女郎花(おみなえし)は、オミナエシ科オミナエシ属の多年草 。敗醤(はいしょう、おほつち)、チメグサなどとも呼ばれるようです。全草や花単体は生薬としても用いられるようです。解熱・解毒作用があるようです。オミナエシには黄色く細かい花が咲きます。
オミナエシは、合弁花類で、草丈は60-~1m。花期は8~10月。五弁花で、雄蕊は4つ、雌蕊は1つです。乾燥した日当たりの良い山野などに自生し、夏までは根出葉だけを伸ばして、後に花茎を立てます。茎にはほとんど毛はなく、直立して細いです。
女郎花(おみなえし)の葉はやや固くてしわがあり、細かく切れ込んだ羽状複葉で対生。葉の表面には細かい毛が生えていて触るとざらつきます。花期の8~10月に上部の分枝した先に淡黄色の多数の小花を傘状につけます。晩秋に地上部が枯れて、地中の根本にある根茎で越冬する多年草です。なお、似たような男郎花(オトコエシ)という植物もいます。オミナエシもオトコエシも分類体系としてスイカズラ科に属しますが、オミナエシ科として分離して捉えられているようです。
オミナエシの花の香り(ニオイ)
オミナエシの花の香りは、あまりよいニオイではありません。
盆から秋になるとオミナエシは花束などに使用されたりもしますが、花束を嗅いでみると「…」となるはずです。
花の香りというと基本的には気分を良くしてくれるものが多いですが、女郎花(おみなえし)に限っては、正直なところ「乾いた犬の糞」系のニオイがします。もちろん人によってニオイの印象は異なると思いますが、少なくとも僕はそんなふうに感じたりします。
女郎花の花は、かなり小さいですが、五弁花で、雄蕊は4つ、雌蕊は1つです。写真は大半がまだ開花していない蕾の状態で開花後の黄色よりもやや黄緑がかっています。花の直径は4mm程度です。
オミナエシの名
万葉集を筆頭に古典に詠まれた花や草たちは、様々な呼ばれ方をしています。オミナエシも例に漏れず、様々な呼び方をされていますが、敗醤(はいしょう)と呼ばれる時は、敗醤根、敗醤草として薬草としてのオミナエシを指すときの名でしょう。
蕾が小さく黄色い粟粒のようであることから「粟花(あわばな)」と呼ばれることもあります。
一般的には、「女郎花」ですが、読み方を「おみなえし」のみならず「おみなめし」「おみなべし」「じょろうばな」と読むなど、多様な呼ばれ方をします。
万葉集では、漢字表記として女郎花、娘子部四、佳人部為、美人部為などと記されているようです。古典の中では、敗醤を「おほつち」、そして「おほつち」を於保都知(当て字のようですね)、血眼草(ちめぐさ)、女良花、姫部思、姫部志、美妾(おいおい…)、娘部思、娘部志、平美奈敝など、たくさんの種類の漢字があてられています。ひとまず女子っぽさを伝えたいという気持ちだけは伝わってきます。なお万葉集にはオミナエシが14首詠まれているようです。
オミナエシは、現代では女郎花と書くのが一般的であり、「じょろうばな」と呼ばれることもあります。そして女郎(じょろう)と言うと一般に遊女を意味しますが、こうした意味合いになったのは江戸中期頃からであり、平安時代などの頃は高貴な女性を意味する言葉だったようです。
女郎花と男郎花(オトコエシ)
女郎花と同じオミナエシ科(スイカズラ科)の男郎花(オトコエシ)は、オミナエシのような植物ですが花の色が白色です。
この名称の違い、つまり女と男の違いは、女飯(おんなめし)、男飯(おとこめし)から来ているようで、万葉集の頃からこの名があるようですが、かつて女性が食べるものは「粟飯」で、男性が「米飯(白米)」であったことから、黄色い花のものは粟にちなんで女飯(オミナエシ)、白い花のものは白米にちなんで男飯(オトコエシ)という感じで呼ばれていたという説があるようです。
女郎花(オミナエシ)も秋の七草のひとつです。
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