ザイオンス効果

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ザイオンス効果(単純接触効果(mere exposure effect))は、ザイアンスの単純接触効果、ザイアンスの法則とも呼ばれる。単純接触効果は、繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果。1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンス氏(Robert Bolesław Zajonc)の論文により知られるようになった。

ザイオンス効果・単純接触効果とは、「ある刺激に繰り返しさらされることで、刺激に対する態度の変化が生じる」という効果であり、単純な接触を繰り返すと相手は自分に好意的になるというもので、営業マンが研修で必ずと言っていいほど習う心理効果である。といっても、対象は人間関係だけにとどまらず、人を代表例として物やブランド・企業などの概念も対象になる。

接触回数に比例して好意的になるザイオンス効果・単純接触効果

人は最初は対象に対して、冷淡な態度をとるが、その対象への印象が「ダメ、無理」なものでない限り、その対象に触れれば触れるほど、会えば会うほど好意を持つようになる、というようなことで、ザイオンス効果は「得意先には頻繁に顔を出せ」ということの裏付けのように言われる。

ザイオンス効果は「単純接触効果」とも表現され、単純な接触を繰り返すと、ある程度接触回数に比例して好意的になるということを意味するが、その条件として、接触時に「マイナスの印象がつかないこと」というものがある。

プラスの印象で無くても良いが、最低限無属性・フラットな関係として単純に接触すると、上限はあるもののある程度接触回数に比例して好意が増すという事になっている。

生存本能的危険回避の欲求

ザイオンス効果(単純接触効果)の本質はとても簡単で、人間の生存本能的な危険回避の欲求が奥にあり、リスクに対する安心の確認というものがその本質である。

生存本能を本質とするアイツこと自我は、危険回避を最優先する。ということで、見ず知らずの人に対しては、その属性が把握できていないので、ひとまず原則危険であるという判定をする。

なぜなら、その見ず知らずの人と出会っていなかった時、つまり過去の経験の延長では、ひとまず「その人が現れる前の状態は危険ではなかった」という記憶がある。ということで、出会う以前でも生存は叶っていた所に、人との新しい出会いは一種のリスクであり、得体の知れないものに対しては警戒を抱くというのは本能的な危険回避として通常の反応である。

「無属性・フラット」以上の印象の単純な接触を繰り返すと、ある程度接触回数に比例して好意的になる

ザイオンス効果は「無属性・フラット」以上の印象の単純な接触を繰り返すと、ある程度接触回数に比例して好意的になるということになるが、これはそうした接触において「危険ではなかった」ということを学習していくことがその本質である。だからこそ以下に単純な接触を繰り返していたとしても、それがマイナスの印象の場合には心理効果は発揮されない。

初対面で起こる「警戒」

初めて会う人は一応得体が知れないため、原則初対面では警戒するものの、「危険ではなかった」という学習をしながら、表情や言動等々相手の属性を朧気ながら把握していくことができるので、「把握できている領域・相手の属性」に比例して危険回避の反応が低減していく、というのがザイオンスの単純接触効果の本質になるであろう。

単純接触効果の対象

ザイオンスの単純接触効果の対象としては、人だけでなく物なども対象となる。パソコンや携帯電話が登場した時にはそれに警戒していた人たちも、街にありふれるようになってから使いだしたりするのが良い例となる。

所詮アイツこと自我は、生存本能を発端としながら、関連性で成り立っている。今までの経験で把握した情報の塊によって「自分が見る世界」が形成されており、その世界の中に無いものは危険因子として見るというのが本性である。

ということで、今まで自分の世界になかったものが自分の世界に現れるということは単なるリスクでしか無く、その新しいものが自分にもたらす危険性やメリットを単純な接触で、少しずつ把握して危険回避の反応を減らしていくという感じになる。

ザイオンス効果・単純接触効果の例

ザイオンス効果は、直接的な接触でなくても、名前と顔の一致があればその効果は発揮される。特に無属性によく見る顔や名前は、繰り返し何度も相手の意識に入ることができれば、それだけである程度までは印象が上がっていく。

このザイオンスの単純接触効果を狙って、安物のコンサルが書いた本に触発されたサムライ業や保険屋などがソーシャルネットワークで自分の名前が表示されるように「いいね」を乱発している。

これは「名前が表示されれば単純接触になる」「顔が写った投稿が見られると単純接触になる」ということから単純接触効果による好感度アップを狙っている。

しかしそんな安い考えは素人は騙せても、その法則つまりザイオンス効果を狙ったものだな、と気づいている玄人の方には当然に見抜かれ、「寒いなこいつ」と思われているので注意しよう。

人間的な「ほっこりする側面」の好感度

さらにザイオンスの単純接触効果として、人間的なほっこりする側面をみせられたらさらに好きになる、ということも説かれているので、意図的に子供の写真などを見せたりもする。そのことはただの騙しとは言わないが、少しは邪念が含まれていると考えられる。そして玄人にはそのことを見抜かれている。

その場合、本当に邪念無しなら「ダメ、無理」から「まあいいか」くらいには昇格する可能性もあるが、大抵は「こういう側面を見せれば、印象が上がる」とスケベ心でやっていることは見抜かれているので「まあいいか」に転ずることはない。

単純接触と印象

ザイオンスの単純接触効果は印象がフラット以上である必要がある。それは、本質的に初対面のものに対して危険回避の本能を持っているからである。単純な接触の回数に比例はするものの、最低限「普通の印象」である必要があるというような感じになるだろう。

しかし、「あの行動はザイオンスの単純接触効果を狙っているスケベ心が発端となっている」と見抜かれれば、必然的にフラットからマイナスの印象へと移行するはずである。

つまり「心理テクニックを使って騙そうとしている」という印象がつく。騙そうとしている行動を取る人は危険因子であるから、本人の意図とは裏腹にマイナスの印象がついてしまう。

今ここで知れてよかったですね。胡散臭いコンサルさん、マルチの方、士業、保険屋のみなさん!

ラポール

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Category:心理学

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