アフォリズム 191-200
- 191.君の楽しさや安心
- 192.安ドラマの安演出
- 193.若き野心とおじさん
- 194.似て非なるものを見抜く
- 195.美に遠き者
- 196.愛の抽象性
- 197.例外が原則
- 198.気づきのための経験
- 199.言葉による肯定
- 200.決まっていることと決めること
191.君の楽しさや安心
君が楽しさを感じたり、安心するというのは、それはそれでいいだろう。しかしながら、君が楽しんでくれること、安心してくれることについて、私は何の楽しみも安心も喜びも感じないとすれば…
ということを考えたことがあるのだろうかと疑わざるを得ないような人間を稀に見かける。
192.安ドラマの安演出
安いドラマの安い演出がこの世になければ、寒気を呼び起こすクサい会話というものは、もっと希少性のあるものだったのかもしれない。
193.若き野心とおじさん
若者の野心というものは、おじさんの暇つぶしと「自尊心の踏み台」にうまく利用されてしまうことがある。
194.似て非なるものを見抜く
およそ熟練に到達するには似て非なるものを見抜く能力を磨くというのが最も早い。その能力を磨くためには幾多の時間と経験が必要になるにしても。
195.美に遠き者
美に関心があり、美に近そうな者ほど、たいてい美から遠い。
196.愛の抽象性
愛という抽象性の高い概念は、混乱ばかりを生み出す。
定義が曖昧で多岐に渡るため、ただの性欲や興奮、陶酔、狂気をそれと結びつけようとする者を止める術が少ない。
197.例外が原則
「男ならこの手に乗らない者はいないだろう。100人に1人くらいの例外を除いて」
と思うのであれば、その100人に1人であると考えていただいて差し支えない。
198.気づきのための経験
「振り返ってみるとくだらなかった」という感想は、あくまで経験を経たから起こる。
無駄な時間を過ごしたかのように見えても、その感想そのものが、無駄ではなかったという証となる。
そうしたことから、振り返ってみて「くだらない」と思うことについては、存分にくだらないと思う方が良い。
199.言葉による肯定
肯定的な言葉は、あくまで意識の向きを気楽さの方に向けておくためのみにあり、それそのものに力があるわけではない。
この構造は、「今の気分がどうあるかということが全てである」というようなことをそれとなく示す。
200.決まっていることと決めること
あらゆる現象は、「予め決まっている」というふうに捉えることもできるし、不確定性の中で「今、決められる」というようなふうに捉えることもできる。
不完全な思考の上では、決まっていると思うことは決まっておらず、決められると思うようなことは、予め決まっている、というふうに見える。
それらはあくまで思考が生み出した感想であり、思考というものの不完全性により生ずる。
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