紫陽花(あじさい)

紫陽花(あじさい)

紫陽花(あじさい)は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木です。言わずと知れた梅雨の風物詩であり、いたるところで育てられたりしています。八仙花や七変化という別名もあります。

紫陽花(あじさい)1

紫陽花(あじさい)1

土壌のph値によって花の色が変わる形になり、赤から青(赤紫から青紫)の花を咲かせます。

紫陽花(あじさい)2

紫陽花(あじさい)2

こちらはやや白っぽい紫陽花。

萼が大きく、装飾花と呼ばれる花弁状の萼の方が花のような感じがありますが、中心の細かな両性花がメインの花です。

紫陽花(あじさい)3

紫陽花(あじさい)3

紫陽花の大きさ

紫陽花(あじさい)全体

紫陽花(あじさい)全体

木の高さは1mから2mくらいあります。育てている環境にも依りますが、結構な大きさになります。

三室戸寺 紫陽花(あじさい)

三室戸寺 紫陽花

人の身長くらいの高さがあります。

紫陽花の葉

紫陽花(あじさい)葉

紫陽花(あじさい)葉

葉は対生で卵形、葉の周囲は鋸歯状になっています。

紫陽花の花

紫陽花(あじさい)花

紫陽花(あじさい)の花です。

紫陽花(あじさい)

紫陽花(あじさい)

品種によって花・萼の付き方が結構異なります。

紫陽花(あじさい)花1

紫陽花(あじさい)花1

紫陽花(あじさい)花2

紫陽花(あじさい)花2

紫陽花(あじさい)花3

紫陽花(あじさい)花3

学名:Hydrangea macrophylla

土壌が描く「アルミニウム」の魔術

アジサイの色が土壌の酸性度(pH)によって変わることは有名ですが、その化学的なメカニズムは、まるで魔法のように精緻です。鍵を握っているのは「アルミニウム」です。

アジサイの青色は、花(ガク)に含まれる赤色色素「アントシアニン」と、土の中の「アルミニウム」が結合することで生まれます。酸性の土壌ではアルミニウムが溶け出しやすく、根が吸収しやすいため、結合して鮮やかな青になります。一方、アルカリ性の土壌ではアルミニウムが溶けにくく、吸収されないため、本来の色である赤(ピンク)のまま咲きます。つまり、あの青色は、大地に含まれる金属イオンを吸い上げ、体内で化学反応を起こして発色させた「金属の色」なのです。

華麗なる「嘘」と、小さな「真実」

普段「きれいな花だ」と眺めているあの大きな花びらは、植物学的には花ではありません。あれは「装飾花(そうしょくか)」と呼ばれる、昆虫を誘き寄せるための看板であり、ガクが変化したものです。

では、本当の花はどこにあるのでしょうか。装飾花をかき分けた奥、あるいは額咲きのアジサイなら中央部分にある、粒々とした小さなもの。これこそが「両性花(真花)」です。華やかな装飾花には雄しべも雌しべも退化して無い(あるいは機能しない)ことが多く、種を作りません。地味で目立たない小さな真花だけが、密かに命を繋ぐ機能を担っています。美しさで誘惑する役と、実直に生殖を担う役。この徹底した分業体制が、アジサイの繁栄を支えています。

シーボルトが刻んだ「オタクサ」の愛とスキャンダル

江戸時代、出島の医師シーボルトが、愛する日本人女性「お滝さん(楠本滝)」の名をアジサイの学名にしようとした逸話は有名です。

彼はアジサイに Hydrangea Otaksa(ヒドランゲア・オタクサ)と名付け、世界に発表しました。しかし、当時の植物学界において、個人の名前、しかも現地の愛人の名を学名にすることはタブーとされ、この名は正式には認められませんでした(現在はシノニムとして残るのみ)。

植物分類学の厳格なルールの前に散った、ロマンチックでありながら少し強引すぎた愛の痕跡。アジサイを見るたびに、国境を越えた情熱と、学問の世界の冷徹さを思い起こさせます。

「秋色アジサイ」に見る老いの美学

梅雨が終わり、夏が過ぎても、あえて花を剪定せずに残しておくと、アジサイは驚くべき変貌を遂げます。水分が抜け、色が褪せ、緑や赤銅色が入り混じったアンティークな風合いへと変化します。

これを園芸業界では「秋色(あきいろ)アジサイ」と呼びます。これは品種名ではなく、時間経過によって変化した「状態」のことです(※最初から秋色系の品種もあります)。鮮やかな青春の時期を過ぎ、枯れゆく過程で見せる渋みと深み。欧米ではこのドライになりかけた姿こそがシックであるとされ、非常に人気があります。老いることを劣化ととらえず、成熟した美として愛でる。大人の園芸の楽しみ方がここにあります。

美しき葉に潜む「青酸」の毒

雨に濡れたアジサイの葉は瑞々しく、料理の飾り(かいしき)に使いたくなるかもしれませんが、それは危険です。

アジサイの葉や蕾には「青酸配糖体」が含まれており、体内に入ると中毒症状を引き起こすことがあります。実際に、料理に添えられた葉を食べて食中毒を起こした事例も報告されています。カタツムリがアジサイの葉に乗っている絵をよく見かけますが、実際にはカタツムリも毒のあるアジサイの葉はほとんど食べません。美しいものには毒がある。自然界のこの鉄則は、アジサイにも当てはまります。

来年の花を約束する「夏」の契約

アジサイを育てていて一番多い悩みは「来年、花が咲かない」ことです。その原因の9割は「剪定の時期」の間違いです。

アジサイは、花が終わった直後の夏(7月〜8月)には、もう翌年のための花芽(かが)を茎の中に形成し始めます。もし秋や冬に「綺麗さっぱりしよう」と枝を切ってしまうと、すでに準備されていた来年の花芽ごと切り落とすことになります。花が終わったらすぐに、遅くとも7月中には切る。これが鉄則です。来年の景色を見るためには、まだ暑い盛りに決断を下さねばなりません。

Category:植物

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