心理学のうち、物の見え方や知覚に関する位置の恒常性とキュクロプスの眼について。
位置の恒常性やキュクロプスの眼は、対象物を目で見るという場合においても、「物を見るときの物理的な位置関係」が直接の因果関係として成り立っているわけではないというような点について重要な示唆を与える。
位置の恒常性
位置の恒常性とは、物を見るとき、見える位置が網膜の刺激部位だけでなく、頭部や眼球の位置によっても決定されるというような性質のことである。頭部や眼球の運動によって対象から発した光によって刺激される網膜の部位が変わった場合でも対象の位置がほとんど変化せず静止して見える現象であり、例えば、正面に見える物の位置は眼球を上下左右に動かしても正面に見える。
キュクロプスの眼
キュクロプスの眼とは、両眼で対象を見た時の仮想の眼かのような見え方のことであり、近いものを見るとき片眼で見るのとは違ったような知覚のことである。なお、キュクロプスとは、額の中央に一眼を持つギリシャ神話に登場する巨人(単眼巨人)のことで、顔についてはモンスターズインクのモンスター「マイク・ワゾウスキ」をイメージすればわかりやすいかもしれない。サイクロプス (Cyclops) とも呼ばれることがある。
指やペンを眼から数センチのところに立てて左右の眼のそれぞれ片目で凝視したとき、左右の眼の視方向は異なりそれぞれ異なった位置に対象が映る。
しかし、同じものを両眼で凝視した時には単眼視の時に得られた2つの視方向のいずれか一方を知覚するのではなく、両眼の間に仮想された別物の一眼で鉛筆を見ているような知覚が起こる。こうした見え方のことをキュクロプスの眼という。
公開日:2018.10.20
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