ウェーバーの法則(Weber’s law)とウェーバーの法則を前提条件として成立したフェヒナーの法則(Fechner’s law)について。外界にはさまざまな情報(刺激)が存在しそれを感覚を通じて受容するが、刺激の物理量とそれに対応する感覚量との関係は、人間行動の基礎として重要であると考えられた。弁別閾がその時の刺激量に比例して変化するというウェーバーの法則は、特にフェヒナー氏に影響を与え、その後の「刺激量と感覚量との関係の探究」を目指す精神物理学(心理物理学)の展開に貢献した。
ウェーバーの法則からフェヒナーの法則が導き出されたが、これらを合わせてウェーバー-フェヒナーの法則(ヴェーバー-フェヒナーの法則)と呼ぶこともある。
ウェーバーの法則
ウェーバーの法則(Weber’s law)とは、ウェーバーの見出した弁別閾に関する経験的法則であり、弁別閾がその時の刺激量に比例して変化するという法則である。ある重さのおもりと異なった重さのおもりとを比較させて、その相違を弁別できる最小の値(丁度可知差異、just noticeable difference、jnd)の測定、すなわち重さの比較の弁別閾の測定から、弁別閾が、その時の刺激量に比例して変化することである。この関係は刺激が重さの場合だけではなく、視覚的な線分の長さや聴覚的な音の高さなどの場合でも成り立つ。たとえば、重さの分別であれば、100gと103gが弁別できた場合、おもりが200gの場合には、206gの時にその違いが弁別できるという感じである。なおどのような刺激量についても成り立つわけではない。
ウェーバーの法則を定式化すると次のようになる。
⊿I(弁別閾)/I(重さ)=k(ウェーバー比。各感覚モダリテイに固有の定数)
⊿I=KI
フェヒナーの法則
フェヒナーの法則(Fechner’s law)とは、刺激の物理量とそれに対応する感覚量との関係を数量的に示したものであり、感覚の大きさEは刺激強度Rの対数に比例すること。心理的な感覚量は、刺激の強度ではなく、その対数に比例して知覚されるという法則である。ウェーバーの法則を積分し、対数法則で示した。なお、刺激強度の限定された範囲内でしか成立しない。
フェヒナーの法則は次のように示される。
E(感覚量)=C log R(刺激の強度)
例としては、10gの重さを感覚的に2倍にするためには、単純に2倍の重さであればよいということにはならず、100gの重さが必要になるといった形になる。
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