アフォリズム 781-790
- 781.軽視されてしまうこと
- 782.構成員の都合と目的
- 783.門外不出
- 784.放棄の許容
- 785.社会生活において最も重要な点
- 786.男の自信について
- 787.読書の効用
- 788.実家の本棚
- 789.嫌悪をもたらす自信家への態度
- 790.「そのまま観る」の「そのまま」
781.軽視されてしまうこと
相手に軽視されてしまうことは、相手にとっても悪いという面がある。
相手の慢心を生む上に、時に女が女でいられなくなる。
782.構成員の都合と目的
何かしらの集まりというものは、何かしらの抽象的な目的が力を持たないと、各々の都合や力の状態によって事が進まなくなる。
783.門外不出
音楽であれ、美術であれ、文学であれ、それが素人のものであろうが玄人のものであろうが、おそらく世の中には、一般公開されていない門外不出の作品がたくさんある。
出すような質ではないという場合もありながら、優れていながら極めて個人的なものゆえに外には出ないという場合もあるだろう。
784.放棄の許容
「今日を放棄すれば、後の4日は3倍動ける」という場合でも、市民生活はそれをなかなか許さない。
社会の合理性が、個人の合理性と一致していない代表例である。
785.社会生活において最も重要な点
社会生活において最も重要な点のひとつは、ただひたすら根拠なき自信に満ち溢れることである。
他のものは後から勝手についてくる。
一切を放棄してでも、自信に満ち溢れるように自らを導かねばならない。
786.男の自信について
男が自信を持たないと、女は女になれず彷徨うことになる。しらけて冷淡となるか横暴となるか、逃げていく。
その一方で客は売り物を避け、部下は仕事をサボるだろう。
男に自信を取り戻して欲しいゆえに、女は傲り、客は遠のいて収入は減り、部下は仕事をサボる。
すなわち、女が強気になり、お客が遠のき、部下がサボるのは、男に対して「すべてを突き破る自信を持ち、それを保て」という証である。
787.読書の効用
読書というものはそれが直接もたらす知識の他に、抽象空間に没頭することによって、普段の問題を無意識で処理することに一役買うという点がある。
この効用は読書に限らないが「読んで、寝る。そして夢を見る」というのが最も効く。漫画でも構わないが、絵としての具体性がない小説の方がより適している。
そして書物は何より精神にとっての栄養となる。
788.実家の本棚
実家の本棚を見ると、若き日の自分は必死だったのだということがよく分かった。
789.嫌悪をもたらす自信家への態度
自己愛が異常に強く嫌悪感すら感じる自信家を見た場合、その者よりも自信を持たなければならない。
強い自我の自己愛のみで完結し慈悲が薄い者よりも、より大きな慈悲を持つ者が彼らよりも自信がなくてどうする。
790.「そのまま観る」の「そのまま」
現実をそのまま観ると言った時の「そのまま」がなかなか伝わらない。
幼き者が現象を全力で体験しているということに近いが、それは経験となり知識となり、再利用のための記憶、自己定義を多少なりと加えていくため、少しニュアンスが異なる。
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