彼の「個々の物」を知る

はじめてわれわれを見る知らない人の眼には、われわれが自分自身そうであると考えているものとは全く違って見えることを、われわれはあまりにも忘れやすい。印象を決めるのは大ていは目につく個々の物以上の何物でもない。 曙光 381 前半

以前、「優美さがない」の「パーカーとスーツ」で少し書いたことがありますが、見た目で判断する人は実に多いような気がします。

見た目で判断されるからこそ、高級車や高級腕時計なんかで対人関係のアドバンテージを稼ごうとするのでしょう。

世間はそんな感じですが、僕は最近営業マンと会ったときなど、Tシャツにステテコでした。

最近そんな感じで過ごしているので、たまに革靴を履いたりなんかすると、どうしてもスネに響いたりします。

日本人の生産効率を落とすために革靴やスーツが導入されたのではないかと思うほどです。

さて、見た目なんかの表面上の「部分」しか見えないとどういうことになるのかということについてでも書いていきましょう。

全体を見ているようで、それは自分目線の全体であって、トータルの全体を見ているわけではないということの事例です。

コンビニオーナーが見る全体と部分

よく某コンビニはロイヤリティが高いとか、フランチャイズオーナーになると地獄だとかそういう愚痴のような記事があります。

個人的には、フランチャイズオーナーになる事自体の神経を疑うというのが普通だと思っていますが、コンビニオーナーになる人は、おそらく自分がする仕事とか経営という部分しか見えていないからあんなものに手を出すのではないかと思っています。

本人目線から見れば全体です。自分がどう生きるかということですから個人的には全体です。でも、人の経営システムの中、人が作ったルールの中に飛び込むのであれば、もう少し俯瞰してその仕組の全体を見るべきだと思っています。

これはコンビニオーナーだけでなく、進路先として学校に行こうと思っている人たちにも言えるような点です。芸術系や専門学校などは特にそうですね。気をつけないと「お客になるだけ」です。

FC本部を含めた全体を見る

フランチャイズオーナーの愚痴のようなインタビューを見ると、本当に自分目線でしか語られていません。

ただ、ちょっと考えてみれば、相手のFC本部はFC本部で、何も慈善事業で仕事に困っている人を助けるためにしているわけでも何でも無く、株式会社として収益を最大化するのが当然です。

個人的には、コンビニに行くと、頭を使うこと放棄した人でもマニュアル通りの作業をすれば収益があげられるほどの経営システムとかインフラなんかを用意しているのだから、ロイヤリティなんかも妥当なパーセンテージだと思うことがあります。むしろ安いんじゃないかなとか、すごい社会貢献だとかも思います。

そうした仕組みを作れない人たちでも何とか仕事ができるみたいな感じですからね。で、嫌ならやるな、嫌なら辞めろです。それは当然じゃないでしょうか。

同じような「売れる仕組み持った店舗」を作れるのなら作ってみろという感じです。それができるならしてますよね。変な縛りもないですから。

とにかく彼らが怒っているのは、「自分の期待が外れた」ということであって、相手に責任ではありません。

「もうこれで、仕事は手に入れた。今後は安泰だ」

というような期待が外れただけです。

最適化としてのドミナント戦略

ドミナント戦略で近くに店舗を作られて、売り上げが半減したとしても、本部としてはそれが収益最大化としての最適化なのですから仕方ありません。そうしたほうが経営効率が良くなるからしているだけであって、元々FCオーナーのことなど二の次です。それは構造上仕方ありません。

相手がどう出るか、それは相手を含めた全体が見えれば見えてくるはずです。相手を含めた上で、自分を中心としてもいいですが、自分たちの都合だけを見て全体を見たような気になってはいけません。

リスクとリターン

そういう風になっていくこと自体を予見できないレベルの経営者だからコンビニオーナーになってしまうのでしょう。そもそも経営者としての資質の問題です。

病気リスクなども全て加味して、リスクとリターンを考えなければいけません。

根本的にそうしたことを計算した場合、割に合わないことはすぐに分かるはずです。

マイホームが夢だと言って、夢を設定されて、ローンという人生の縛りを作ってしまう人と構造はあまり変わりありません。発想が消費者です。まあ借金というお金で仕事を買うというような体質という感じでしょうか。

人のものを扱うサービスでも

好きか嫌いかは別として、例えば人のものを扱うサービスでも営業代行会社なんかは、自社の「営業力」をウリにしています。

でも販売代理店くらいからは怪しくなります。まあそれでも販売力という強みくらいはあるでしょう。

そこでコンビニオーナーを考えた場合は、自社でどんな付加価値を付けられるでしょうか?

まあポスティングなんかで集客するくらいはできるかもしれませんが付加価値が付けにくいはずです。

そうした「仕事」は、タダの作業です。FC本部としては、機械にできない作業をしてくれる「機械」くらいの扱いでしょう。

別にコンビニオーナーの人間性を否定しているわけではないですよ。

ただ、物事を見るときは、自分目線で全体を見たような気になると、結局部分だけを見てしまうことになるという代表例として考えてみただけですからね。

実際家たち

われわれの愚弄さに対するわれわれの要求権

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Category:曙光(ニーチェ) / 第四書

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