bossu のすべての投稿

観想的な生活の評価のために

―結局学問はやはり万人に対して非常に利益になるものになった。この利益のために現在実践的な生活を営むように予定された極めて多くの人々が、その顔に汗し、しかもずいぶん頭を悩まし、呪いながら、学問への道を歩んでいるが、しかしそのような労苦は思想家や学問研究者の群の責任では全くない。それは「自家製の苦労」なのである。 曙光 41 苦労というものはすべて自家製です。自家製なのですが、その原因を外部的に作り出す人も外から見れば確かにいます。すべて自家製だからといってほかの人が何もやっていないかというとそうではありません。 苦労

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プラシーボ効果

プラシーボ効果(プラセボ効果、偽薬効果)とは、本物の薬のように見える外見をしているが、薬として効く成分は入っていない偽物の薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられるという効果。それに加えて、思い込みによる成果の増大など、科学的観測ができないが効果が現れてしまった時にひとまず賢そうな人が使う免罪符的言い訳。 なお、プラシーボと呼ぶかプラセボと呼ぶかは「placebo」という字をどうカタカナに直すかというだけの問題である。プラシーボ効果の意味としては偽薬効果ということで、偽薬を使ってもそれを本物の薬

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プライミング効果

プライミング効果は、先行刺激の処理によって、後続刺激の処理が促進または抑制される効果。あらかじめある事柄を知っておくと別の事柄を把握しやすい、記憶しやすい、思い出しやすい、またはしにくいというような当たり前のこと。先行刺激はプライム(プライマー)、後続刺激はターゲットと呼ばれる。ピザピザピザ、肘の時に少し回答が遅れたりするようなことも近いかもしれない。 プライミング効果は、予め何かの情報に触れると、その後の情報処理が促進されたり抑制されたりということになる(なお、関連なさそうなことでも、先行刺激によって影響されてい

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習慣の穿鑿

穿鑿は「せんさく」と読むそうです。穿(うが)ち、穴を掘ること、から根掘り葉掘りというような意味合いで使われるようですが、「刷新」という言葉を使って普通に生きていてはあまり使わない単語を見せて「なんだかすごい」というような関心を引き寄せようとするようなことで、「読めへんよ」と一瞬感情を沸き起こさせることが目的ですから、あまり気にしてはいけません。 字は違いますが、「詮索する」も「根掘り葉掘り詮索する」という風に使われるように、穿鑿も「根掘り葉掘り穿鑿する」という感じになるのでしょう。 詮索と穿鑿 ただ、印象として詮索

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フォールス・コンセンサス

フォールス・コンセンサス(false consensus)とは、「世のほとんどの人が自分と同じ意見をもち、自分と同じ行動をするだろう」と考える心理である。つまり、自分の考え方ややり方は普通で正当だと思い込みやすいという義務教育の成れの果て。フォールス・コンセンサス効果(false consensus effect)、偽の合意効果、総意誤認効果とも表現される。 「他人はどう考えるのだろうか?」とか、「他の人ならばどのように選択するだろうか?」とか、「そうした時の行動としてみんなはどうするのだろう?」というようなことを

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「純粋な精神」の偏見

純粋な精神、純粋な人、そういう時に使われる「純粋」は、純粋ではなく愚かなだけの可能性が高いでしょう。無知が一番の元凶と言われますが当然です。 ここでいう無知は、「日本語を知らない」とか「テストの点が悪い」とかいうものではありません。純粋すらアイツに利用されます。 そういう観念、ラベリングがあると、「純粋、あるがまま」といっても、キャンバスにペンキをぐちゃぐちゃに塗って「何にもとらわれない芸術」という結果を生み出す原因になります。 無知と純粋 じゃあ何が無知なのか。何が純粋ではないのか、ということに疑問が出てくるでし

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フィキシングソリューション効果

フィキシングソリューション効果(定着液効果)というのは、友人などを媒介して間接的に自分の評判を伝えることで、相手に好印象を与える手法のひとつである類似したウインザー効果の別バージョンのようなものとなるが、第三者媒介のウインザー効果との相違点は、相手がぼんやり思っていることを第三者がそれと同意見のことをこっそり言うと、「ほっこりする」というようなものになる。つまり、印象が強化されるというより確信になるというようなことになるだろう。 フィキシングソリューション効果は、忘れられてしまいそうな印象、ぼんやり「そうなのかなぁ

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ピグマリオン効果

ピグマリオン効果(ローゼンタール効果、教師期待効果)とは、周りの期待に応じて、その人の能力が向上するような効果。人間は期待された通りに成果を出す傾向があるというようなことで、教師の期待によって学習者の成績が向上する、というようなこと。 端的にピグマリオン効果とは、周りの人間から期待された「人格、人間像」に合わせるように人格が変化したり、能力が向上したりするというような効果である。 「本当の君はできる子だ」という事を言ってみたりすることや「うちの学校はエリート校だから」というような評価をふんわり伝えることで、「自分は

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道徳的な判断によって変形された衝動

ニーチェはとにかくキリスト教を筆頭に、宗教的な前提を否定することが大好きで、道徳という言葉を使う場合、そのほとんどは古代ギリシャやキリスト教的な前提をさしていて、ひたすらそれを目の敵にしています(対象はイエスではなくキリスト教会などです)。それほどまでに想像を絶するほどに西洋文化にはその影響が隅々にまで及んでいたのでしょう。 「道徳的な判断によって変形された衝動」ということで、宗教的な前提や考え方の影響が本質的な理(ことわり)の理解の邪魔をするという点についてでも書いていきましょう。 何かしらの宗教的な前提や立場的

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バーナム効果(フォアラー効果)

