内発的動機づけと外発的動機づけについて。何か物事を成すときには手前に動機がある。人が動機を持つ時、その動機が自発的で内発的なものであるのか、それとも外部からの強制力などを持った外発的なものであるのかによって、動機の性質が変わってくる。
内発的動機づけ
内発的動機づけは、外的な賞罰による外発的な動機づけに対して「その動機が引き起こす活動以外の賞には依存しない動機」である。
環境刺激が適度の新奇性や複雑さをもっている場合、内的な標準と外的刺激の適度な不一致、あるいは不調和がの状態が内発的動機づけを誘発する。
不一致が小さ過ぎれば行動は生じにくく、大き過ぎれば怖れや不安を感じ、行動は起こらず回避してしまう。
なお、内発的動機づけの生理学的な基礎は未解明だが、多くの主に見られ適応的な価値があることから生得的動因と考えられている。
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内発的動機づけは、いわば自発的な動機である。
自発的な動機なのだから、その動機に沿った行動そのものが一種の目的となり、その動機の先にある目的や目標の達成に対して肯定的に捉える傾向がある。
いわば何かを「やりたい」と思っている感じの動機である。その先に何があるかというようなものも関係はしてるが、概ねその行動自体が目的となっている状態が内発的動機になる。
厳密には内発的と自発的は異なるが、心理学的定義としては、それらをそれほど区別すること無く緩やかに語られている 。
外発的動機づけ
外発的動機づけとは、義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけである。内発的な動機づけに基づいた行動は行動そのものが目的であるが、外発的動機づけに基づいた行動は何らかの目的を達成するためのものである。
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外発的動機づけのわかりやすい例は営業ノルマです。営業活動ということ自体が、一種の労働の対価に対する義務であり、かつ、営業ノルマに達しないと減給、罵声などの罰が待っており、達成すると追加の営業手当など貰えるという構造を持っている。
営業の仕事自体が楽しく、どんどん仕事をしたいという状態は内発的動機になりますが、通常仕事は「しなければならないこと」と捉えられており、概ね外発的動機づけによって行動を成しているという構造を持っている。
動機づけに関する営業コンサルの致命的勘違い
世の中では、こうした内発的動機づけと外発的動機づけの違いに着目し、企業などが自分たちの都合に沿うように従業員を動かせようと、内発的動機づけに見せかけた外発的動機づけを行うことがある。
外発的動機づけだとモチベーションが続かないので、内発的動機づけに変わるように、と「気づきを与えればいいんですよ」というような勘違い言動を起こす。
コンサルされたり研修でそういうことをやられると「この人たちは売上を上げたいから私を洗脳しようとしているんだ」というような抵抗が生まれることに気づいているのだろうか?
会社の研修なのに基本的に会社の利益が上がること以外に目的があるわけがありません。そういう前提でいくら内発的動機かのように見える「きれい事」を並べても、「結局、社畜にしたいんだ」としか思わないことに気づいているのだろうか?
たまに体育会系の人は、「内発的動機に切り替えさせるんだ、気づかせるんだ」といった、このマインドコントロールのようなことにハマったりするが、それは騙しているだけである。結局は外発的動機には変わりない。
「単に外発的に『自発的動機』をもたらしただけじゃないか」
ということになる。
それは厳密には内発的動機とは呼ばない。
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