アフォリズム 621-630
- 621.脅迫としての愛
- 622.負率0%
- 623.格闘のフライングカウンター
- 624.精神のフライングカウンター
- 625.自尊心と劣等感
- 626.断絶と回路の形成
- 627.生活の中の因と縁
- 628.劣等感やモテ欲を刺激する脅迫
- 629.家と妻
- 630.忍耐の選択
621.脅迫としての愛
仮に神学的に考えた場合、いわゆる堕天使は、元天使であり、神的な論理、概念をひとまずはある程度知っている者ということになる。よって、神的な概念を用いて、人を陥れるのに長けている。
「期待に応えないのは、愛がないということになる」
といったように。
622.負率0%
世間で言う論破という言葉は、「論理で勝つこと」を連想させるが、「勝つ」ということを意識する必要はない。
知識比べであるならば、きっと負けることの方が多いだろう。
しかし、純粋な論理の上で負ける確率は0%である。
623.格闘のフライングカウンター
武道や格闘技をしている相手であるならば話は違ってくるが、実際の格闘において、肉体的な大きさや強さはさほどあてにならない。
「我」を静めることによって、相手の力を利用し、さらに相手よりコンマ数秒速く動くことができるのだから。
624.精神のフライングカウンター
薬物の影響などにより完全な狂人となっている相手であるならば話は違ってくるが、精神的な対峙において、社会的立場としての大きさや強さはさほどあてにならない。
「我」を静めることによって、相手の都合、欲や怒りの力を利用し、さらに相手よりコンマ数秒速く先手となる意志を形成することができるのだから。
625.自尊心と劣等感
自尊心を高めるというアプローチよりも、劣等感を無くすというアプローチの方が本質的である。
そしてそれよりも劣等感自体が虚像であると完全に見切るということの方がより本質的である。
626.断絶と回路の形成
あまりに断られていると、それ自体に興味を持たなくなり代替手段や代替物を探すという回路が形成される。
一度別の回路が形成されてしまった場合、その代替回路を壊す程度のインパクトのあることをしない限り、概ね元には戻らない。
627.生活の中の因と縁
原因はあっても条件が揃わなければ結果は生じない。
条件を整えたところで、原因が消滅しているのであれば、結果は生じない。
原因を取り除かなくても、条件を取り除けば結果は消えるか、弱いもの、別のものに変化する。
条件状態に変化がなくても、原因が消滅すれば、結果は消える。
一つの原因ではなく、様々な原因が、一つの結果を生じさせる場合もある。
肌が荒れたり、慢性的に頭痛がするのは、睡眠不足といった原因の他に、栄養状態や気持ちのあり方など、幾多の原因があるように。
そしてその原因には、部屋が散らかり、様々な単語や概念が意識に入ってきて思考をかき乱すといった点や、タンスの肥やしとなった服に生じたカビが出す毒素も含まれている、といったように。
628.劣等感やモテ欲を刺激する脅迫
世の中には、「これができないなんて」「これを所有していないなんて」というような雰囲気を作り、「かっこ悪いぞ」「モテないぞ」という劣等感やモテ欲を刺激して人をコントロールしようとするような脅迫がたくさんある。
ただしそれらは虚像である。
逆上がりもできない、一輪車にも乗れない、スケートボードも乗れない上に、英会話も中学生レベルではあるが、「別にモテたくないですよ」と思っているにも関わらず、行列ができるほどモテるということが、「それらは虚像である」ということを示している。
それらができることは構わないが、「できなくても何の問題も生じない」ということもはっきりと示すべきではないだろうか?
これは所有物に関しても同様である。
「最低限、携帯電話くらいは要るでしょう?」
という反論もきそうなものではあるが、安心したまえ。
本当に好かれているのなら、待ち伏せしてでも近寄ってくる。
629.家と妻
例えば、家を新しく買って住んだとしても、窓も開けず、何のメンテナンスもしないまま住み続けると、その間は住心地は悪い上に不健康になってしまう。そして、そのうち床や柱が腐り、いずれ倒れてしまうだろう。そうなると大金は台無しになる。
それと同じように、妻を迎え入れたとしても、窮屈な状態を強いて、相手の心が明るくなることをこれといって何もせずにいると、共にいる間は居心地が悪くなり、関係は崩れ、いずれ別れてしまうだろう。そうなると、財産も持っていかれることになる。
窓を開けるように日常から気晴らしを心がけ、時に旅行に行って大きく風通しを良くしたり、部屋を飾るように、花を贈ることを心がけていると、損失回避はもちろんのこと、より幸福な日常を送ることができるだろう。
「面倒だ」「水道光熱費が余計にかかる」と、少しの手間と費用を惜しんだがために、住んでいる間も居心地が悪かった上に、家が崩れ莫大な損失が訪れるように、妻を蔑ろにすると、共にいる間も居心地が悪い上に莫大な損失が訪れる。
息子や娘が手をかけている場合もあるが、妻の美しさや活力を見れば、概ね夫である男の質がわかる。
しかしながら、相手が女である以上、行き過ぎた気遣いは禁物である。
630.忍耐の選択
瞬間的なもの、短期的なものであれば耐えるということも意味を成す場合があるだろう。
しかしながら、中長期的に忍耐があり、それが苦しみをもたらしているのであれば、その忍耐を選択しているということ自体が、誤りであることを示している。
ただしそれはひとつのチャンスである。
「忍耐を選択させている源流」を具に観察して、「ある正しさは不完全な正しさである」といった構造を見破ることができるかもしれない。
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