イスタンブル
アンカラ(Ankara)からイスタンブル(Istanbul)へ。
さすがに首都と最大都市間だけあって、イズミルのように電車が日に二本ということもなく、午前中に電車に乗れました。約500キロの旅。東京に行くような感覚ですね。
乗れば安心かと思いきや、「途中で乗換」ときました。
乗換駅到着が12時40分。
そこから到着駅までの電車の発車時間が12時55分。
悪寒。
この前は1時間半も到着が遅れたはず…
的中。
乗換駅到着が1時ジャスト。
…
あの、どうやって12時55分の電車に乗るのでしょうか?
ひとまず、プラットホームで駅員さんをつかまえる。
「2番です、急いでください!」
で、猛ダッシュ。おいおい頼むぜトルキッシュ。
15分の余裕はどこに行った…
走る。
走る。
階段を駆け登る。
駅員に詳しく説明してる暇など無かった。
チケットを見せて飛び乗って2秒後にドアが閉まった。
…
おいおい頼むぞ…でも、よかったぁ。ラッキーでした。
―
と言うことで、車内で質問攻め。
すると 「30分後に到着する次の駅で一回降りて、次にくる電車に乗ってください」と、駅員。
指定席のはずの席にはほかの乗客…オレ間違えた?で、指定席では?
まあいい。30分後に到着する駅だな。
全席指定なので、座るところに困る。
お姉ちゃんが指差してくれた空いてる席にとにかく座る。
30分後、降りようとしたらドアが開かない。
…
脇にあったボタンを押してみたり、レバーを引いてみたりしてみたが、開きません。思わず 「なんでやねん!」と叫んでみました。 その声虚しく電車は勝手に走り出しました。
直前に発した「なんでやねん!」に反応してか、おじさんが近寄ってきました。そしてチケットを見せてみました。
「この電車であってるよ」
…
おい、さっきの駅員はなんやねん!
「さあ、君の席はこっちだ」
…
なんで客のほうがちゃんとしてるんだ?ありがとう、おじさん。
で、とにかく座る。
10分後、さっきの駅員がチケットをチェックしにくる。
「ごめん、君の席はここだ」
…
おい、しっかりしようぜトルキッシュ。
―
とにかく到着まで3時間はあるので、ひと段落。
数分後、「アイラン!ベーグル!ネスカフェ!」と売り子がやってくる。
通路をはさんだ隣に座ったさっきとは別のおじさんが、パンと飲み物を買っていた。
今日は11時発で到着は5時くらい。
現在、2時。
「オレもなんか食っとくかなぁ…」
と、思った瞬間、おじさんがたった今買ったばかりのパンと飲み物を差し出してきた。
…
いいんですか?
そう聞いてみたものの通じなかった。
でも、おじさんは胸に手を当てて僕に向けるしぐさをしてくれた。
「ありがとうございます!」
思わず日本語で言ってみた。
10回くらい礼をした。なんていういい人なんだろう。言葉は通じてなかったから「日本人だから」という理由ではないだろう。
まったくわからないトルコ語のアナウンスの中、時間通りに着くことなどまったく期待せず、「スピードが落ちる=駅が近い」という勘と動体視力だけを頼りに到着予定時間20分前から迫りくる駅名に目を凝らす。
到着予定時間。
別の街。
人がぞろぞろ降りる。
もしかしてここか?
いや、この電車を信じるな。
と言うことで、地図を確認。
イスタンブルの手前の街だった。
危ない危ない。
で、予定時間を30分オーバーして到着。
目の前にマルマラ(Marmara)海が広がる。
周りは船だらけ。ああ、楽しい。
とにかくのどが渇いたので売店に行ったら、
「ビールですか?」
おい、オレ何も言ってない。何も指差してない。なのにどうしてオレがビールボーイだと言うことがわかったんだ?で、案の定勢い付けに飲んでみた。
―
「とりあえず宿かな」ということで、宿探し。
2番目に発見したところに入ってみる。
「予約はしてないのですが、今晩泊まれますか?」
「少々お待ちください」
そういう類を受け持つ係りのおじさんが忙しいらしいので、座って待つように指示されて、待ってみた。で、ようやく手が空いたみたいなので、行ってみた。
英語が通じなかった…
横にいたボーイが説明してくれるのに、おじさんは何度も同じ質問をしてくる。どうするオレ。
…
さようなら。
と、いうことで別のホテルへ。
ここでは難なくクリア。さっきのおじさんは何だったんだ?
