ブルグマンシア(Brugmansia、エンジェルストランペット)は、ナス科キダチチョウセンアサガオ属の低木~高木です。「エンジェルストランペット」という名の通り、印象的なラッパ型の花を咲かせます。かつては同属に分類されていたことからダチュラと呼ばれることもあるようですが、本来のダチュラである同じナス科のダチュラ属(チョウセンアサガオ属)は草本であり、近縁種でありながら一応別種となります。
ラッパ型の花
ブルグマンシアの花は、木にぶら下がる形で下向きにつきます。エンジェルストランペットの名の通り、トランペット型です。色は白色です。品種によっては黄色やオレンジ、ピンク系の花もあるようです。なお、ダチュラ属(チョウセンアサガオ属)は、草で上向きにつくようです。
木立ちであるブルグマンシアの幹
ブルグマンシア(キダチチョウセンアサガオ)は、木本ということで根本の幹です。「キダチ」という名がつくので、木という感じになります。
なお、木立ちではないチョウセンアサガオ(Datura metel)は、一年草で、草丈1mほど。茎が枝分かれしています。
ブルグマンシアの葉
ブルグマンシアの葉はこのような感じです。長楕円形ですね。

ブルグマンシア(エンジェルストランペット)葉2
学名:Brugmansia
天使は下を向き、悪魔は上を向く
よく混同される植物に「ダチュラ(チョウセンアサガオ)」があります。どちらも有毒で、ラッパのような花を咲かせますが園芸家の間では明確な識別方法が共有されています。
ブルグマンシア(エンジェルストランペット)は「木」であり、花は地面へ向かって「下向き」に垂れ下がります。対して、ダチュラは「草」であり、花は空へ向かって「上向き」に咲きます。 「天使(エンジェル)は空から人へ福音を告げるためにラッパを下に向けるが、悪魔は神に逆らうためにラッパを上に向ける」。この古い言い伝えこそが、最も詩的で忘れられない見分け方です。
「Yの字」より上にしか花は咲かない
もし、あなたの家のエンジェルストランペットが、葉は茂るのに一向に花を咲かせないとしたら、それは「まだ子供だから」か、あるいは「剪定(せんてい)を間違えたから」です。
この植物には厳格なルールがあります。幹が成長し、ある高さに達して初めて「Yの字」に枝分かれします。この分岐点こそが、植物が「大人(生殖成長)」になったサインです。花芽は、このY字分岐より上の枝にしかつきません。もし冬越しの際に、コンパクトにしようとしてY字の分岐点より下でバッサリ切ってしまうと、翌春はまた一から体を大きくするやり直しとなり、花を見ることはできなくなります。Yの字を残すこと。それが花への最短ルートです。
美しい名前に隠された「自白剤」の顔
「エンジェルストランペット」という甘美な響きに騙されてはいけません。この植物は、全草、特に種子や葉に強力なアルカロイド(スコポラミン、ヒヨスチアミン)を含んでいます。
南米コロンビアでは、この成分が悪用され「悪魔の呼吸(Devil’s Breath)」と呼ばれています。スコポラミンの粉末を顔に吹きかけられると、意識はあるものの自由意志を奪われ、他人の命令に無抵抗に従ってしまう状態(催眠状態)に陥ると言われています。自白剤や強盗に使われることもある、極めて危険な物質です。庭にあるだけで過度に恐れる必要はありませんが、樹液が目に入れば瞳孔が開きっぱなしになり、誤食すれば錯乱します。剪定の際は必ず手袋をし、子供やペットが近づかないよう配慮することは、所有者の義務です。
野生ではもう生きられない「孤独」
南米アンデス山脈が原産とされるブルグマンシアですが、実は、自然界(野生)の状態では絶滅したと考えられています(EW:野生絶滅)。
かつて彼らの種子を運んでいたのは、巨大なナマケモノのような、すでに絶滅した大型哺乳類(メガファウナ)だったという説があります。運び屋を失った彼らは、自力で種を散布することができず、森の中で子孫を残す術を失いました。今、世界中に咲いているブルグマンシアは、すべて人間が「美しい」と感じて庭に植え、挿し木で増やしたものだけです。人間の美意識という揺りかごの中だけで生き延びている。その繁栄は、ある種の危うさと隣り合わせの孤独の上に成り立っています。
夜8時に開く香りの扉
昼間に花の香りを嗅いでも、それほど強く感じないかもしれません。しかし、日が落ちて夜の帳(とばり)が下りると、彼らは豹変します。
夜8時頃から、むせ返るような濃厚で甘い香りを放ち始めます。これは、彼らのパートナーである「スズメガ」が夜行性だからです。暗闇の中で白い花がぼんやりと浮かび上がり、強烈な香りで遠くの蛾を呼び寄せる。視覚よりも嗅覚に訴える夜の誘惑。夕涼みの時間にテラスに出れば、昼間とは違う彼らの情熱的な一面(夜の顔)に触れることができるでしょう。
巨大な葉が求める「水と肥料」の暴飲暴食
この植物を育てる上で、「やりすぎ」ということはほとんどありません。特に夏場、彼らの食欲と喉の渇きは底なしです。
あの巨大な葉を維持し、次々と大きな花を咲かせるためには、驚くべきエネルギーを消費します。水切れを起こすとすぐに葉が垂れ、肥料が切れると葉の色が薄くなります。夏の間は、朝夕二回の水やりと、絶え間ない肥料の補給が必要です。上品な見た目に反して、その生理的欲求は極めて貪欲でエネルギッシュです。この野性的な代謝に付き合いきれるかどうかが、満開の花を拝めるかの分かれ道となります。
ナス科
- ナス科ナス属 ミニトマト(プチトマト)とマイクロトマト
- ナス科ナス属 ロッサビアンコとタイなす
- ナス科ナス属 ジャンボメークイン(じゃがいも)
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