第三の都市イズミル(Izmir)から首都アンカラ(Ankara)へ。
バスはやめて電車で行こう。と、いうことで、駅へ。
「あの、アンカラに行きたいんですけど」
あの、おっちゃん、トルコ語はやめませんか?
なんとかアンカラは通じたみたい。で、チケットを確認。全部トルコ語…
おっちゃんはあきらめて、向かい側のインフォメーションのお姉ちゃんのところへ。
出発 17時30分
到着 8時35分
何時間乗るの?しかもまずバスでほかの駅まで行ってかららしい…
―
車内。隣に座ったおっちゃんがクロスワードをやってる。
肩を叩かれた。
「これ何だ?」
「Tokyo ・・・・・・・」
東京、あとはトルコ語。わかるわけがない…
約3分後。
再び肩を叩かれる。 指差した先
□ D O
あ、江戸!
「おっちゃん!江戸!」
「おーエド!」
などと盛り上がりつつ発車。
電気はつきっぱなしで最悪の寝心地のまま8時35分。まだまだ電車は走る。
30分…
1時間…
やっと駅に着いた!
アンカラじゃない…
再び30分…
ようやく10時過ぎに到着。
いいのか?このルーズさ。JRなんてかわいいもんですね。
首都なのに規模でイスタンブルに劣るこの街。イズミルもそうでしたが、服が安い安い。
とにかく食事をとる。
レストランの人に「近くにホテルはありますか?」と、聞いてみたものの、おっちゃんはトルコ語で喋りまくる。
多分、「どこの国からきたんだ?」ってやつでした(うっすらジャポン、コリアンが聞き取れた)。で、「日本ですよ」と答えたら嬉しがる嬉しがる。
ありがとう。で、ホテルはどこですか?そのことを伝えるべく 「otel!otel!」と連発したら若い子を連れてきてくれて、案内してもらいました。
まさかホテルもトルコ語オンリーでは…
という期待は見事に裏切られ、難なく宿を取ることができました。
「思い出」
飛び込みで入ったAnkaraのホテルは
「えー、日本人ですか?この街にはあんまりいらっしゃらないんですよ。130TL(トルコリラ)なんですけど120TLにしときます」
と、まけてくれる姿勢。
さらに上の人が来て「おい、90TLでいい」
と言うことで、かなり値引いてくれた。
フロントの兄ちゃんが
「小額でいいので日本円をいただけませんか?1円とか。紙のやつがいいんですが、一番安い紙幣をいただけませんか?」
「紙幣は最低で千円なんですよ」
「それはTLでだいたいいくらですか?」
「16TLくらいです」
「そんなにたくさんいただくわけにはいきませんね」
と、言うことで1円をあげました。
すると彼はパソコンをカタカタ打って、何かをプリントアウトして差し出してきた。
たった一行、日本語で
「思い出」
オレ達は互いににっこりして握手した。
アンカラの地下のバー
そして「遊ぶぞー!」ということで街へ。一軒目、二軒目とまずまずの感触。で、地下のバーに入ってとりあえず飲んでみました。
「お勘定」
といったにもかかわらず、いきなりお姉ちゃんが三人やってくる。
これはあやしい。
で、一旦お勘定を済ましたあと、15分後くらいに
「530TL」
おい、オレ何も頼んでないぞ…
「ホテルに帰らないとお金はありませんよ」と言ったら
「じゃあホテルまで行こう」と支配人らしきやつのお出まし。
…
530TLだと?ふざけるな。と思った矢先、男二人にかこまれる。
「さあ、どこのホテルだ?」
「あっちですよ」
…
どうするオレ。
…
この状況でどうするオレ。
…
とにかく歩く。
酔いが一気に醒める。緊急でしか出てきてくれない強力なCPUが高速で働く。
おまわりさん発見。ラッキー!
「道を聞きましょう」
と、いうことでおまわりさんに近付いてみる。
オレ一人、敵は二人、おまわりさんは約十人。
なんとかなる…なんとかなる…
小声で「助けてください」と、こちらの状況がやばいことを伝える。
彼らに気付かれないよう、道を聞くフリをして小声で伝えた。
すると、おまわりさんが「とりあえず交番に行こうか」
ナイスフォロー!アイコンタクトでやり取りしながら、おまわりさんはわざとらしく 「彼らは100TL払えって言ってるけど、どうなってるの?」 と、きた。ひとまずパニックを起こしたフリをする。
「とにかく交番に行こう」
と、アイコンタクトと共に地下へ向かう。
すると彼らは携帯電話で何かを話しながら立ちすくんだまま、こちらを見続けていた。
彼らに気付かれないようにおまわりさんが、 「どっから来たの?気をつけなよ」 と小声でささやく。彼らは追いかけてはこなかった。
まあ当然だろう。
「もう大丈夫。ホテルまで一人で帰れるかい?」
「とりあえず交番に行きましょう」
と、言うことでサブマシンガンを持ったおまわりさん約10人に護衛されながら交番へ。「困ったら115にかけてね。一人で帰れるかい?タクシーを呼ぼうか?」なんて優しい言葉をいただきながら、「大丈夫ですよ。ありがとうございました」と、深々と頭を下げて交番を後にしたアンカラの夜。
超親日のトルコにも悪人がいることがわかりました。でも、おまわりさんはとてもいい人でした。いろいろと勉強になりました。
物乞いと布施
物乞いたち。 また、路上で物を売る者たち。身体障害者。シングルマザー。
布施をするのにクリスチャンもムスリムもどころかそんな事は一切関係ない。そしてこれは義務ではない。一方的に分け与えられることを避けるために商行為を介す。
それはそれでいい。だが悪人もいる。
エルサレム旧市街の入り口のベンチで休んでいると中年の男が
「金をくれ」
と片言の英語で、語りかけてきた。
「何で?」
すると答えない。
貨幣を見せてきて、これをくれという。
「これか?」
と見せると、うなずきながら
「少ない。もっとくれ」 ときた。
「何で?どうしててめえにやらなきゃなんねーの?」と強気に出てみた。
「オレは腹が減ってる。それじゃ飯が食えない」
知るかそんなこと。「働いて、てめえで稼ぎな」と、戒めてみた。
伝わったのかどうかはわからない。
―
アンカラの大通りを歩いていると、同じタイプの中年男性が近寄ってきて何かを訴えかけている。
言葉は通じなかったが、金を見せてきました。「これをオレにくれ」ジェスチャーでなんとか伝えようと必死でした。
通じたのかどうかはわかりませんが、僕は「お前の言ってる意味がわからない」と首を傾げてみました。しつこく付きまとってきましが、ある施設の警備にあたっていた軍隊の前に差し掛かると、走って逃げていきました。やましいなら、するなよ。
―
トルコのレストランで昼食をとっていると、その前を盲人が通っていきました。
レストランの店員は少し走りながら、彼に近付いてその肩を抱いて、次の交差点まで彼を誘導しました。
そして走って戻ってきて仕事につきました。
「できる範囲でやる」
いい手本を見せてもらった気がします。
最終更新日: