今回は「うめぼしの謎」特集です。同世代の方にしかほとんどわからないと思いますが、「うめぼしの謎」は90年代半ば、スクウェアエニックスになる前のエニックスより出版されていた「月刊少年ギャグ王」で連載されていた伝説的4コマ漫画です。
やはりなんだかんだで少年期の頃に人格の基礎ができるような気がします。コロコロやボンボンから背伸びする同級生は、ジャンプやマガジン、サンデーの方に行きますが、僕たちの小学校では少年ガンガンと少年ギャグ王が圧倒的に優勢でした。
「何で笑うか?」という感性の基礎が出来上がるような年頃に、どのようなものに触れていたかで笑いの軸がある程度決まってしまうような気がします。
思えば、僕が小学校高学年だった1995年や1996年は、テレビをつければダウンタウンのごっつええ感じ、マンガとなればギャグ王、とりわけ「うめぼしの謎」、そして習い事の先輩から教わるのは「行け!稲中卓球部」という感じだったので、このような変な性格になってしまうのは必然だったのでしょう。
「清涼飲料としての誤謬」で、うめぼしの謎の「超絶甘党の集い」や「紅ヒ―」について触れていましたが、先日、本棚を整理していると「うめぼしの謎 1」「うめぼしの謎 2」「蔵出しうめぼしの謎 完全版」が出てきたため、先のページに画像を追加してみました。もちろん著作権者は三笠山出月氏です。
アフィリエイターのように本を紹介して紹介料をもらうということを意図していないため、リンク設置などはしませんが、著作権を明確化するためにページ下記に引用元本のISBNなどを掲載いたします。
「うめぼしの謎」という検索流入もちらほらあったのですが、Googleの方を調べてみると、このキーワードの検索インデックス数があまりに少ないので、もはや世代交代的に風化されているのではないかと思い、同世代のうめぼしの謎ファンのためにも、そして次世代に受け継ぐためにも少し書いてみようと思ったしだいです。
基本的に何かを引用することはあまりしないのですが、僕の原点に関するものであり、テキストベースでは表現できないので今回に限っては、少し引用させていただこうと思います。もちろん著作権者は三笠山出月氏であり、問題があれば指摘していただければと思います。
ちなみに「うめ謎」と略されることもありますが、僕と同級生はフルネームで「うめぼしの謎」と呼んでいました。主人公の名は一応「ムササビ」ということになっているようです。
欄外に書かれた落書きが大好きでした。
この影響で未だに3月3日のひなまつりになると「ひまなつり」というワードが頭を流れてしまいます。
つい3週間前も、この漫画を思い出してしまいました。
思えば僕のひねくれ具合は、こうしたうめぼしの謎の言葉遊びが原点となっているような気がしてなりません。
デザインより本質的な機能を重視するのも、おそらくうめぼしの謎の影響でしょう。
顔が良くてもネタが面白くなければ芸人として失格であるように、絵がうまくても内容がイマイチだったらやはり意味がないように思いますし、絵が上手くなっていったとしても、それは本質を補うような要素にしかならないというような感じがしています。
絵のシンプルさ然り、枠外の落書き然り、面白ければそれでいいのではないかというものをこの時に叩きつけられた気がします。
思えば哲学的思考、パラドクスの発見などは、うめぼしの謎が原点となっているような気がします。
ひねくれていると言えばひねくれているのですが、言語の解釈可能性の中の具体例の真偽の証明において、トートロジー的なもの以外は他の具体性も可能性としてあり得るというような面、そしてトートロジーは無意味であるとうようなウィトゲンシュタイン的な思考方法が癖付いたのも、うめぼしの謎の影響ではないかと思っています。
小学生の時に培ったこの世界観、世界解釈の方向性は、後に中学生になった僕に論理的思考力を発達させ、担任の先生に呼び出しを食らっても逆に先生を論理で説き伏せ「先生を帰らせない」というような中学生にしてしまいました。
といってもやはり言葉遊び的、落語的な言語上のエッセンスはあったとしても、小学生が大好きな感覚的な面もしっかりと反映されており、そうした複合的な要素が絡み合って、うめぼしの謎は小学生の僕を虜にしました。
「とうめいにんべん」も面白かったですね。
こうした面がたくさん含まれているため、ふとした時に頭に漫画の世界が蘇ってきてしまいます。
ちょっとした音、ちょっとした仕草、それがきっかけとなりうめぼしの謎の世界観がまた僕を少し微笑ませてしまうという感じです。
面白さと同時に、思わずギュッとしたくなる感覚を覚えてしまいます。
うめぼしの謎キャラクター人気コンテストの応募総数は715通ということのようですが、そのうちの1通は僕であり、おそらく数通は僕の小学校の同級生です。
同級生と三人くらいで三笠山出月氏にファンレターを送ったことがあるくらいです。
ギャグ王自体がややマイナーな月刊漫画雑誌であり、時代も95年96年位ですから、うめぼしの謎は同世代の一部の人を除いてほとんどの人が知らないような作品という位置づけになっているのかも知れません。
三笠山出月氏は、デビュー当時高校生であり、僕たちはその頃小学生でした。同級生と枠外の落書きを入念に読み込み、関西人であることに喜びを感じていたという思い出があります。
小学生の時にこの漫画に出会えて本当に良かったと思います。
「うめぼしの謎 1」ギャグ王コミックス ISBN4-8-87025-613-4 C9979 著者 三笠山出月 発行所 株式会社エニックス(現スクウェアエニックス)定価本体485円 初版 1996年1月12日
「うめぼしの謎 2」ギャグ王コミックス ISBN4-87025-632-0 C9979 著者 三笠山出月 発行所 株式会社エニックス(現スクウェアエニックス)定価本体485円 初版1996年10月12日
「蔵出しうめぼしの謎 完全版」ISBN4-88653-459-7 C9979 著者 三笠山出月 発行所 株式会社大都社 定価本体1143円 初版 2003年1月10日
最終更新日:
BOSSUさんとほぼ同世代の人間です。
こちらの記事を見てこの漫画を思い出しました。20年以上一度も思い出した事もなく
存在すら忘れていたこの漫画の記憶が蘇り
とても懐かしい気分になりました。
美しい思い出です。
コメントどうもありがとうございます。
懐かしい気分になっていただけたのなら何よりです。
僕は雛祭りと「ひまなつり」が関連付けられているため、よほど忙しい時期でない限り毎年3月に思い出してしまいます。