好一対への下馬評

何かの現象を評価・判断する時、既に持っている知識の中からしか評価をすることができません。その時に既にある知識と知識が組み合わさったりして新しい判断基準ができることもありますが、概ね今までの間に培った知識・経験則からしか評価や判断をすることはできないという感じです。

そう考えると、世間での評価・ランキングなどいかにあてにならないものかということがよく分かるはずです。

そうしたものは恣意的に操作されたものである可能性を排除できませんし、評価の基準を支える知識すら怪しいという面もあります。

そんなこんなで世間での評価・ランキングから派生して、偽物やバッタモンについて触れていきましょう。「偽物やバッタモンが出る」ということは過剰な評価がその裏にあるということにもなります。

偽物やバッタもんの普及

僕が中学生の頃にエアマックスが流行っていました。特に高値で取引されていたのはエアマックス95であり、その時流に乗ってかたくさん靴屋ができたりしていました。

エアマックス95が爆発的に流行し、異常なまでの高値がついたりしていました。その後継であるエアマックス96も予約の段階で「予約の取り合い」のような感じになっていたりしました。

そんな中、あまり京都では実感がありませんでしたが、東京の方では偽物もよく出回るようになり、時代が進むにつれて類似品もたくさん出回るようになりました。

「AIR」の部分が透明プラスチック

NIKEの売りである「AIR(エア)」の部分が透明のプラスチックでできていたりという感じです。そんなモノが大型スーパーにすら並ぶような時代に突入したのです。

エアマックス95の偽物の方は、靴紐を通すところの数がおかしかったりしながらも、エアの部分は一応本物っぽくしてありました。一方、バッタもんの方はエアっぽく見せる気もなく、固いプラスチック製となっていました。

実はその部分は裾で隠れがちなので、長めの裾にしておけば遠目からはエアマックス95に見えるという感じでした。

そうしたものが、京都の大型スーパーでも売り出されるようになりました。

四本ラインや二本ライン

もちろんエアマックスだけでなく、adidas(アディダス)なども対象となり、靴だけでなくジャージなどでも四本ラインや二本ラインなどがよく出回るようになりました。

まあラインを描くくらい仕方がないだろうと思いつつも、アディダスの三本ラインに合わせて、四本ラインや二本ライン、時に五本ラインが描かれつつ、その部分以外はアディダスの模倣というような感じのものがたくさん出てきたりしました。

レプリカといえばレプリカであるが、バッタもんのような廉価ブランド

また、ジーパンも同様に台頭していました。古いLEVIS(リーバイス)はもちろん、そのレプリカ系などが高値で取引されていました。いわゆるヴィンテージジーンズというようなものや、そのレプリカの流行です。

そんな中にあって、リーバイスのレプリカブランドといえばレプリカブランドですが、バッタもんのような廉価ブランドが大型スーパー、衣料品量販店においてちらほら売られていたりもしました。

「バッタもんコーディネートを流行らせよう」

そんな中、中学校には制服で通っていたものの、休みの日にはもちろん私服で遊ぶということになります。

おそらくお母さんが「おそらく今の時代はこれだ」という感覚で買ってきてくれたのでしょう、ある時友人が四本ラインの靴にELVISと書かれたジーパンでやってきたことがありました。

だいたいの感覚で判断しているという良い例です。

「こういうやつを最近よく見る」

という感覚で選んできてくれたのでしょう。

これは僕が小学生の時に経験した床屋で「くるんと外向きに流す髪型をされた」という「マッチ=トシちゃん現象」と同じような感覚です(人は何度のリバイバルを経験するのか?)。

特に触れなくても良いのに、誰かがそれをツッコんでしまいました。彼はその時深い傷を負ってしまったようでした。

しかし、そんな彼を見て僕たちはみんなである提案をします。

それは「笑いの一環としてバッタもんコーディネートを流行らせよう」です。

エアマックス95の類似品はだいたい2000円位でした。4本ラインのスニーカーなど地元の商店街で680円位で売っている感じでした。

ということで、ある者は親にねだり、ある者はお年玉貯金を崩す形で、こぞって「バッタもん」を買いに行きました。

そんな中、一歩抜きん出ようとするものは、「新京極の修学旅行生相手の土産物屋」に行き、どこかの業者がおそらく無許可で作ったであろう「白黒プリントのX JAPANのTシャツ」などを揃えていきました。

なかなか面白みのある時代でした。

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