水木しげるロード第九弾は、「家に棲む妖怪たち」です。
ばけぞうり、二口女(ふたくちおんな)、傘化け(かさばけ)、あかなめ、瀬戸大将(せとたいしょう)、枕返し(まくらがえし)、三味長老(しゃみちょうろう)、ろくろくび、毛羽毛現(けうけげん)、白うねり(しろうねり)、網切り(あみきり)、獏(ばく)、百目(ひゃくめ)、小豆はかり(あずきはかり)、猫又(ねこまた)、倉ぼっこ(くらぼっこ)、家鳴り(やなり)、ひょうとく、天井なめ(てんじょうなめ)、いそがし、といった妖怪がいます。
付喪神(つくもがみ)
「家に棲む妖怪たち」は、付喪神(つくもがみ)がちらほらいるため先に付喪神について軽く触れておきます。
伝承では、長い年月を経た道具などに神や精霊・霊魂などが宿るとされ、人をたぶらかす付喪神は妖怪扱いされているという感じになっています。100年経つと付喪神がつくということなので99年目に捨てるという風習があったりします。そうしたことから九十九を「つくも」と呼んだり、付喪神を九十九神と表記したりという感じになっているようです。
ばけぞうり
草履が化けた付喪神の一種である「ばけぞうり」。出現地は、伊勢(三重県)。
二口女(ふたくちおんな)
食べ物を与えず継子を殺した女が妖怪になった二口女(ふたくちおんな)。前後に口があり、食べる時には髪の先が蛇になり、後ろの口の箸のかわりをする。出現地は、下総(千葉県北部、茨城県南西部)ほか。
傘化け(かさばけ)
古い傘は化けた傘化け(かさばけ)。一つ目で舌を出して笑う。出現地は、鳥取県。
水木しげるの妖怪事典によると、骨傘(ほねからかさ)というお化けが鳥山石燕氏の「百鬼夜行」などに登場するようである。その他傘化けの集団が川を泳いで渡った話や鳥取県の溝口というところに幽霊傘があり、台風の吹く日に人を大空に舞い上げるという話があるようである。
あかなめ
赤い色の子供の姿をして、夜のうちに長い舌で垢をなめるという妖怪「あかなめ」。木が腐ると垢が溜まって「あかなめ」が取り付くとされている。
なお、水木しげるの続・妖怪事典によるとあかなめは誰もいない夜に風呂場の垢をなめにくるだけの妖怪とされている。のんのんばあとオレにも登場。出現地は、中部地方。
瀬戸大将(せとたいしょう)
瀬戸物の付喪神であり頭は徳利、背は燗鍋でできている瀬戸大将(せとたいしょう)。出現地は、愛知県瀬戸市。
枕返し(まくらがえし)
枕をひっくり返したり運んだりする妖怪「枕返し」。
水木しげるの妖怪事典出てきた話の中で、「その部屋で死んだものの霊が枕返しとなっていたずらをする」というものがある。概要としては、まず、旅館に泊まった盲人が誰もいないと思って大金を数えだしたところ、宿の主人がそれを見ており、翌日に山道に案内してそこで盲人を殺して大金を奪う。その殺された盲人の霊が旅館の部屋に住み着き、枕返しとして泊まる人々の枕をひっくり返したというようなお話。出現地は、静岡県。
三味長老(しゃみちょうろう)
三味線の付喪神、三味長老。出現地は、四国。
ろくろくび
夜に人が寝静まってから首を長く伸ばして獲物を求める「ろくろくび」。一般的には女妖怪とされており、標的は男の精気とされている。出現地は、福島県。
毛羽毛現(けうけげん)
ジメジメとした日当たりの悪い中庭などに人のいないときに出没する「毛羽毛現(けうけげん)」。家に棲みつくと、家族の元気がなくなったり病人が出たりする。出現地は、中部地方。
白うねり(しろうねり)
放ったらかしにされた古い雑巾が湿気やほこりによって妖怪となった「白うねり(しろうねり)」。夜に飛び回り人の首や口にまとわりついて不潔なにおいで気を失わせる。出現地は、中部地方。
水木しげる 妖怪大百科によると、白うねりはボロボロの雑巾などを長い間放っておくとなる妖怪であり、ひらひらと空中を飛び、毒ガスのような嫌な匂いを放ちながら人の首に巻き付くという。
網切り(あみきり)
蚊帳や漁師の用いる魚網、干してある洗濯物などをスッパリと切ってしまう妖怪「網切り(あみきり)」。両手の先にはハサミがついている。
水木しげる 妖怪大百科によると、誰もいないのに干し物や蚊帳が物凄く鋭い刃物で切られたように破れている事があった場合、それは妖怪網切り(あみきり)が人のいないときを見計らってチョキチョキンと切ったものとされている。
獏(ばく)
人の夢を餌にする獏(ばく)。体形は熊、鼻は象、目は犀、尾は牛、足は虎のようになっており、毛には斑点がある。出現地は、中国。
百目(ひゃくめ)
体中に目が百個ついている妖怪「百目(ひゃくめ)」。昼はまぶしくて歩けないが古寺や廃寺に夜現れる。人に会うとひとつだけ目玉が一個飛び出し、どこまでもついてくる。出現地は、中部地方。
小豆はかり(あずきはかり)
どしどしと天井を踏むような音やパラパラと小豆をまくような音を出す小豆はかり(あずきはかり)。のんのんばあとオレの主要妖怪でもある。出現地は、東京都麻布。
猫又(ねこまた)
猫が歳を重ね尾が二股になって化けだす猫又。猫股と表記されることもある。出現地は、越後(新潟県)。
水木しげるの妖怪事典によれば次のような話がある。
昔越後国のある武士の家でほとんど毎夜手鞠ほどの大きさの火が、畳より三寸ばかり上をふわふわ飛ぶという。これを追いかけたりすればふわりふわりと飛び回り、隣家の榎に登ることもあった。その他にも怪異現象が続いたが、ある時庭に出て木の上を見ると赤い手拭いをかぶった老猫が音足で巧みに立ち四方を見回していたという。
怪猫は家の主人の矢で射られ息絶えたが、亡骸を見ると尾が二股に分かれ、身は五尺ほどあったという。その後怪火や異変は止んだという。この怪火は猫股の火と呼ばれている。
倉ぼっこ(くらぼっこ)
倉の中で物音を立てたりするくらいで特に悪さはしない妖怪「倉ぼっこ(くらぼっこ)」。倉からいなくなるとその家の家運が傾く。出現地は、東北地方。
水木しげるの妖怪事典によると、柳田国男氏の「妖怪談義」の中に倉ぼっこの話があり、昔、梅原宗得という人の家の古い土蔵に害をもたらさない妖怪がいていろいろな形で現れたという。金剛三昧院の小僧と同じく火防の神として祀られたようである。
家鳴り(やなり)
布団に入って眠ろうとした時、家の中で「ピシピシッ」という音を鳴らせる家鳴り(やなり)。出現地は、京都府。
ひょうとく
「ひょうとく」は、「ひょっとこ」であり、竈の近くに醜い面を祀るとその家は栄える。出現地は、東北地方。
天井なめ(てんじょうなめ)
人のいない間に屋敷や堂に出現し、長い舌で天井を舐め汚いシミをつける妖怪「天井なめ(てんじょうなめ)」。出現地は、群馬県。
いそがし
取り憑かれると、やたらあくせくとして落ち着きがなくなってしまう妖怪「いそがし」。じっとしていると何か悪いことをしているような気分になり、あくせくしていると奇妙な安心感に包まれる。
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