ラベリング効果
ラベリング効果とは、ラベリングされレッテルを貼られることで、そのレッテルに合わせるように心理が誘導されてしまうという効果。ラベリングが言語的媒介過程を通して学習、記憶に影響を及ぼすことがラベリング効果である。 「あなたは頭がいい」と言われ続ければ、本当に頭が良くなったり、「あなたはいい人ですね」と言われ続けていれば「良い人」であろうとする心が働くといった具合である。 ラベリング効果は、学習記憶に影響を与えるという形になるが、期待に沿うようにとラベリングされたことに合わせてに心や人格が誘導されるという現象であると考え
アンビバレンス(アンビバレンツ)効果
アンビバレンス効果(ambivalence)とは、両面価値や両価感情と訳され、同一の対象に対して、相反する感情や態度を同時にもつ現象およびその現象による心理効果のこと。相反する感情を同時に起こったり、相反する態度を同時に示すことがアンビバレンスである。なお、ドイツ語の「ambivalenz」から「アンビバレンツ」とも呼ばれる。こうした相反する両面の感情が同時に起こった時、どちらか一方の感情が抑圧され、抑圧されたものが行動に影響を与えるというのがアンビバレンス効果(アンビバレンツ効果)である。 目の前の現象自体は無属
リボーの法則(リボーの逆行律)
リボーの法則(Ribot’s law/リボーの逆行律)とは、記憶の忘却に関する経験則で、記憶障害や進行性痴呆などの場合において、忘却が新しい記憶から古い記憶へ、また単純な記憶から複雑な記憶へと進行すること。直観的な予測とは反対に「新しい記憶」から忘れたり、「複雑な記憶」から先に忘れたりする現象。「リボーの法則」の名称は、フランスの心理学者・精神病理学者、哲学者であるリボー氏から。名前の綴りからリボットの法則と表記されることもある。 最近覚えたことの方がよく記憶されていそうなものだが、「私ご飯食べたかしら
エンメルトの法則
エンメルトの法則(Emmert’s law)とは、「残像の大きさは、眼から投射面までの距離に正比例する」という法則である。 このエンメルトの法則は、残像の見えの大きさに関する法則であり、残像の見えの大きさは残像が投影される面までの距離に比例するが、投影面までの物理的距離だけでなく見えの距離も影響を及ぼすとされる。なお、この法則は、投射距離が一定範囲を超えると成立しない。 残像の大きさを確認する例として、ストロボを用いて、至近距離のものと奥にある壁の残像の比較をするとわかりやすい。残像の見かけの大きさは距
レストルフ効果(孤立効果)
レストルフ効果(Restorff effect/孤立効果)とは、記憶材料の中に異質項目があるとその再生がよいという心理効果。孤立の程度は項目間の相対的関係によって決まるが、項目の類似性と異質性は知覚的にも意味的にも捉えることができる。そうした中、記憶をしていく上で、異質の項目があったほうが記憶を呼び出しやすいという効果がレストルフ効果である。 記憶する材料のリストの項目は、互いに似ている場合と異質の項目を含む場合とがあるが、無意味綴り・図形・数字・文字・色を組み合わせて、記憶材料の中に異質項目があったほうがその再生
バラード-ウィリアムズ現象
バラード-ウィリアムズ現象(Ballard-Williams phenomenon)とは、有意味材料の記憶で数日程度の比較的長い時間間隔で生じるレミニセンス(一定時間経過後の方が記憶を想起しやすくなる現象)のこと。 詩や散文などの有意味材料を記憶した場合、記銘直後よりも2、3日後の方が保持成績が良いことがバラード-ウィリアムズ現象である。 バラード-ウィリアムズ現象のメカニズム バラード-ウィリアムズ現象が起こるメカニズムとして、学習時には、「正反応」と同時に「妨害的反応」や「誤反応」も学習されるが、それらは急速に
ワード-ホブランド現象
