たいていの家電などはメーカー保証が1年になっています。
この「保証期間1年」というものに関してトラブルがありました。
昔学校で習ったのですが、隠れた瑕疵(欠陥)については、変に販売店保証などをつけると、瑕疵担保責任の特約になって「知ってから1年」ではなく、契約時に設定した期間に限定されてしまうというようなことを聞きました。
参考までに瑕疵担保責任について
瑕疵担保責任
第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。第566条
略
前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
瑕疵担保責任とは、まあつまり商品に隠れた欠陥があった時に、買った人はその欠陥を知ったときから一年以内であれば契約の解除などができるというようなものです。
(参考:2020年(令和二年)4月施行の改正民法により、改正前民法第570条の「隠れた瑕疵」という文言は無くなり、改正民法第562条「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」という表現に代わりました。これにより、瑕疵担保責任は契約不適合責任と呼ばれるようになったようです。なお、改正民法においては570条は「抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求」に変わりました。民法566条も改正されており、「不適合を知った時から」というような文言に変更されたりしている他、「損害賠償の請求及び契約の解除」に加え「履行の追完の請求、代金の減額の請求」が加わっています。論点や変更点はたくさんありますが、本題ではないので割愛します)
いちおうこの瑕疵担保責任が原則にはなりますが、販売店の「保証期間延長プラン」などに入ってしまうと、瑕疵担保責任の特約になり、そのプランの期間のみの保証となってしまうという、いわば「無知な人騙し」でもあります。
といっても隠れた瑕疵、つまり隠れた欠陥なので経年劣化などは対象になりません。隠れた瑕疵とは、よくある「リコール」というようなものがそうした対象になります。
ということで、瑕疵担保責任の面から見れば「無知な人を騙す」という意図が見えますが、経年劣化分に関してもある程度保証するというのがそうした保証期間延長プランなのでしょう。
といいつつも保証期間が10年保証などなら、10年間もいけるわけですから、もういいかなと思ってしまいます。
そんなことが本題ではありません。
たいていはメーカーの保証期間が1年という感じで設定されています。
この1年保証がかなりの曲者です。最近ではメーカーがしっかり作らずにほとんどベータ版のような状態で出荷します。理由は簡単で、テストを繰り返して完璧なものを作り込むよりも、クレーム対応をしていったほうがトータルで安いからです。
商品の発売時期を早めるだけで投資分を早く回収できるので、金利分まで利益につながるので当然といえば当然ですが、そういう手法をとるならばこの1年保証のありかたは素早く変えていかなければなりません。
ちょうど今もエコキュートが水漏れし、メーカーに電話しましたが、メーカー保証期間が経過しているので(といいつつタンクはまだ保証期間内です)、販売店保証になるということで、販売店に連絡を入れてくれということでした。販売店保証は15年間になっているのですが、電話してみると
「保証対象は部品代だけです」
と、よくわからないことを言われました。そんなことになったら法外な工事費・出張費を設定することもできます。担当者を一喝して、もちろん無償で修理に来てもらいました。
しかし、やはりそんなことが本題ではありません。
最大の戦いは「保証期間1年」をテーマとした携帯電話会社との壮絶なバトルです。
連続して故障したWi-Fi
いまではWi-Fiを使っていませんが、一時期持っていたことがあります。名前を晒しますが、セイコーインスツル社製のポンコツ機械についてのお話です。
購入後数ヵ月が経過した頃に、突然表示は正常でもiPad等が認識しないような状態が続きました。モードを変えたりしましたが、一瞬つながって、またすぐ切れる、そのような状態が続きました。
保証期間は1年だったので、当然に保証期間内です。この機械を買った所に修理の依頼をしました。その間、貸し出された代替機は正常に動作していたので、場所的な使用環境の影響ではなく、やはり機械に問題があるようでした。
一週間くらいして、修理から戻ってきました。しばらくは正常に動いていたのですが、またすぐに故障しました。交換した部品などの場所が悪いのかと思い、また修理に出しました。
そしてまた、一週間くらいして戻ってきたのですが、やはりダメです。すぐに壊れます。次はコア部分を交換するということになりました。
しかし、またひと月も経たないうちに壊れました。そこで、何度も修理に出すのも面倒なので、いい加減にしてくれ、ということを伝えると同時に、保証期間が過ぎたらどうなるのかを聞きました。
そうすると、「保証期間経過後は1万5千円の実費がかかる」と言い出すのです。しかもその保証期間は、修理に出して返ってきてからではありません。「商品購入から1年間」だというのです。
ということは、あと数ヵ月後は、僕の責任になるようです。
僕は何もしていないのに、僕が責任を取らなければならないそうです。
実費負担させるということは、僕が悪いということですから。
ふ・ざ・け・る・ん・じゃ・な・い!
ひとまず、修理から返ってきてから1年間は保証するように交渉しました。
するとメーカーは「通信業者との保証規定契約があるので、弊社だけでお約束することはできません」、通信業者も「メーカーとの契約がありますので、弊社だけの判断でそのようなことはできません」、という霞ヶ関のような返答が返ってきました。
いやいや、あなたたちの間の話ではなく…という穏便な性格だったら泣き寝入りなのかもしれませんが、そんな事は許しません。イエスキリストに「許しなさい」と言われても許しません。
保証期間が経過すると責任は取らないそうです。
それまでに4回も壊れるような機械を売りつけておいて、保証期間経過後の故障についてはこちらが悪いそうです。
修理から返ってきてからではありません。
保証期間の1年は、商品購入から1年間であり、購入から1年が経過したあとは、それが何度も壊れる物ようなシロモノであっても、購入者に責任があるということを主張されたということになります。
それまでに4回も修理に出さねばならないものを売りつけておいて、です。
そんなはずはありません。
法人名義のおかげで
いちおう消費者センターみたいなところにも連絡しました。しかし、「僕が壊していないという証明」を第三者機関にしてもらわなければならないそうです。水没や落下などですね。
契約の解除にあたり必要となる検査費用は合わせて請求できますが、「そこまでして」と思わせるのが手なのは分かっています。しかし、この機械は法人名義でした。ということで、消費者センター側に「うちでは扱えません」と言われました。まあいいでしょう。
我が家には法律の専門家がいます。ということで相談してみました。
「最初に修理依頼を出したのいつ?」
ということで確か購入4ヶ月位の時でした。いざという時のために関連書類は全て保管してあったので、修理に出した日付もどういう症状かも全て記載してありました。
「じゃあ商法526条でいい」ということで同行してもらいました。
参考までに
第526条
商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。
つまり商法526条によると、半年以内に隠れた欠陥を指摘していれば、契約の解除ができるということです。
解除ということはこちらは機械を返して、あちらから代金を返してもらうということです。
電話口で通信業者の総務の偉いさんが出てきました。
「つまりそういうことです」
淡々と主張したあと、店舗の店員に変わってくれ、ということになりました。
「では、代金をお返しいたしますので、領収書にサインをお願いします」
ということで、返品扱いになったようです。
すると宛名は全然見たことのないような会社名でした。
「フランチャイズ、か?結局あんたらに押し付けるってことか」
結局その責任はフランチャイズの販売代理店がとったようです。でも彼らは悪くありません。悪いのはセイコーインスツルのはずです。売った時に通信契約の報酬が出ていると思いますが、それでトントンなのでしょうか。詳しいことはわかりませんが、なんとなく嫌な気分になりました。
保証期間にはご用心!
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