菊桃(キクモモ)

菊桃(キクモモ)

菊桃(キクモモ)は、もちろん桃の一種でバラ科サクラ属の落葉小高木です。別名「源氏車(ゲンジグルマ)」。

菊桃の木

菊桃の木

桃の花に珍しく、花の形状が菊の花のように細かくたくさんという感じになっていることから菊桃という名がついているということのようです。

菊桃の木2

菊桃の木2

菊桃(キクモモ)の、花期は3月下旬から4月上旬です。夜にライトアップされた様は非常に妖艶でした。

菊桃(キクモモ)の花

菊桃(キクモモ)の花

菊桃(キクモモ)の花

菊桃(キクモモ)の花です。 濃い紅色の八重咲きです。京都府立植物園にて夜間ライトアップの日にライトアップされていました。日中に撮るのと趣が全然違いますね。

菊桃の花

菊桃の花

桃が「菊」を演じる理由

なぜ桃であるはずのこの木が、あえて菊のような姿を選んだのでしょうか。菊桃(キクモモ)の細く切れ込んだ花弁を見ていると、植物の進化というよりは、人間の美意識が自然に介入した証(あかし)を感じずにはいられません。

これは江戸時代から続く「変化(へんか)」を愛でる文化の結晶です。当時の人々は、朝顔にせよ松にせよ、本来の姿から逸脱した奇形の中に、粋(いき)や風流を見出しました。桃が桃であることを少しだけ休み、秋の覇者である菊の衣(ころも)を春に纏(まと)ってみせる。そんな植物による「擬態」あるいは「仮装」を楽しむ遊び心が、この品種には流れています。

別名「源氏車(げんじぐるま)」の雅

菊桃には「源氏車」という、さらに文学的な別名があります。この名の由来は、花弁の広がり方が、平安時代の貴族が乗った御所車(ごしょぐるま)の車輪、すなわち「源氏車」の家紋に似ていることにあります。

中心から放射状に伸びる細い花弁は、回転する車輪のスポークのようです。春の穏やかな日差しの中で、静止しているはずの花が、くるくると回っているような錯覚を覚えるかもしれません。花という静的な存在に、回転という動的なイメージを重ねた先人たちの感性は、現代の私たちにも新鮮な驚きを与えてくれます。

剪定における「残酷な慈愛」

菊桃と向き合う際、最も心が痛む、しかし避けては通れない作業があります。それは花が散った直後の「強剪定(きょうせんてい)」です。

多くの人は、せっかく葉が出始めた枝を切り落とすのを躊躇(ためら)います。しかし、ハナモモの仲間は、春に新しく伸びた枝にこそ、来年の花芽をつける性質があります。花が終わった直後に、枝の根元から2〜3芽を残してバッサリと切り戻す。この一見残酷にも見える行為こそが、翌春に爆発的な花付きを約束する最大の愛情です。夏以降に切ってしまうと、せっかく作られた花芽ごと落とすことになるため、春の決断力が全てを左右します。

「実」を拒絶する美学

菊桃もバラ科の植物ですから、秋になれば小さな実をつけることがあります。しかし、食用の桃のように甘くジューシーになることはありません。硬く、苦く、あくまで種を残すための器官にすぎません。

私たちは観賞用として、この実を早い段階で摘み取ることがあります。それは、実を育てるために使われる膨大なエネルギーを、木の充実と来年の花のために温存させるためです。実用性(果実)を捨て、ひたすらに視覚的な美(花)へと特化する。その潔さが、菊桃を単なる果樹ではなく「ハナモモ」という芸術作品へと昇華させています。

庭における「濃紅」の役割

春の庭は、ソメイヨシノの淡いピンクやユキヤナギの白など、パステルカラーが主流になりがちです。その中で、菊桃の目が覚めるような濃紅(のうこう)色は、空間を引き締める強力なアクセントになります。

一本あるだけで、ぼんやりとした春の景色に明確な焦点が生まれます。また、性質として枝が横に広がりにくく、箒(ほうき)状に上に伸びる傾向があるため、狭いスペースでも高さを出した植栽が可能です。限られた空間で最大のインパクトを演出する、まさに日本の住宅事情に適した「名脇役」といえるでしょう。

バラ科

Category:植物

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