事後情報効果

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事後情報効果(post-event information effect)とは、何らかの出来事を経験した後に、事後情報としてその出来事に関連した情報を与えられた場合に、出来事と事後情報を混合した内容もしくは事後情報のみに頼った内容を報告する現象・効果である。

何らかの事件を目撃者が目撃した後で、マスメディアからの情報や捜査機関の人物からの情報、もしくは第三者からの情報を見たり聞いたりすると、その「事後情報」のためにオリジナルの記憶が変形したり、再構成されたり、時に失われるという現象が起こる。これが事後情報効果である。

事後情報を与えられた場合、目撃者か自身の持つ「出来事の記憶」ではなく、「事後情報」や「オリジナルの出来事と事後情報を混合した内容」を報告する現象が事後情報効果である。これらはロフタス氏(Loftus,E.F)とケチャム氏(Ketcham,K)による研究によって示された。

事後情報効果の実験

ロフタス氏は被験者に短い映画を見せて事後情報効果の検討を行った。実験内容は次のとおりである。

映画を見た被験者の半数には「田舎の道を走って小屋を過ぎた時に、白いスポーツカーはどれほどの速度で走っていたか]と質問し、映画にはなかった小屋の情報を加えた質問がなされた(Aグループ)。

残りの半数の被験者には「止まれの標識を過ぎたとき、白いスポーツカーはどれほどの速度で走っていたか」という映画の内容と一致した質問をした(Bグループ)。

1週間後に「あなたは小屋を見ましたか?」と質問した。

この時、Aグループの被験者は、17.3%が「はい」と回答した。

Bグループでは、2.7%が「はい」と回答した。

映画にはなかった「小屋」という概念を与えられたAグループの方が圧倒的に多く実際には登場していない「小屋」があったと勘違いした。この事は、事後情報が最初に経験した出来事に加えられ統合されたことを示している。

実際の記憶と「事後情報を混合した記憶」

事後情報効果は、実際の出来事に関する「実際の記憶」と、その後にもたらされた情報、すなわち事後情報とが混合されて記憶が形成されるという効果である。これは人々の記憶の曖昧さを物語っている。

また時に事後情報のみによって記憶(と思いこんでいるもの)が形成される。このことは、事後情報による印象の歪曲などの危険性を示唆するとともに、記憶というものはあまり頼りにならないということをも意味している。

なお、事後情報効果のうち、言葉の表現による印象の変化は「語法効果」として知られている。

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Category:心理学

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