セージ Sage

セージ

セージ(Sage、Common Sage)は、シソ科サルビア属(アキギリ属)の耐寒性多年草です。サルビア(Salvia splendens)の仲間であり、薬用サルビアと呼ばれたりします。「薬用」ということで、収斂作用や駆風作用、抗菌作用があります。調理においては、香辛料や臭み消しとして利用されます。

セージの花

セージの花

セージの花

セージの開花時期は一般的に5月~7月で、紫~白、品種によっては青や赤の唇状花を咲かせます。品種によって開花時期は異なります。

葉と品種

セージの葉

セージの葉

葉は基本的に長い楕円形から細長い葉ですが、色や大きさ、斑が品種によって異なり、細長いアメジストセージ(サルビア・レウカンサ(Salvia leucantha))、濃い赤紫色を帯びた葉を持つレッドセージ(Red Sage)や黄と緑の斑入りの葉のゴールデン・セージ(Golden Sage)、赤・緑・クリームのトリコロール・セージ(Tricolour Sage)といったように多様性があります。

また、パイナップルの香りの葉を持つパイナップルセージ(Pineapple Sage)の他、花からさくらんぼの匂いのするチェリーセージ(Cherry Sage)などの品種もあります。

その他、ブロード・リーブド・セージ(Broad Leaved Sage)、クラリーセージ(Clary Sage)などの品種があります。

メドーセージ

メドーセージ

メドーセージ

メドーセージ(サルビア・ガラニチカ)

生育環境

セージ Sage

セージ

セージは、日の当たる水はけのよい軽い土質を好み、挿し木や取り木で増やすことができます。しかしながら株は、2~3年で衰弱するので、茎や根を切り戻して若返らせるなどの配慮が必要になります。

学名:Salvia offidnalis

「救う」という名の宿命

セージの学名 Salvia(サルビア)は、ラテン語の「Salvare(救う)」や「Salvus(健康)」を語源としています。古くから「庭にセージがある家から死人が出るのは奇妙だ」という諺(ことわざ)さえ残されているほど、この植物は単なる食材を超えて、万能の薬、あるいは「救済者」として崇められてきました。

長寿のハーブとして知られていますが、それは単に肉体的な健康だけでなく、精神的な明晰さを保つ「知恵(Sage)」としての意味も含まれています。賢者(Sage)と同じ名を持つこの植物は、老いてもなお聡明でありたいと願う人間にとって、精神的な支柱のような存在といえるかもしれません。

ソーセージに隠された「防腐」の科学

豚肉加工品である「ソーセージ(Sausage)」の語源の一つに、この「Sauge(セージ)」が含まれているという説があるほど、豚肉とセージの関係は運命的です。

プロの料理人が豚肉料理にセージを使うのは、単なる香り付けだけが理由ではありません。セージに含まれるカルノシン酸などの強力な抗酸化成分が、脂(あぶら)の酸化を防ぎ、肉の臭みを消し去るからです。脂っこい料理を食べた後の胃もたれを防ぎ、消化を助ける働きもあります。美味しいから入れるのではなく、肉を安全に、かつ体に負担をかけずに食べるための「機能的な必然性」として、セージはそこに存在しています。

4人の泥棒とペストの伝説

中世ヨーロッパでペスト(黒死病)が猛威を振るった時代、死体から金品を盗みながらも、決して感染しなかった4人の泥棒がいました。彼らが捕まった際、刑を免れるのと引き換えに白状した秘密のレシピ、それがセージやタイム、ローズマリーなどを酢に漬け込んだ「4人の泥棒の酢」でした。

この逸話は、セージがいかに強力な抗菌・抗ウイルス作用を持っているかを物語っています。現代の私たちが風邪の引き始めにセージティーでうがいをするのは、この歴史的な知恵の延長線上にあります。喉の痛みを感じた時、薬局へ行く前に庭の葉を摘む。それは中世から続く、自分自身を守るための儀式のようなものです。

「木質化」という老化への処方箋

セージを育てていると、数年で株元がゴツゴツとした茶色の木のようになってくることに気づくでしょう。これを「木質化(もくしつか)」と呼びます。草として生まれたはずが、時間を経て樹木になろうとする。その姿は逞(たくま)しくもありますが、放置すれば葉が減り、形が乱れてしまいます。

ここで栽培者の美学が試されます。春先、新芽が動き出す前に、思い切って木質化した部分のすぐ上まで切り戻す必要があります。老いた枝を払い、新しい生命力を呼び覚ます。この剪定(せんてい)作業は、過去にしがみつかず、常に自らを更新し続けることの大切さを教えてくれているようです。切ることを恐れてはいけません。セージは、痛み(剪定)を通して若返る植物なのです。

精神を浄化する「スマッジング」の煙

ネイティブアメリカンの人々は、ホワイトセージという品種を乾燥させ、その煙で場や心身を浄化する「スマッジング」という儀式を行ってきました。

通常のコモンセージにも同様の清涼な香気があります。部屋の空気が澱(よど)んでいると感じた時、乾燥させたセージの葉を一枚、耐熱皿の上で焚いてみてください。立ち上る煙と独特の香りが、空間のノイズを消し去り、散らかった思考をリセットしてくれます。科学的には殺菌効果ですが、感覚的には「邪気払い」に近い体験です。現代社会の目に見えないストレスに対抗するための、静かなる武器となり得ます。

ベルッガルテンの重厚な美

観賞用として庭に植えるならば、「ベルッガルテン(Berggarten)」という品種を知っておくとよいでしょう。通常のセージよりも葉が肉厚で幅広く、丸みを帯びており、そのシルバーグリーンの色彩は圧倒的な存在感を放ちます。

花を咲かせることよりも、葉そのものの美しさを愛でる品種です。雨上がりの朝、葉の表面に付いた水滴が銀色に輝く様は、宝石以上の美しさです。ただのハーブガーデンを、洗練されたオーナメンタル(装飾的)な庭へと格上げしてくれる、プロ好みの名脇役です。

シソ科

Category:植物

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