アンカラでぼったくられかけた際に助かった$200はアンカラで両替。電車に乗ったり土産買ったり飯食ったりしたから、残り150TL。
料金が135TL。ちょっと高いなぁ…高いなぁ。まあいい。で、残金15TLと日本円。
フロントにて「両替はできますか?」
「ドルですか?ユーロですか?」
「日本円なんですけど」
「できません」
…
どうするオレ。
飯どうするのオレ?
明日どうするのオレ?
空港までどうやって行くのオレ?
大丈夫なんとかなるなる。
…
記憶がよみがえる。
アンカラの銀行にて
「円は承っておりません」
いや、少し待てよ、確か空港の銀行カウンターで円が表示されてたはず。ここは空港から外れてるけど、この街はさすがに日本人もたくさん訪れるだろうから、銀行も円を扱ってるだろう。大丈夫。言語表示の問題もあるがカードもある。それか、空港まで行くか?
最初にイズミルに向かうバスのバスターミナルまで地下鉄で行ったのですが、確か1.5TLの固定料金(バスみたいな感覚)だったはずです。
究極、空港まで行けばなんとかなる。今夜の飯を我慢すれば何とかなる。
…
諦めてたまるか!
―
6時半を過ぎていました。
もちろん銀行は閉まっていました。
為替レートを示すボードにはドル、ユーロ、ポンド…
円は?
…
だめだ、ここでくたばるわけにはいかない。
異国での一晩を無駄にするわけには行かない。
ボーイにワイヤレスのパスを聞いて、すぐに部屋で両替に関するページを検索。両替屋はあるみたいでした。と、言ってもエリアが違えば事情は異なります。とにかくこっちの言葉で「両替屋」と言うのを紙に綴ってダッシュでフロントへ。
「左に曲がって50メートルほどでありますよ」
よっしゃ!
ルンルン気分で歩く。
為替レートを示すボード。
よっしゃ!
ドル、ユーロ、ポンド…
大丈夫大丈夫…入ってみる。
表のボードは3通貨でしたが、中には様々な国の通貨のレートが記されていました。そして日本の国旗と「JPY」の表示。
助かったぁ…
で、両替してレストランへ。これがまたうまいうまい。
よっしゃ遊ぶぞ!
と言うことでレストランを後にして、さっきの両替屋の前を通ると、もう閉まっていました(たぶん営業時間は7時まで)。
ラッキー。
で、服買ったり飲み屋を渡り歩いて程よく酔ったころ、
酔っ払いのお姉ちゃんに「トルコへようこそ!」を連発される絡みをされつつ、街の片隅でギターと共に歌う青年の声にノリノリでスキップしていると、
ガク、バキバキバキ。
…
おい、何でこんなところに段差があるのかね?
この鉄板は余計ではないかね?
だから何でこんなところに段差が…
右足首負傷。
すごく痛かったのですが、自分で自分がおかしくなってさらに楽しくなりました。
異国でのスキップにはご用心…
ベンチでしばらく休んだ後、
「関係あるかい!」
と言うことで、無謀にも遊びに行こうとしましたが、3歩歩いて断念。さらに先ほどまで街をグルグル周ってたので道に迷う。
…
とにかく海沿いの道を探す。勘だけが頼りだったが、運良くすぐに見つかった。
ということで、お楽しみはまた明日。
ぼったくりバー リベンジ編
さて、帰国前日に面白いことが起こりました。
最後の夜なので悔いを残すことなく遊ぶために、夜の街に繰り出しました。
大丈夫です。
僕は何の策略も無く狩られにいく草食動物ではありません。
靴のインソールに幾許かのお金を忍ばせて、所持金は日本円にして一万円ちょっと。カードはホテルに残したまま。と、いう感じです。
まあ胆試しです。
食事を済ませた後、まずは普通のバーへ。
これは普通。
次にクラブ(これは踊る方)に行きました。
外国人ということで入り口で止められましたが、店員が「まあいい」と、通してくれました。少々値段は張りましたが、これは健全でした。
1時間くらい踊って楽しんでいると、数十分後から貸切パーティみたいなものがあるようで、私はこの場所を後にしました。
さてどうするか。
もう一軒行っておこう、と言うことで、今度は地下のクラブ(一応踊る方)に行きました。
…
楽しんでたのですが、さっきの所とは形態が違っていました。
―
他の一般の客もいる。
それにもかかわらずオレのところにだけ女が出てきた。
―女。
歳のわりに張りのない目元。
ろくでもない眼。
への字型をした口を持つボーイ達。
―きた。
ボルテージが上がる。
それは下心ではない。
―危険な匂い。
―かかってこいよ。
多少酔いがまわったオレは、おそらく数十分後にくるであろう危険な香りに酔っていた。
背中に薄っすら籠もり出す熱気。
―かかってこいよ。
メニュー表には相場の5倍くらいの価格が示されている。
残金は日本円にして8000円。
5倍といってもまだ事足りるくらいくらいしか飲むことはしなかった。
さあ、どうくる?