ワード-ホブランド現象(Ward-Hovland phenomena/ワード-ホヴランド現象/ワード-ホブランド効果)とは、無意味材料の記憶や運動学習で数分程度の比較的短い時間間隔で生じるレミニセンス(一定時間経過後の方が記憶を想起しやすくなる現象)である。無意味綴りなどの記憶材料で数分内の短い時間内に見られるレミニセンスが、ワード-ホブランド現象である。 換言すれば、ワード-ホブランド現象とは、「無意味なことに対する記憶」や動きなどの運動においては、学習直後よりも数分後(概ね10分以内)の方が思い出しやすいという
レミニセンス
レミニセンス(reminiscence)とは、学習直後より一定時間経過後の方が学習成績が良くなる現象のこと。記憶の保持は時間経過とともに一般的に減少していくが、時に記憶直後よりもある時間を経過した方が再生がよい場合がある。レミニセンスはそうした「条件によっては一定時間が経ってからのほうが、記憶をより想起できる」現象のことを示す。 通常、記憶実験における記銘材料の再生や運動学習において、その学習の成績は、学習直後から時間の経過とともに低下するが、条件によっては、学習直後より一定時間を経過した後の方が成績がよい場合があ
ネオフォビア(新奇恐怖)
ネオフォビア(neophobia/新奇恐怖)とは、自分の知らない新しいものには恐怖心を抱いてしまうという心理で、今まで慣れたものとは異なる新奇な刺激に接したとき、それを非難したり恐れたり避けようしたりとすること。 このネオフォビアは、本能的な心理であり、生存本能として「生き延びること」を最大の目的とした場合、今までどおりでも生きてこられたのだから、新しいもの、未知のものは基本的に危険であり避けるべきであるというような本能を発端とする。 逆に言えば慣れ親しんだものは「それが何であり、どのような属性で、どのような機能を
ロストゲイン効果
ロストゲイン効果とは、希少価値効果(希少性の原理)をさらに高めたような心理効果であり、「ラスト1つ」といった形で、限定的でその後機会が消失してしまうことをイメージすることによってもたらされる欲の刺激のこと。 期間限定や数量限定といった希少価値によって購買意欲などが促されるという現象をさらに強化し、あと一つで入手チャンスなどが失くなってしまうことを危惧する形でもたらされるのがロストゲイン効果である。ゲイン(gain)とは、獲得や入力を意味するため、「入力が絶たれる」「入力経路が消失する」「獲得することを喪失する」とい
クレイク-オブライエン効果(コーンスウィート錯視)
クレイク-オブライエン効果(Craik-O’Brien effect/コーンスウィート錯視/コーンスイート錯視)とは、明るさ知覚に関する現象(錯視)の一つで、同一輝度の面に明暗のある境界線を引くと隣接している側の明暗がどちらかによって線によって分割された各々の面全体の見え方か変化する現象である。 このクレイク-オブライエン効果(コーンスイート錯視)は、一様な輝度分布の面に明暗2本の線からなる境界線を隣接させ二分しているとき、輝度の高い線に接する側は全面が全体に明るく見え、輝度の低い線に接する側は暗く見え
アロンソンの不貞の法則
アロンソンの不貞の法則とは、関係性が強い人からの評価よりも関係性の希薄な人から受ける評価の方が承認欲求が満たされ嬉しい気分になるというような心理効果である。 単純には、内輪から褒められるより、友達の友達くらいの関係の人から褒められる方が、「内輪びいきがないだろう」ということで嬉しくなるというような効果である。おかあさんに「それ似合っているよ」と言われるより、たまたま紹介された友達の友達に「オシャレを教えてください」と言われる方が嬉しいというような感覚である。 このようにアロンソンの不貞の法則は、長年の付き合いのある
スティンザー効果(スティンザーの3原則)
スティンザー効果(スティンザーの3原則)とは、アメリカの心理学者スティンザー氏の研究による「小集団における心理的効果・原則」で、主に会議中の心理の法則である。次の3つの原則で示されるため、スティンザーの3原則と呼ばれる。 ①会議の時に正面に座る人は、反対意見を持つ人、過去に激しく口論になった人が多い。 ②会議の時に、ある発言があった後、次に発言する人は意見に反対である場合が多い。 ③会議の議長の主導権が強い場合は、隣同士の人達の間で私語が多く、主導権が弱い場合は、正面に座る人同士の私語が多い。 スティンザー効果(ス
