何ゆゑにこのあやしきをかたり出で給ふや

理屈が通っていないような「何を分けのわからんことを言っておるのだ?」と思わざるを得ないようなことを譫言のように言ってくる人がいたりします。

もちろんその人にはその人なりの理屈があって言っているのでしょうが、「さっき言っていたことと今言っていることが違う」とか、「全く関係のないことを関係あるかのように語る」という場合がよくあります。

それは暑さや疲れなどで頭が回っていないという場合もありますが、人によっては原因は別にあって、何とか現状の不快感を解消したいと思いつつ、それがうまくまとまらず意味不明のことを口走ってしまっているというような場合もあります。

嫌な大人の「素直さの欠如」

子供心に「大人って嫌だなぁ」と思う局面のひとつは、「言っていることが変ですよ」とツッコんだ時に素直さがないという場面です。

素直と言っても、そのまま言うことを聞きなさいと言っているわけではなく、「冷静に再考してください」とか、「もう一度自分の言っていることを整理してください」という意味であり、物事の理屈をきちんと把握して受け入れられる場合は受け入れなさいという程度のものです。

しかし、変にパワーバランスとして相手の方が上だったり、両者の力が均衡している場合は素直さがなく意味不明であるのに反発が起こるという厄介なことが起こってしまいます。

対する相手によって変化する素直さ

基本的に「みんな素直だなぁ、良い世の中だなぁ」と思っているのですが、そういえば最近親友の奥さんに「そんなことはない」と言われたことがあります。

親友は僕と話す時は素直なので、彼も素直だと思っていました。しかしながらこう言うと語弊がありそうですが、彼の素直さについて「それはあなたが話すからですよ」と親友の奥さんに言われてしまったりしました。

親友の一人は、カラカラのスポンジが水を吸うように思いっきり素直なのですが、奥さんの言うことは全くに近いくらい聞きません。

もちろん友達なのでパワーバランスというものを意識したことはありませんが、振り返って考えてみると、20年以上何かしら僕のほうがパワーバランスで勝っているように見える状態で過ごしています。

なので、何かしら助言をするとすぐにそれを受け入れてくれるのですが、家庭ではそうでも無いようで、奥さんの話は聞かず、反発してキレて家の壁に穴を空けてしまったりしたこともあるようでした。

きっかけは単に「チラシの上に置いておいた時刻表を奥さんが捨ててしまった」ということからそこまで発展してしまったようでした。

相手の素直さが発揮されるか否かはこちらの力量に左右される

ということを突き詰めて考えていくと、時と場合によりますが、意味不明のことを言っている人もその時はかなりの混乱があるだけであり、反発なく相手の素直さを引き出すという点についてはこちらの力量に大きく左右されるのではないかということです。

となると、あの人には素直さがないと言う前に、相手の素直さを引き出すための己の力量が不足しているのかもしれない、というような構造が成り立ちそうなものです。

意味不明なことの代表例は八つ当たりです。

八つ当たりといえば直接関係があるような無いようなことを、諸悪の根源かのように指摘して非難してくるというようなものになります。

そうしたものがやってきた場合においても、相手を冷静にし、素直さを引き出すという点に関しては、こちらの側の力量がモノを言います。

見方によれば、ただ何かしらうまくいかず、不快感の取り除き方がわからずに混乱しているという憐れさがあるのですから、温かい目で見守らねばなりません。

しかしながら、時と場合によっては、そんな横暴さを焼き滅ぼすという方が正しいという場合もあります。

何ゆゑにこのあやしきをかたり出で給ふや。

暑さか混乱か。

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お互いに素直であれば仕事は驚くほどうまくいく

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