なにやらいかがわしい憶測

新入社員研修の時、ある男性講師の方が「疑わしい」という文言について「うたがわしい、ですよ。いかがわしい、じゃないですよ」と強調されていました。

きっとその方としては、いわゆる鉄板ということだったのでしょうが、さほどウケることはなく、聴衆たちには流されていました。

その後、「パワーで押し切る」ということを意図されたのかはわかりませんが、再度「うたがわしい」を強調されていました。リベンジということなのかはわかりませんが、やはり聴衆との間には微妙なズレがあり、変な空気が流れていました。

如何わしい行為というフレーズが、その方界隈では、一種のブームであり、ひとつのユーモアの常套句として成り立っているのでしょう。

しかしながら、やはり若干下の方に寄っているので、場に応じて顰蹙を買うことは避けられません。

そうした一種のユーモアが通じるのは、ある程度の仲以上でないと厳しいですし、異性がいて「それに反応すると嫌われるかもしれない」と、変に気を遣わねばならないという緊張感がある中では、変な空気しか流れないという感じになってしまいます。

新入社員時代の研修で思い出しましたが、また別のある男性講師の方は、「控除」の「控」について、あろうことか「肉づきに室」を書かれてしまいました。

無意識によってもたされた「うっかり」ではありますが、その人の内側に無いものは出てきませんし、重要度に応じて「咄嗟に出てくるものの出現の確率」は異なるので、いわば本音が出てしまったということになるのでしょう。

まさに「なにやらいかがわしい憶測」が場内に漂い、女性社員はもちろん男性社員も、身を引いてしまい、どのように取り扱えばいいのかわからずに、配布資料等に目をやるしかなくなったというような感じになりました。

僕としては、この後どう振る舞うのか、ということに関心があったので、前を向いていましたが、あまりにうつむいている人が多く不審に思ったその講師の方は、後ろを振り返り、また、前を振り返り、また後ろに振り返って急いで書き直しをしていました。

その時、一瞬見えた顔は、まるでリアクション時の西川きよし氏のような目で、思わずということなのか、笑うのでもなく喉の奥から軽く「ブッ」っと音がして少しばかり唾を飛ばしていました。

その後は、何を話されても上の空、聞いている方も上の空という感じになってしまいました。

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