案の定。
「1700TL」
きたきた。
この瞬間を待ってたんだ。
「男が好むもの
―危険と遊び
Friedrich Wilhelm Nietzsche」
堂々とキャッシャーへ。
「オレこれだけしか持ってないよ」
「なんだと、1700TL払えよ」
「ごめんな。オレ明日国に帰るからこれだけしか持ってないんだ」
伝票を叩きつける男。
「何がごめんだ!どうするんだ?カードは?カードを出せよ」
「日本人は現金しか持たないのよ」
ジャケットを漁りだす男。
諦めの顔。
「ホテルには無いのか?どこのホテルだ?」
「名前なんか覚えてないよ。歩いていったらわかるけど。でも、行っても無いよ、明日帰るんだから」
「なんだと、じゃあどうするんだ?」
「日本から銀行に振り込んでやろうか?」
「…どうするんだ?警察を呼ぶぞ」
「呼べよ。呼べるもんなら呼んでみろよ。さあ、呼んでくれよ」
「じゃあカメラをよこせ」
「いいよ」
まあいい。一万円もしなかった代物だ。ところで、こいつバッテリーチャージどうするんだ?などと思いながら。
裏で殴られるとかおもしろいな。そうなったらこの悪人の人生を破滅させてやる。いつでもかかってこいよ。こいつらだって悪知恵を持つだけあって意味を成さないリスクをわざわざ負わない。
―金にならないことはしない。
強かな計算があった。
これが日本なら住所を押さえて、後から請求なんてことも可能かもしれない。
日本。
―でも関係ない。民事不介入。 請求に暴力が伴えばお縄。
こいつらに現金を得る手段はない。
強気に出ろ。
「あとはどうするんだ?」
「知らねえよ」
諦めの顔。
目の力が失せていく中年の男。
相手から請求されれば拒むが、自らの請求権は放棄しやすい。
人間の性。
実証成功。
日本でもそうだ。
名目はどうあれ表示されていない料金を「サービス料」などと後に高額請求をする輩。
契約。―申込と承諾。意思の合致があって債権債務が発生する。商慣習だと?主張するなら、しかるべきところで主張するんだな、クズ共。
渡航向けにもらった財布の中に入っていた金を全て抜き出し、目元のくぼんだ男はその中から20TLだけ取り出した。
「帰れ!」
その金をオレに投げつけてきた。
望むところさ。
おまえ、優しいな。
悪人になりきれないんだったら、まともに生きろよ。
勝ち誇った顔で階段をゆっくり踏みながら、輩の巣を後にしたイスタンブルの夜。
ぼったくりバーの手口
普通の飲み屋を装いますが、どこかから女性を「借りて」きます。そして、頼んでもいないのに彼女たち用の飲み物を持ってきます。そして高額請求してきます。
―
帰りの空港でウクライナ人女性と友達になりました。
「トルコで何が一番楽しかった?」
「う~ん…何だろう…」
「女でしょ?ピンポーン」
…
という絡みから始まりました。
女性には勝てません。
ロシア人男性と共に三人で喫煙所にて
「友達に会う時ですらどうして日本人は頭を下げまくるのですか?」
と聞かれました。
…
「今日もその人に会えたことに感謝してるんです」
と、言っておきました。
ここにただでさえ強気な上に、完璧に「ノー」を言える日本人が完成いたしました。
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