先日、養子のうさぎが、「もげているのか?」と思えば、ずっと同じ方向に首を傾げていたので、おかしいなぁと思いつつも、朝のうちは様子を見ていました。外出後も同じ方向に傾けていたので、「やはりおかしい」と思いながらも既に夜だったため、動物病院も開いておらず、てんやわんやになりました。
ひとまず動物病院の診察券を見ると、土曜日も午前中だけは開いているようだったので、朝までの間同じ部屋で寝ることにしました。
具合がわるいからか、あまり食事も摂らない様子でした。
ひとまずは獣医に接し方のアドバイスをもらうまでは、変なことはしないでおこうと思いながらも長い夜を過ごすことになりました。
うちのうさぎは、2歳までの間、別のところで生活していたのですが、養子入りした時から目を開けたまま寝ています。夜行性なので、夜の方が元気ですが、昼間でも目を開けて寝ている姿が「瞑想」をしているようで、「ほう、このような具合か」とよく参考にしたものです。
しかしながら、やはり目を開けて寝ているということはリラックス度はあまり高くないでしょう。一緒にいる時には、少しばかり安心するのか、目を閉じ気味で寝てくれます。特に病中はなるべくリラックスしていてくれたほうが圧倒的に良いはずですから、ひとまずは同じ空間にいることにしました。
何を隠そう僕はうさぎアレルギーです。
それに近づきすぎると、目を開けたりするので、少し距離をとって、お互いにじゅうたんの上で寝転ぶことにしました。
ウサギは一般的に心地よい時には歯軋りをしますが、最近、視線を合わせるだけで、「遠隔歯軋り」ができるようになりました。
距離を取りながらも、遠隔歯軋りでどんどんリラックスの方に向かってもらうことにしました。
明けて翌朝 動物病院へ
その日は交通手段がなく、養子をかごに入れて歩いて動物病院に向かうことにしました。
片道1.5キロ位ですが、なるべく体を揺らさないようにと、ゆっくり歩いたため、50分位かかりました。
診察券を出した時には、思わず腕がプルプルしていました。
診察台で体重を計ると、前回(白内障の時)よりも400グラムほど落ちていたようでした(一年半ほど前ですが)。
基本的にはうさぎの斜頸はパスツレラ菌症かエンセファリトゾーン症のようです。パスツレラ菌などの細菌感染による内耳の異常などによる末梢性のものと、エンセファリトゾーン・クニクリ(カニキュリ)微胞子原虫の寄生による小脳の炎症による中枢性のものか、ということです。ひとまず「脳の神経にダメージが」ということですが、抗生物質、ステロイド、消炎剤の投与で様子を見ることになりました。
ひとまずその場では注射で、ということになりました。
注射が刺さった瞬間は、「おぉん?」くらいでしたが、薬が注入された瞬間は、驚いて暴れだしました。
二本目の注射の時には、刺さった瞬間から、暴れだして診察台(高さ1メートルほど)から飛び降り、抱えられて診察台に戻っても両目を閉じて暴れながら死を覚悟したような表情をしていました。
しかしながら、そんな体験をしながらも、そのような痛みを与えてきた人間に対して何ら攻撃をしてこない様は、とても真似できるものではないと、感心しました。
帰りに公園に寄りましたが、いつもならすぐにかごから飛び出て歩きまわるのですが、その日はかごから一切動かず、金網を外しても一歩も外にでることはありませんでした。
ただひたすらに咲き誇る桜を一緒に眺めた後、ゆっくり帰ることにしました。
奮闘した彼に、大好物のみつばをあげることにしました。
にんじんジュースでお薬を!
