語法効果とは、話し方・言語表現によって、相手が捉える印象が変化する効果であり、程度を表現する言葉の違いによって、報告される印象に影響が現れることである。
同じ内容の話であっても、話し方や「使用単語の違い」といった言語表現の違いによって、話を聞く側が感じる印象が変化するという心理効果が語法効果である。
日常においても、話し方一つで相手が受け取る印象が異なることは感覚的に実感があるが、語法効果を裏付けるような実験としてロフタスとパーマーによる研究があり、この研究では使用する単語の違いによる印象の異なり方が確認された。これは語法効果の研究として、使用する単語の違いにより、速度などの印象がどう変化するかといったような形で研究されたものである。
語法効果に関するロフタスとパーマーの研究
1974年のロフタス氏(Loftus,E.F)とパーマー氏(Palmer,J.C)の研究では、自動車事故に関する映画を被験者に見せた後に、「自動車が『激突した(smashed)』時に、車はどれはどの速度で走っていましたか?」といった質問を行い、この質問を基準として質問の表現を変え、印象がどう異なるかを試した。
「激突した(smashed)」という動詞を変化させて「衝突した(collided)」、「突き当たった(bumped)」、「ぶつかった(hit)」、「接触した(contacted)」などの言葉に入れ替え質問をした。その結果、「激突した(smashed)」という動詞で質問した被験者の速度の報告か最も速く印象づいていたため、衝突の程度を表現する言葉の違いによって報告される速度に影響が現れることが示された。
さらに別の実験では、出来事として割れたガラスの描写は無かったにもかかわらず、「割れたガラスを見ましたか」との質問した際に割れたガラスを見たと回答した数を比較した。「激突した(smashed)」を使用した質問の方が「ぶつかった(hit)」を使用した質問より多く、「はい」すなわち割れたガラスを見たと回答した。
こうしたことから、語法効果として「微妙な言い回しによって被験者の反応を操作しうる」ということが示された。
使用単語や言い回しによって印象が変化
語法効果は、使用単語や言い回しによって印象が変化するという心理効果である。内容は同じものでも言語表現や話し方によって印象が変化するということは、使用単語や言い回しによって、印象を操作できるということになる。
同一の内容を伝えるときであっても相手に好印象を与えたり、悪印象を与えるということにも繋がるため、接客品質の向上など、語法効果を良い方向に用いることができる。その反面、事実の印象を操作することができるため、責任逃れなどにも悪用される可能性も否定できない。
なお、実際の出来事に対して後から情報が加えられることによって変化する印象の違いは、事後情報効果として知られている。
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