秘密をもらす非難

「彼は人間を知らない。」― これはある人の口にかかると、「彼は世俗的なことを知らない」ということを意味する。他の人の口にかかると、「彼は異常なことを知らず、世俗的なことをよく知りすぎている」ということを意味する。 曙光 373

曙光を持って帰ってきましたので、曙光シリーズ再開です。

以前は

「本当のことを言ったほうが良いのかどうか?」

ということに迷う瞬間がありました。

なぜなら、場合によっては、本当のことを言うといわゆる「夢を潰す」ということになりますし、本当のことを言わないというのは、「間接的な嘘をつく」ということになるからです。

しかし現在では、本当のことしか言わないことにしています。

意味を理解しても受け入れるかは別問題

ただし、本当のことを言ったところで、相手はそれを耳で聞くことはできても、日本語の意味を理解することはできても、意識で受け入れることはなく、いわばスルーしてしまうということがよくあります。

まあ簡単に言えば、ゲームに夢中の子供に、「目が悪くなる」とかいうことを指摘しても、子供は「はーい」と言いながらゲームを続けるということです。

そんなことは日常でよくあることなのですが、会社で上司が本当のことを言ったとしても、部下はそれについて返事をしながらも、改善はなかなかしないと。だから、罰則で縛るみたいなことが繰り広げられていたりします。

相手の情動に勝つ

物事を心底理解するためには、前提条件みたいなものを理解している必要があります。それは話の途中で理解していくということでも可能ですが、思考が情動に勝つことはほとんどありません。

ただ、こちらが相手の情動に同調せずいられるのなら、そうした情動に勝てることもあります。

例えば普通の神経なら、母が病気で死にかけている、と。

で、本当のことを言ってしまえば、「母の状態を自分の幸せと関連付けることは迷いです」ということなのですが、感情的になっている人にとっては、そんな言葉はおそらくスルーでしょう。もしかしたら怒ってくるかもしれません。

で、むやみにそういった怒りを呼び起こすのも馬鹿らしいので、「思い悩んでお母さんの病状が良くなるならいくらでも悩みなさい。悩んだところでどうしようもないのなら、できることだけやりなさい」というような若干の言語の変換を行うことになります。

で、それでもまだまだ、感情的に思い悩んでいるのであれば、「そうしてあなたが思い悩むことで、お母さんは『自分のせいで子供を苦しめている』と感じてしまう。だから、最大限に明るくしなさい」というようなことを言うことになるでしょう。

それでもバカは止められない

ただ、そうしたことは伝わったりするのですが、バカは止められないということもまた、受け入れるべきことです。

パチンコに走る人を止める義務はありませんし、そうした人を止めることはかなり難しいでしょう(できなくもないですが)。

今までは、すべての人を説得できると思うフシがありました。

しかし、バカはバカなので、諦めるしか無い場合があります。

バカに話は通じない、これを早く悟るほうがよりよく生きていくことができます。「感情的なバカに話は通じない

それでも少しは諦めずにいましたが、諦めない事自体が執着です。

相手への期待

そうしたことをよく観察すると、相手への期待があるはずです。

「多分わかってくれるだろう」

「変わってくれるだろう」

という期待です。

でも、別に変わってもらわなくても構いません。

もちろん変わってくれても良いのですが、結果には執着しないという感じです。

政治主義にハマっている人を止めるのは馬鹿らしいですし、一生をかけるほどの意気込みが必要です。

若い人からスマートフォンを取り上げることも難しいでしょう。

「難しいことができてこそ」みたいなことを思う必要はありません。

「ただ、そういうのを今、体感しているだけじゃないか」

たったそれだけなのですから。

秘密をもらす非難 曙光 373


数ある期待のうち、「自分の話を理解はしてくれる」ということタイプの期待があります。相手が自分の話の内容について同意はしなくても理解はしてくれるということを無意識に思っています。

クレームを言う人も「少なからず意見は採用されなくとも、そうした意見自体は相手に伝わるだろう」と思っているはずです。

しかしながら、そんな期待とは裏腹に全く話が通じないという瞬間もあるのです。

怒りの中には期待があり、期待が無くなれば嫌な感情は消えていく

Category:曙光(ニーチェ) / 第四書

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