車窓の外には、原野がひろがっていた

以前、奈良に行った時のことですが、友人に春日山原始林の方に連れて行ってもらったことがあります。春日大社の神山ということで伐採が禁じられていたからこそという感じのようですが、確かに何だか少し雰囲気が違うような気がしました。

さて、世の中には「ブルー・オーシャン戦略」として語られることがある経営戦略があります。まあ端的には、競合が多く労力の割に不毛な争いとなるようなレッド・オーシャンを避けて、競合がいない市場に飛び込みましょう戦略という感じです。

ちょっとした視点の変更で、全く競合がいないような市場を生み出すことができるという感じでもあります。まあ未開拓市場という感じですね。

しかしながらそうした「競合がいない市場」という部分だけが独り歩きすると、ズレたような事業を展開してしまうことにもなります。

と、そうしたズレた人については前日触れたので、今回は、レッド・オーシャンについてでも触れていきましょう。

レッド・オーシャン

ブルー・オーシャンの対義概念になるため、レッド・オーシャンは、競合が多く競争の激しい既存の市場という感じになりますが、何だかんだでそうしたものでないと、何にしてもイメージがわかないので、事業に限らず職業選びですらそうしたものを手にとってしまいがちというのが世間のあり方です。

何にしてもイメージがわかない

「将来何になりたいか?」という質問をした場合、相手がどんな人でもその人の中に概念化されているものしか出てきません。多少組み合わせ的なものはあるかもしれませんが、小学生であればその小学生が知っている限りの職業から選ぶのが普通だと思います。それが実際に会ったことのある大人の人なのか、フィクションの世界のものなのかはわかりませんが、一応知っている限りの中からしか出てこないという感じになります。

また、芸人さんのコントに学校の教室シーンやコンビニネタが多いのも、「共通概念としてみんながイメージできる」という意図もありますが、おそらくコンビニでバイトをされているか、していた経験があるからというものが大きいでしょう。

そのような感じで、ある程度の全体像が自分でも理解できているようなものに目が行くということになります。

「何となく全体像がつかめるもの」を安易に選ぶ

ということで、新規創業にしても「カフェをやりたい」という人が結構多く、そうした人たちがその選択をするという裏には、消費者側としてよく利用し、全体の流れが何となくつかめているからという感じになるのでしょう。

しかしながら、自分が容易に到達できるものは、他人も容易に到達できるということになるので、優位性が生まれにくいということは当然の法則です。

そして、消費者として接する部分に関しては現実感がつかめていても、その裏側にある様々な要因がまだ見えていないということはよくあります。

それにしても、そのような感じで「部分的であっても何となく全体像がつかめるもの」を安易に選ぶということがよくありますが、そうして部分的に全体像をつかめている人は他にもたくさんいるので、当然ながらレッド・オーシャンたる市場となります。

もちろんそこでしのぎを削るつもりで飛び込むのはいいですが、何かしら優位性を生み出すか何かをしないとおそらく少ないパイの取り合いで残った残り滓、おこぼれを頂戴するくらいになってしまいます。

まあたいていは、「オレの店」「ワタシの店」という一種のモテ狙いを含んでいるので、経済的な視点がそっちのけになったりします。

まあそうした感じで「イメージしやすいもの」を安易に選んでしまうということはよくありますが、イメージしやすさに比例して十中八九レッド・オーシャンという感じになります。

それでも事を進めれば、何かしらはつかめてきますし、実際に経験しないと見えないということもよくあるので、やりたければどうぞという感じです。

ブルー・オーシャンの抽出

普通にやってもジリ貧になるということで、「オリジナリティを出せば未開拓市場となり、ブルー・オーシャン的にいけるぞ」ということを思い、特異なことをやり始める人もいますが、まあよほど変なことでも人口が多いところならそれに響いてくれる人もいるかもしれないので、大都市圏であればチャンスはあるのかもしれません。

何にしても「競合相手のいない未開拓市場であればよい」というわけではなく、もちろんそこに少なからず需要がある必要があります。

そんな中、「競合相手がいない」という部分について「個性あふれる変なことでないといけないのか?」というと、そうでもありません。

実際に何かしら事業を進めていけば、お客の本音やサービスの本質というものを抽出していくことができるので、そうしたものをベースに「こうしたモノを待っていた」といってもらえるようなものを完成させればよいのです。

どうやって抽出するのかも非常に簡単でお客に教えてもらえばよいという感じになります。

その立場がアルバイトであれ何であれ、ちょっと一声をかけるだけで生データがもらえます。それが何年も蓄積すれば膨大なものになります。

単に消費者として観察するにしても、その業界のリアルをさらに知りたければ、友人とちょっと赴くという程度ではなく、一日中かつ2、3日張り込むくらいのことをすればいいのです。

それすらもできずに「自分のセンス」「自分らしさ」を押し売りできるほどなのかどうか、ということは社会が教えてくれるでしょう。

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