その後は家で薬を与えるということになりましたが、うちのうさぎは、不自然なものは一切摂らず、以前ペットショップで試供品としてもらった「うさぎのサプリメント」という錠剤を差し出した時にも、「んー…違う」と、口にしませんでした。
そういうわけで粉末状の薬を、にんじんジュースに混ぜて飲んでもらうということにしました。
その日は既に注射で投薬しているので、ひとまず慣れてもらうために、動物病院でもらった針のない注射器(シリンジ)で、生の人参をすりおろした絞り汁を飲んでもらうことにしました(りんごでもいいようです)。
もし飲まない場合は、ひっくり返しての催眠術(うさぎは体を仰向けにすると身動きが取れなくなります)で、歯の横にある隙間から飲ませてくださいということでした。犬などは飲んだものを吐いたりしますが、ウサギは、一度胃に入ったものは吐けないそうです。
うちのうさぎは、人参よりも春菊やパセリなど、緑系のほうが好きなので、気に入ってくれるかどうかはわかりませんでしたが、ひとまず人参を買ってきてすりおろして、絞りながら端の方に汁を集め、他の容器に移し替えて、絞りかすが注射器に入らないように気をつけつつ準備完了です。
注射器の先を差し出しても、うちのウサギは両目とも白内障のため、あまり見えていないようなので、少しだけにんじんジュースをこぼすようにして匂いでわかってもらおうという試みをしました。
するときちんと飲んでくれました。
薬を混ぜても大丈夫なのか、という点はまだ疑問が残りましたが、ひとまずは、このスタイルをわかってもらうことには成功しました。
翌日からは薬を混ぜて、本格的ににんじんジュース作戦を行うことになりましたが、特に気にならなかったようです。「うまいやないか!もっとくれ」という程の食いつきでした。
ゆっくり注射器から薬入りにんじんジュースを出していくのですが、そのスピードが遅い時には注射器の先を噛んだりしていました。
食欲と下痢
どうしても抗生物質などを摂ると、下痢気味になるようです。
また、斜頸の時には食欲がなくなるようです。水を飲む量も減っていました。
斜頸そのものよりも、食欲の低下などが危ないようです。
斜頸自体が死因となるわけではなく、斜頸の影響によって食欲が低下し、体力が落ちていくことの方が問題になるようです。
最初のうちはにんじんジュース以外をあまり自発的には摂っていなかったようだったので、人参や三つ葉、春菊など、彼の大好物を買ってきて手からあげるようにしていました。
それらを食べると、同時に少しペレットや牧草を食べるようでしたので(まるで「おかずとご飯」のように)、数日間は同じ部屋で生活することにしました。
病院に行ってから、3日ほど経って、斜頸も治ってきました。
もう一度診察を受けることになっていたので、今度は自転車の後ろに乗せて、歩きながら向かいました。
回復傾向が認められるということで、薬の量を半分に減らしてあと6日分、ということになりました。
その頃からは自発的に食事も摂るようになり、日に日に元気になりました(ひとまず完治しました)。
うさぎは、あまり鳴いたりしないため、普段からたくさん接していないと様子の変化がわかりにくいという特徴があります。
毎日接して、少しの変化も見逃さないということが早期発見と早期治療の要になります。
言語は通じなくても、意志の伝達が当然になるように、ペットではなく、人間とウサギという仲を超えて暮らさなければなりません。
斜傾の時にできること
うさぎの斜頸に限らず、体調不良には人間同様マッサージが効果的です。うさぎにもツボがあるようで、それに関する書籍もあるようですが、僕は触っただけでツボらしきものが分かるので、自力でやっています。
下手にツボを強く刺激するとうさぎの体にも負担がかかると思いますので、よくわからない場合は、いつものように優しく撫でてあげてください。
手のひらを温めて、合掌のような状態でこすり合わせつつ、気持ちを愛情いっぱいにして背中にそっと手を当ててあげましょう。
また、うさぎも人間と同じように体調が悪い時は食餌量が減ったりします。特に斜頸の時は、目が回っているような感覚になるようなので、食欲の低下とともに、水を飲む量も減る時があります。
斜頸の程度にもよりますが、寝たきりに近い様な状態になる場合もあります。立ち上がることが難しく、給水ボトルに近づけないということも起こりうることがあります。そうした場合は、シリンジで水分補給をしてあげましょう。うさぎの介護方法などについては、「寝たきりうさぎとの過ごし方」をご参照ください。
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