現代のような分業社会では

現代のような分業社会では、全体像を捉えた上で個別的作業をするということが難しくなっています。

なぜ全体像を教えないのかという点に関しては、分業の方が合理的であり生産効率が高いからという理由もありながら、「出世させて高い給与を与えたくない」とか「口を出させたくない」という企業側の都合があるような気がします。

しかしながら良い製品やサービスは、可能な限りその構成員の全てが全体像を把握している状態でないとなかなか生まれません。

みんなが全体像を把握している状態

会社組織においては「こっちの部署で最適なことは、あっちの部署では不都合になる」というは多々ありますし、「どっちを優先するんですか?」的な軋轢を生むこともあります。

しかしながらできるだけみんなが全体像を把握している状態であると、そうした軋轢は少なくて済みますし、何よりもみんな向かう方向がわかっているので仲良く協調しやすくなります。

そういえば経営理念の策定で何十万みたいなことをサービスにしている人がいて「…」となったことがあるものの、特に明確な意志決定を行うことが求められている人たちはもちろん、構成員全員が何かしらの指針を持っている方が意志決定のスピードは早まり、何かにつけて全体を通した考え方もできるようになる上に、協調も生まれやすくなるというような気はしています。

混乱を避け、意図を方向づけ、判断の基準を明確にする

業務遂行のスピードはコストや信用にも関わっている部分があります。そしてそのスピード、回転の早さに関わっているものが意志決定であり、意志決定を遅らせているものが混乱です。

そして、混乱を避けるものが何かしらの指針であり、それは全体像を印象づけることによって意図を方向づけることという機能のほか、判断の基準を明確にするという機能をも持っています。

その真価が発揮されるのは製品の開発などが基本となりますが、「嫌な客への対応」といったどちらかというと消極的な業務においても影響を与えます。

自分の属している組織の方針や風土がわかっていれば、対応の仕方にも迷わないという感じでしょうか。

分業社会がもたらす弊害

分業社会になると、自分の業務のことだけを考える人が増えてきます。結果「目先しか見えないと改善の価値がわからない」で触れたようなことになるのではないかと思います。

自分に与えられた義務を最小の手間で処理するという感じで考えつつ、目の前の処理しなければならないことに反応しているだけといった感じです。

分業化され「自分のこなす範囲はここからここまで」というその目線で業務を行うとなると、改善によって目の前の「処理しなければならないことを根本から消す」という発想もあまり出てきません。また、自分たちのことばかり考えたような改善案を実行した場合、他の部署に迷惑がかかって結局企業全体としてはマイナスという感じになるリスクもあります。

分業は一種の合理化ですが、あまりに進むと合理化の上にある収益の最大化等の元の目的からは逆行してしまうことになりかねません。

人は環境に応じて変化する、というか成長するのでハナから決めつけるはよくありませんが、もちろん人にはある程度の適性があります。そうした意味でも分業したほうが効率的であるということはいいですが、分業ゆえに全体がつかめずということになれば、仕事を苦痛な義務として捉えるようになってしまうというようなマイナスの側面もあります。「単純作業のお出ましだ」の世界ですね。

達成目標となる「数字」など、イタチごっこになる

でもそうした全体像について、あまり数字的なものを掲げるのは何だか違うような気がします。

「前年対比3%増」という目標があったとしましょう。

そうなると

「なんで?どっからその数字が出てきたの?」

ということになってしまいます。

営業の部署などでありがちですが、達成目標となる数字など、ある程度の下限は収益上から必須となるということは理解出来つつも、たいてい適当につけられたものであり、それを達成しても翌年にもっときつくなるだけという予測も立つので、何だか違うと思っています。

何かしらの目標値のようなものがあったとして、それを達成したところで安堵は束の間、「来年にはその数値プラスアルファを求められるだけ」という構造になってしまいます。

単にイタチごっこ的になってしまうので「達成しても仕方ない」どころか、達成すると余計に辛くなるという予想ができてしまうため、士気など上がるわけがありません。

本来、理想的な伝えるべき対象は意志や感性の部分になると思いますが、より具体的であったとしても、せめてその数字を達成することで達成できる何かへの貢献とか社会的インパクトとか、「その収益を達成すると翌年から新規プロジェクトを開始できる」とかそうしたものである必要があると思っています。

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