アフォリズム 181-190
- 181.成り行きと主導権
- 182.髭と脇
- 183.タイヤの細さと前髪
- 184.くだらなさ
- 185.何を待つのか
- 187.良好な関係
- 188.良心と怒り
- 189.良き思い出と感覚
- 190.罪と罰の副産物
181.成り行きと主導権
相手に任せたり成り行きに任せるということは構わないが、主導権を完全に渡してはいけない。ただ、完全に渡してはいけないもの、つまりここで言う主導権は、己の自我とは少し異なった部分である。
182.髭と脇
髭を生やす男の髭と、脇を出す女の脇は同列である。
183.タイヤの細さと前髪
タイヤの細いチャリに乗る男のうち、信号待ちで前髪を触っている者の割合は、かなり多い。
184.くだらなさ
くだらないと思うことすらくだらない。
こうした構造は苦と執著の関係を示す。
185.何を待つのか
気持ちや機会を含め、何かが生じることを待っているのか、それとも何かが消えることを待っているのか。
いずれにしても、待つのは構わないが、何かしらの対象についての観念は手放しておいた方がいい。
186.没頭
没頭すると「集中による楽しみ」が起こるが、限界までたどり着くとある種の虚しさが生じる。
187.良好な関係
追うことも追われることもない、という関係性が最も良好な関係である。
188.良心と怒り
どんなに嫌いな相手がいたとしても、その相手そのものより、その相手に言い返したり、鉄拳をくらわせなかった自分自身、そして自分を不作為に陥らせた一種の「良心」への怒りや憤りの方が強い。
そうしたものから逃れるには、対象に重要性をおかず、意識から離すということになるが、完全に逃れるには、自分自身の良心を含め一切の対象が空であることを観るしかない。
189.良き思い出と感覚
良き思い出も、何かの捉え方が変化すると、それほど良くないような印象に変わることもあり、時に恥ずかしさや憎悪を生み出すようなものとなり得る。
思考的な評価というのは朧気であり、注目すべきは感覚のみとなる。その場で思ったことは常に変化する可能性を含むが、その場で感じた感覚はそれそのままである。
190.罪と罰の副産物
現象が、幾多の外部要因が組み合わさった結果、様々な環境の結果であるとすれば、何の誉れも、何の罪もなく、ただ自然の結果であるということになり、称賛も罰も宙を舞うようなことになる。
ただ、そうした自然の結果であるということを根拠に罪と罰が成り立たないということになれば、好き勝手やられ放題となる。
そうしたことは社会としては困るというので、罪と罰による抑制を意図し、その副産物として、業績や名誉というようなものを対極のものとして生み出した。
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