睡蓮(すいれん)

睡蓮(すいれん)

睡蓮(すいれん)は、スイレン科スイレン属の水生多年草です。本来、睡蓮(すいれん)の名は、日本に一種だけ自生する未草(ヒツジグサ)の漢名を指しますが、一般的にスイレン科スイレン属の総称として用いられます。温帯スイレン(温帯性スイレン、耐寒性スイレン)や熱帯スイレン(熱帯性スイレン)といったように生息する地域によって様々な睡蓮の品種があります。

睡蓮(すいれん)

睡蓮(すいれん)

花は朝開いて夕方まで咲き続ける昼咲き性のため、睡る蓮ということで睡蓮(スイレン)と呼ばれているようです。品種によっては夜咲き性のものもあるようです。

睡蓮(すいれん)2

睡蓮(すいれん)2

水位の安定した池などに生息する抽水植物の一種で、水底の泥や土に根を張り地下茎から長い茎を伸ばす形で生育し、水面に丸い葉を浮かべ、茎をのぞかせて花をつけるという特徴があります。

睡蓮(すいれん)3

睡蓮(すいれん)3

睡蓮(すいれん)の花

睡蓮(すいれん)の花

睡蓮(すいれん)の花

睡蓮(すいれん)の花です。温帯スイレン、熱帯スイレン共に、白や赤、ピンク、黄色、それらを複合した色の花があるようですが、青や紫を含む花は、熱帯スイレン特有のようです。

睡蓮(すいれん)の葉 浮葉

睡蓮(スイレン)の葉 浮葉

睡蓮(スイレン)の葉 浮葉

睡蓮(すいれん)の葉は、丸型の葉に切れ込みが入るような感じになります。円形から広楕円形の葉で、切れ込みが入るような形でハート型のようになっているものもあります。

睡蓮(スイレン)の葉 浮葉2

睡蓮(スイレン)の葉 浮葉2

睡蓮の葉は、水に浮きますが、蓮(はす)のような強い撥水性はありません。また、蓮のように空中に葉がつくような感じはなく浮葉のみといった感じです。

葉の裏面は水に浸っているため葉の表側に気孔があります。

学名: Nymphaea

「氷の貴婦人」と「熱帯の踊り子」

園芸家は、スイレンを一括りにしません。そこには明確に異なる二つの種族が存在するからです。「温帯性スイレン」と「熱帯性スイレン」です。

モネが愛し、日本の池でよく見かけるのは「温帯性」です。彼らは寒さに強く、水面に浮かぶように慎ましく花を咲かせます。一方、「熱帯性」は寒さに弱い反面、水面から茎をすっと立ち上げ、空中で華やかに花を開きます。 水面に張り付く静寂の温帯種と、水面から踊り出る情熱の熱帯種。その立ち姿の違いを見極めるだけで、目の前の花がどの気候帯から来たのか、その出自を読み解くことができます。

「青」が存在しなかった孤独な歴史

バラに青がないように、かつて温帯性スイレンにも「青色」は存在しませんでした。青や紫の花を咲かせるのは、決まって熱帯性の品種だけでした。

「日本の冬を越せる、青いスイレンを作りたい」。それは世界中の育種家たちの長い間の悲願でした。異なる種族である温帯性と熱帯性は、通常交配しません。しかし、数えきれないほどの失敗と、バイオテクノロジーの進歩、そして情熱的な育種家たちの執念により、近年ついに温帯性でも青や紫の品種が誕生し始めています。今、私たちが目にするかもしれない「青い温帯スイレン」は、自然界には存在しなかった、人間の夢が具現化した色なのです。

優雅な白鳥の「暴食」

水面に浮かぶ姿は優雅そのものですが、水面下の現実はもっと泥臭く、貪欲です。スイレンは植物界でも屈指の「肥料食い(大食漢)」として知られています。

美しい花を次々と咲かせるためには、泥の中で大量の栄養を消費し続けます。もし、日当たりが良いのに花が咲かないとしたら、その理由は十中八九「空腹」です。追肥という形での食事を与えなければ、彼らはすぐに沈黙してしまいます。美しい舞を披露する白鳥が、水面下で激しく足を動かしているように、スイレンもまた、泥の中で激しいエネルギー代謝を行っているのです。

三日間だけの「概日リズム」

「睡蓮」の名は、夕方になると眠るように花を閉じることに由来しますが、その開閉運動は極めて正確な「概日リズム(体内時計)」によって制御されています。

一つの花の寿命は、概ね「三日間」です。一日目は雌しべが開いて花粉を受け入れ、二日目以降は雄しべが花粉を放出し始めます。自家受粉を避けるための完璧なタイムスケジュールです。三日目の夕方、水没するように閉じていく姿は、役目を終えた安堵と共に、水底という黄泉の国へ還っていく厳かな儀式のようでもあります。

古代エジプトの「青い幻覚」

エジプトの壁画や装飾に頻繁に登場する「青いスイレン(Nymphaea caerulea)」。これは単なる装飾ではありませんでした。

古代エジプトにおいて、この花は再生のシンボルであると同時に、儀式に使われる「薬」でもありました。近年の研究で、青いスイレンにはアポモルヒネなどのアルカロイドが含まれており、ワインに浸して飲むことで、軽度の陶酔や幻覚作用をもたらした可能性が指摘されています。彼らが神と交信するために見ていた夢の景色には、この青い花の成分が溶け込んでいたのかもしれません。

胎生(たいせい)という驚異のクローン術

熱帯性スイレンの中には、「ムカゴ種」と呼ばれる特異な能力を持つものがいます。

葉の中心(葉柄の付け根)から、なんと新しい「子供の株」が生まれてくるのです。花ではなく、葉の上にミニチュアのスイレンが育ち、やがて親の葉が枯れて溶けると、そのまま水底に根を下ろして独立します。種を作るという不確実な賭けに出るのではなく、自らの肉体の一部から完全なクローンを生み出す。その繁殖戦略は、植物というよりも、分裂して増える微生物のような生命の逞(たくま)しさを感じさせます。

Category:植物

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