アフォリズム 491-500

アフォリズム 491-500

  • 491.がっかりと一種の恐怖
  • 492.カルトの躓き箇所
  • 493.苦行と悪業
  • 494.嬉しい時や楽しい時の観察
  • 495.生き方のコントロール
  • 496.遅れて出る結果
  • 497.十二月の風
  • 498.仕方なさと怠け
  • 499.感情の抑制と観察
  • 500.反応と因

491.がっかりと一種の恐怖

現象の有様を観察する能力が限界に近づくと、憂鬱さや悲しみといった感情とはまた別の、とてつもないがっかりや、とてつもない恐怖というものが一時的に生ずる。

492.カルトの躓き箇所

カルト宗教が、普遍的な理のどの部分をどのように誤って捉え、どのような誤った見解を持っているかということは、いちいち検証しなくても瞬時にわかる。

どの現象のどの部分をどのように解釈し、どのような一定の効果を感じ、どのような執著が生まれているかというところも、きちんと観察すればすぐにわかる。

493.苦行と悪業

「相手から罵声を浴びせてもらえば悪業が消化される」といったものや「苦しめば苦しむほど悪業が消えていく」というような算数のような解釈をして、意図的に苦を受けようとしている限り、その意図による「外界を条件として苦を解消したいという欲」は積み上がっているということは見えないものだろうか。

ただの被虐性癖と構造は変わりなく、その仕組みに依存し執著が生まれ、また繰り返す業が生じるという全体構造は、見えないのだろうか。

仮に悪業の論理から言っても、意図的にやっているということは、今の欲によって生じた現象が今の苦痛であり、今の業が今の現象を作っているだけで、元の悪業だけが都合よく消えてくれるかどうかはわかったものではないということを推測くらいはできないかい?

だいたい外界に依存しているじゃないか。

494.嬉しい時や楽しい時の観察

嬉しい時や楽しい時こそ、不満足、不完全、無価値としての苦(ドゥッカ)の観察をすると良い。

495.生き方のコントロール

歪んだものを矯正するために、または何かしらの経済的な安定のために、自然発生したものではなく社会全体としての生き方のコントロールをしているような掛け声が多い。あるものは問題視し、あるものは問題であっても触れないというふうにして、生き方を提示したり、倫理観を提示したり、普通とは何かを暗に示して人の生き方をコントロールしているフシがある。

496.遅れて出る結果

ものによっては、目に見える結果としては、かなり先に遅れて生じるということから、無責任に「大丈夫、問題はない」と言えるだけであり、「今すぐには」という但書が手前についていることを忘れてはならない。

その結果が生じる頃、「大丈夫、問題はない」といった者は、責任が取れないような状況にあるか、死んでいるか、といったことになるため、安易に鵜呑みにしてはならない。

497.十二月の風

外に出るには億劫で、さらに外に出るだけでは体を傷めるような冷たい風が、「厳しい環境でも自分が動けば楽になり、動かなければただただ苦しい」というような、「飛び込むだけでなく能動的に動くことの重要性」を仄かに示す。

498.仕方なさと怠け

何かにつけて「仕方ないじゃないか」と居直る者は、他の者に指摘されても致し方ない怠けを存分に保持している。

499.感情の抑制と観察

感情は抑制するよりも判断なしにその生滅を観察する方が良い。

500.反応と因

反応すると基本的には因を積む。瞬間的な反射的反応としては、その場の現象として置いておき、その後の解釈や判断によって原因を強化させないということを推奨する。

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