ロミオとジュリエット効果
ロミオとジュリエット効果(Romeo and Juliet effect)とは、困難・障壁がある方が気持ちが燃えるという心理効果で、元はもちろんウィリアム・シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」から。 困難・障壁によって恋心は燃えやすくなる ロミオとジュリエット効果は、特に恋愛において、困難・障壁がある方がかえって恋心が燃えやすいという効果であり、逆にそうした障壁が取り除かれると急に熱が冷めるという側面も持っている。 交際を誰かに邪魔されたり、反対されたりすると、当の本人たちは逆にそれを乗り越えようと燃え上がって
ヴェブレン効果
ヴェブレン効果(Veblen effect)とは、高級志向を意味し「羨ましがられたい」という心理に支えられた「高価で高級品であること」を理由にそれを支持する心理効果である。顕示的(衒示的、誇示的)消費の元となる心理効果として働く。なお、対象となる消費物はヴェブレン財と呼ばれる。 物の機能や本質ではなく、それが「高級品である」ことを理由に支持する心理であり、ブランド志向の根底にある心理であると言える。おっさんのベンツ、夜のドンキホーテでのルイヴィトン、そして徳川家の日光東照宮などが最もわかりやすいだろう。 奥にあるス
スノッブ効果
スノッブ効果(snob effect)とは、多数派嫌悪といった形で、多数の支持を集めているものを嫌う心理効果である。「人気のあるもの」を人気があることを理由に嫌い厭うといった心理である。 人気があるもの、多数派のものに対して「人気があるから嫌いだ」「多数派には便乗しない」という形で嫌悪感を示す。 このスノッブ効果は、単純にはバンドワゴン効果の完全逆バージョンであり、「勝ち馬に乗る」「多数に与する」ということを否定し、「多数に支持されているようなものに自分は同調しない」というのがスノッブ効果である。いわゆる「あまのじ
アンダードッグ効果
アンダードッグ効果(underdog effect)とは、判官びいきの「劣勢支持」であり、負け戦をしている側を支持し応援するという心理効果である。負け犬を応援するというような働きのことを指す。判官びいき効果と呼ばれることもある。 「判官びいき効果」と呼ばれる場合の「判官贔屓(ほうがんびいき、はんかんびいき)」とは、蓋然性の高い事実を元に冷静な物事の判断をしようとせず、弱い立場にあるもの、不利な立場にあるものに同情して判断を歪めることを意味する(狭義には悲劇の英雄に対する同情から起こる贔屓)。 劣勢にあるものを応援す
ポジティビティ・バイアス(ポジティビティ効果)とバランス理論
ポジティビティ・バイアス(ポジティビティ効果)とは、後述するバイダーのバランス理論(p-o-xモデル)を三者関係の認知の問題に適用した場合、p(自己)とo(他者)の間のポジティブな感情関係が全体構造に強い影響を及ぼすこと。 ネガティビティ・バイアス(ネガティビティ効果)とは異なり、自分と相手の間のポジティブな感情関係が全体構造に強い影響を及ぼして、相手への好印象が、相手や相手を含む周りの環境をも好意的に解釈するという効果を指す。 なお、ポジティビティ・バイアスには、複数の用法がありそのうちの一つは、寛大効果と同じ意
ネガティビティ・バイアス(ネガティビティ効果)
ネガティビティ・バイアス(ネガティビティ効果)とは、評価的にポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が情報価が高く、人が行う判断に大きな影響を及ぼす傾向があることを指す。生存本能による恐怖心が自我の根底にあるため、危険回避の方向性で解釈するのは当然であり、印象形成における情報統合過程では、ネガティブな情報はより大きな比重を示すということが、ネガティビティ・バイアスの要因として考えられる。 ネガティビティ・バイアスが生ずる原因としては、日常的に出現頻度の少ない情報にはより大きな注意が向けられるという点や、ネガティブ
