ロストゲイン効果とは、希少価値効果(希少性の原理)をさらに高めたような心理効果であり、「ラスト1つ」といった形で、限定的でその後機会が消失してしまうことをイメージすることによってもたらされる欲の刺激のこと。
期間限定や数量限定といった希少価値によって購買意欲などが促されるという現象をさらに強化し、あと一つで入手チャンスなどが失くなってしまうことを危惧する形でもたらされるのがロストゲイン効果である。ゲイン(gain)とは、獲得や入力を意味するため、「入力が絶たれる」「入力経路が消失する」「獲得することを喪失する」というイメージで捉えるとわかりやすいだろう。
「最後の一つです」の希少価値効果
商売においては実際に在庫があっても、残りわずかであることを演出し購買意欲を高めるといった意図で多用される。また、胡散臭いネット広告などでも同様に「あと一つです。この機会をお見逃しなく」という演出がなされていたりする。
通常の希少価値効果の演出においては、期間限定、数量限定という感じになるが、ロストゲイン効果は、「この機会を逃すともう二度と手に入れるチャンスはない」という感じで「最後の一つです」ということで購買意欲を高めるということになる。
「買うか、買わないか」、「申し込むか、申し込まないか」ということでまだ意志が確定していない時に、ロストゲイン効果は、その両者の均衡状態を破る要素の一つとなりうる。
それは「今を逃すと買うチャンスがなくなる」という意味もありながら、「限定品を買えてしまうあなたはラッキーな人だ」とか「最後の一つを手に入れることができたあなたは特別な存在だ」というような自尊心の充足をくすぐるような心理効果も複合的にもたらされているという感じになるだろう。
「最後の一つを買うことができた」とか「申し込みの最後に滑り込むことができた」という構造から喜びが生まれることになるが、策士はそうしたことを見抜いて演出をしているかもしれない、と思っておくほうが賢明である。
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