バイスタンダー効果(bystander effect、傍観者効果)は、何かが起こっても、自分以外にも傍観者がいる時には自ら率先して行動を起こさないというような現象で、傍観者が多いほど、その効果は高いとされる。
対象者に援助が必要とされるような状況であっても、自分以外の他者が存在することを認知した瞬間に介入が抑制される現象がバイスタンダー効果(傍観者効果)である。
責任の分散、多数の無知、評価懸念といった要因
バイスタンダー効果(傍観者効果)が働く要因としては、責任の分散、多数の無知、評価懸念といったものがある。
端的には、
- 「え、みんな動かないから別に大丈夫なことでしょこれ?」
- 「え、俺が行っていいの?もしかして変な奴に思われる?」
- 「え、俺関係ないでしょ?みんな動かないから別に俺だけの責任じゃないでしょ?」
というような気持ちが働くから自らは行動を起こさない、というふうに解説される。
「助けを必要としている人がいるのに何故か誰も助けに行かない理由」を研究したラタネ(Latané, B.)とダーレー(Darley, J. M.)は、このバイスタンダー効果(傍観者効果)が働く理由として、責任の分散、多数の無知、評価懸念といった要因によって抑制効果が生起すると説明した。
傍観者の数が多かったり、自分より能力がある者が近くにいると強化される
このバイスタンダー効果(傍観者効果)、つまり「行こうかなぁ、どうしようかなぁ」といった介入の抑制の強さは、傍観者が多い場合や、「自分より能力がありそうな人がいる時」により強化される。
周りに人がたくさんいたり、救助の適任者と考えられる者、少なくとも自分よりは救助に適していそうな者が近くにいると、「自ら率先して行動を起こす」ということが起こりにくくなる。
バイスタンダー効果(傍観者効果)の根底として、自分は他人の中の一存在で、社会があって、自分がその下に属しているという錯覚から起こる現象ということになるだろう。
傍観者効果としての傍観者の心理
バイスタンダー効果は概ね「傍観者効果」として解説されている。これは緊急の救助が必要な場合だけでなく、いじめやパワハラ、セクハラ等々何かしらの問題が起こっていたとしても、それを傍から見ている第三者としては、「関わらないでおこう」という心理が働きやすいことをも意味する。
その第三者、つまり傍観者の数が多ければ多いほど、そうした「直接関わらず、傍観しておこう」という心理が強く働くというのが傍観者効果ということになる。
「みんなの意見を聞いてから」「多数決で決めましょう」「先生の指示があるまで待ちましょう」「こら、和を乱すな!みんなそんなことはやってないぞ」という義務教育がもたらした結果であることに気づいている人は少ないのではないだろうか。
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