割引原理と割増原理

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割引原理(discounting principle)割増原理(augmentation principle)は、共にアメリカの社会心理学者ハロルド・ケリー(Harold Harding Kelley)の帰属理論に登場する原理であり、因果推論に関する一般的ルールを意味する。

割引原理は主にある要因が割り引かれて評価される場合の心理を示し、逆に割増原理はある要因が特に強調されて割り増しされて評価される場合の心理を示す。

割引原理

割引原理(discounting principle)とは、ある原因の因果的影響力は「それ以外に『原因かもしれない要因』が存在する時」には割り引かれ、低く評価されるという原理である。報酬や集団圧力、社会的役割などのように、行動を促進し起こりやすくするような要因が存在する状況で起こった行動では、行為者の自発的意図が低く推定されるような場合に働く。バイスタンダー効果(傍観者効果)などもその一例と考えられるだろう。

主に「自発的に行ったのではなく仕方なく行ったのではないか?」という推測が立つ場合に割引原理が起こる。

「他から制限されず、複数の選択肢があり、利害も影響しない」といったような社会学的な自由意志の割合によって、評価の割引がなされるということになる。

割増原理

割増原理(augmentation principle)とは、周囲からの反対や物理的障害や制約、損失などのように、行動を抑止し起こりにくくするような要因か存在する状況に対して適用される推論の方式・原理である。何かしらの障壁がある状況下で起こった行動に対しては、促進的な要因が特に強調され、高く評価される傾向がある。何かしらの困難があった時、本人の強い意志や何かしらの特異性のある能力などをより強調して評価するというような原理である。他者の行動に対する帰属においては、直接に行為者の内的な動機や態度などを知ることが困難なため、外的状況の性質から見る形でそれらの内的要因の関与の程度を推定することが多い。

割増原理の代表例としては、少年漫画で描かれる「強すぎる敵」に向かうヒーロー像への評価やロミオとジュリエット効果などがわかりやすいかもしれない。

本来の行動の評価を超え、強い意志があった、困難に打ち勝ったというような構造があるとその分だけ割り増されて評価されるというのが割増原理である。

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Category:心理学

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