ボッサードの法則
ボッサードの法則とは、物理的な距離が心理的な距離に影響を及ぼすという効果で、特に男女間の感情の親密度において物理的距離が近いほど心理的な親密感が増すという効果である。 「いかに近い距離にいるか?」が、両者の親密度に大きく関わるというような感じで、近距離恋愛や遠距離恋愛について語られるような「住んでいる場所」といった物理的距離をはじめ、部屋の中といった身近な空間における物理的距離も心理的な親密度に影響を与えるというような法則性である。 例えばこれは同じ学校に通っている間は仲が良かったものの、進学や就職により物理的な距
ゲインロス効果(獲得-損失効果)
ゲインロス効果(獲得-損失効果)とは、人が他者から褒められたりけなされたりという対人的評価を受けた場合、最初の評価から評価が変化した際における一貫性などが影響を及ぼすという現象を指す。ゲインロス効果は、心理効果の働き方の方向によって「獲得効果」と「損失効果」として分類することができる。 他者からの評価において、最初から最後まで正の評価をした人よりも、負から徐々に正へと変化した人の方が好かれるというのが「獲得効果」であり、最初から負の評価をした人よりも、正から負へと変化した人の方が嫌われるというのが「損失効果」である
リンゲルマン効果
リンゲルマン効果(Ringelmann effect)とは、社会的手抜き現象を意味し、一人で作業する場合と、たくさんの人で作業した場合を比較した場合に、一人あたりの作業量が低下する現象。作業を行うメンバーが増えれば増えるほど一人ひとりの出す力は弱まっていくというような効果である。 このリンゲルマン効果はいわゆる「綱引きを一対一でやった時と集団対集団でやったときでは、一人あたりの力の入り具合が低下する」といったような効果であり、「自分一人が行ったり頑張ったりしても仕方ない」という感じでバイスタンダー効果(傍観者効果)
ゴーレム効果
ゴーレム効果とは、期待された通りに悪い方になってしまうという効果で、「馬鹿だ」と言われ続ければそうした期待通りに馬鹿になっていき、「ダメ人間だ」と言われ続ければ本当にダメ人間になっていくという効果。消極的な期待のとおりに、成績やパフォーマンスが低下するという心理効果である。 言葉によって期待されたりしながら「期待される通りにそのような人間になっていく」というピグマリオン効果がネガティブに働いた場合を指し、周りの人間の期待と「成績や人格の形成」に因果関係があるのならば良い方にばかり働くのではなく悪い方にも働くというこ
エンハンシング効果
エンハンシング効果(enhancing effect)とは、内発的動機を持つ人には「すごいねー」などの言語的報酬・外部の称賛がやる気を生み出すという心理効果。自発的に好きでやっていることに対して、そのことを肯定されたり(認められたり)することで嬉しくなってしまうという効果で、アンダーマイニング効果を逆から捉えたような効果。 アンダーマイニング効果は、内発的動機づけによる行為に対して、お金などわかりやすい報酬を与えるなどの「外発的動機づけ」を行った場合逆にそれが目的化し、やる気がなくなっていくという「やる気低減現象」
クレスピ効果
クレスピ効果とは、報酬の量の急変によって行動が変化する現象で、報酬の量が減少した場合、やる気が無くなり行動が遅くなるという効果。単純には報酬の量は行動に影響を及ぼすという効果である。これは1940年代にクレスピ氏によって発見されたことから「クレスピ効果」と呼ばれる。 「報酬の量が減ればやる気が無くなる」といった形で報酬量の変化と行動の変化を示したのがクレスピ効果であるが、この「報酬」とは、動物ならば食物、人間ならばそれに加えて金銭的報酬といったものがそれにあたる。 クレスピ効果の実験 このクレスピ効果は、「ネズミに