたストップがかかる時の体の感覚はどうなっているでしょうか?

生きているということは、意識と五感の情報状態を今受け取っているということのはずです。

そこで、ほとんどの人は、「意識」だけを重視し、その他の五感を無視しています。

いざ、申請しに行こうとすると、胸のあたりがつかえたり、胃が震えるような感覚になったり、汗をかいたりといったことが起こるのではないでしょうか?

そしてそういう経験を繰り返していくうちに、同じような状況だと思考上で判断しただけでも、予めストップがかかります。

これは、体が体を守るための反応をしている、ということです。

そうしたパターンが無意識に出来上がっています。

あなたの行動がいかに無意識に制限されているか、ということです。

そして不安や恐怖に苛まれている時は、脳波がベータ支配になっています。

その状態では、単に不安や恐怖を回避することが最優先となります。

そして説得が「うまくいく」ということも、危険回避の最高のパターンですが、体からするとそんなことはお構いなしです。

今すぐに最短で不安や恐怖を解消できるということに頭を使います。ベータ支配ではあまり頭は働きませんからね。

となると、「やっぱりやめておく」という感じのことを選んでしまいます。

だから現状は変わらないのです。

そして、「やめておく」という行動パターンが癖になります。

だからまず働きかけるべきは、そうした行動のパターン、思考と体感のプロセスの部分です。

豊臣秀吉状態の人

まれに、職場全体では「恐い人」と思われているオラオラ系上司であっても、ある特定の人には穏やかに接しているということがあります。

織田信長に対しての豊臣秀吉を思い浮かべましょう。

おそらく豊臣秀吉状態の人は、心身ともに穏やかであるはずです。

恐い人を恐い人だと思わずに穏やかに接しているはずです。

その穏やかさをキープしてみましょう。

穏やかな経験の想起でもいいですし、呼吸を利用しても構いません。

党派の中の勇気 曙光 419

Category:曙光(ニーチェ) / 第四書

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