エンハンシング効果(enhancing effect)とは、内発的動機を持つ人には「すごいねー」などの言語的報酬・外部の称賛がやる気を生み出すという心理効果。自発的に好きでやっていることに対して、そのことを肯定されたり(認められたり)することで嬉しくなってしまうという効果で、アンダーマイニング効果を逆から捉えたような効果。
アンダーマイニング効果は、内発的動機づけによる行為に対して、お金などわかりやすい報酬を与えるなどの「外発的動機づけ」を行った場合逆にそれが目的化し、やる気がなくなっていくという「やる気低減現象」だが、エンハンシング効果は、内発的動機をブーストするような形で行う動機の強化という感じになるだろう。外部が「褒める」ことや「関心を示す」ということで、より一層やる気が出るという効果になる。
「ほめることが効果的」ということの根拠となるような心理効果だが、あくまで内発的動機を持っている人に対して、その動機に沿った形で承認し称賛するということでやる気が高まるという形になる。
エンハンシング効果を利用する
社会においては、外部の人間が「そうしておいてもらっておいたほうがいい」と判断した場合、こうしたエンハンシング効果を利用して「関心があるかのように装う」とか「それがどういうことなのかあまりくわからないが褒めてみる」ということがなされていたりする。
関心はないのに「君のやっていることは素晴らしい」と褒めておいて、その成果のおこぼれはしっかり貰おうとするというような感じである。
やる気や行動への「称賛」
そうした形でなくとも、何かをやる気になっている人に対して、そのやる気や行動を称賛すると、その人は自分の正しさをより確信し、人に応援されていると思うのでさらにやる気になるという感じなる。これがエンハンシング効果である。
もちろん、純粋な称賛という場合もあるので疑心暗鬼になる必要はないが、策士は「関心があるように装い、自分の都合の良いように事を運ばせること」に長けているので、そうした人もいることだけは注意しておこう。
当然のことだが、外発的動機、つまりお金などの報酬の対価として義務的に、また強制的にやらされていることに関して「ほめればやる気を出すだろう」と考えてほめたところでやる気は出ない。「見ていないところでサボっているのがまだバレていないようだ」というような安堵くらいしかもたらさないのが実情だろう。
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