バーナム効果(フォアラー効果)は、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を自分だけにあてはまる正確なものと捉えてしまう現象。つまり占い師の策略に乗ってしまうというようなことである。 「過去に大きな悲しい出来事がありました」と言われれば、自分の記憶の中から勝手に探してしまう。それだけでなく○○タイプというような分類についても、少しでもその要素があれば「それが本当の自分」というふうに勘違いしてしまうようになる。 人の性格というのはだいたいの傾向はあるが、周りの環境、時期によって、また、一日のうちでも真逆

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効用からの誤った推論

守護霊が見えたから、やっぱり守護霊はいるんだ、というような事を本気で信じている人がいますが、そういうことはやめておいたほうがいいでしょう。 やめろといってもどうせそのままは聞き入れないことくらいはわかっていますから、やめておいたほうがいい、というふうに言っておきますが、それは存在を肯定しているわけではない、ということは断言しておきます。 「それを守護霊と呼ぼうが構わない」という類ではありません。「時にそれは魂や真我と呼ばれるが、その人には守護霊というふうに出てきた」というような類ではないということです。そんなものは

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夏の七草

夏の七草です。1945年6月に日本学術振興会学術部 野生植物活用研究小委員会が、戦時中の食糧難の時節にも食べられる植物として、次の7種類を「夏の七草」に選定したそうです。 藜(あかざ) アカザ科アカザ属の一年草。畑や空地などに多く、葉はゆでて食べることができるようですが、シュウ酸を多く含むため生食には適しないようです。ホウレンソウもアカザ科のようでホウレンソウ系の味がするようです。うさぎはシュウ酸を含むものは食べられません。ということは、ホウレンソウもダメですが藜もダメのようですね。 白藜(シロザ)の新芽の粉が紅色

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バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、ある物やサービスに多くの需要がある場合、それに対する需要が大きくなる効果である。つまり「流行りもんに乗る」であり、「売れているものだから買おう」「みんなが使っているものだから欲しい」というような心理である。猫も杓子もスマートフォン、友達のお母さんでもSNSであるから、レイトマジョリティ、B層の発想と言えるだろう。 バンドワゴンとは「行列の先頭の楽隊車」、端的には勝ち馬に乗るというようなことで、アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタイン氏(Harvey Leibenstein)が提唱した

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底意ある馬鹿げた畏敬

上下関係についてはさんざん書いてきましたが、すこし違ったアプローチをということで、「だからどうした」について触れていきましょう。 昔々の営業先で、はたまた社内で、「自分の旦那はこんなにすごい」とか「うちの会社はこんなにすごい」というような事を話題にしたがる人がいました。 そんな時には、事実というより現在の状態について何か誇らしげに主張しているわけですが、「だからどうした」と言われれば全て終わりです。 それを聞いた相手が、その誇らしげな事柄に感心する隙を持っていなければ「だからどうした」で終わりです。それは僻(ひが)

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感情とその判断からの由来

「君の感情を信頼せよ!」― しかし感情は最後のものでも最初のものでもない。感情の背後には判断と評価があり、それらは感情(傾向、嫌悪)の形をとってわれわれに遺伝している。 曙光35 感情は今の状態の一つの指針で、「その場」に限って言えばそれが全てみたいなものですが、それはすぐに流れていきます。 たまたま訪れた感情にも、その原因があります。その原因を目にも止まらぬ速度で判断して評価しています。 そしてその感情の原因は信念であり、固定観念です。それに現象としての条件が整った時にある種の感情が湧いてきます。 「席を譲れ」と

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ハロー効果

ハロー効果(光背効果、後光効果)とは、物事や人を評価する時に、特徴的な一面(すぐれた/劣った)に影響され、その他の側面に対しても同じように評価してしまうこと。その対象の他の側面、もしくは全てがすぐれている(ポジティブ・ハロー効果)/劣っている(ネガティブ・ハロー効果)というふうに勘違いしてしまうこと。 ポジティブ・ハロー効果 恋愛においてもマーケティングにおいてもよく利用されるハロー効果であるが、これは単純にポジティブ・ハロー効果なら「高級車に乗っている人ならば信用できそう」であるとか、「高級腕時計をしている人なら

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道徳的な感情と道徳的な概念

これだけ道徳、道徳、と繰り返していては、道徳が好きなのかと思われそうですが、繰り返したくないのに繰り返さざるを得ない、これが特別企画の醍醐味です。 道徳の厄介なところは、それを教え込まれてきたから信じ込んでいる、という側面を持ちつつも、その要素に気持ちがスッキリするというものが含まれている点です。また、社会的に見た時にはそれが妥当、というようなことも含まれているので、取り扱いが難しかったりします。 そういうわけで「道徳教育の難しさ」と「いじめ防止」について触れていきましょう。 道徳教育の難しさ 道徳教育を行おうと思

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内発的動機づけと外発的動機づけ

内発的動機づけと外発的動機づけについて。何か物事を成すときには手前に動機がある。人が動機を持つ時、その動機が自発的で内発的なものであるのか、それとも外部からの強制力などを持った外発的なものであるのかによって、動機の性質が変わってくる。 内発的動機づけ 内発的動機づけは、外的な賞罰による外発的な動機づけに対して「その動機が引き起こす活動以外の賞には依存しない動機」である。 環境刺激が適度の新奇性や複雑さをもっている場合、内的な標準と外的刺激の適度な不一致、あるいは不調和がの状態が内発的動機づけを誘発する。 不一致が小

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春の七草

春の七草として七草粥を食べたことは数回しかありませんが、見直してみるとうさぎの好物ばかりです。七草粥を食すという風習は、中国より伝来し、日本では平安時代初期にに宮中や幕府の行事として伝わり、その後庶民へと広まって来たようです。 1月7日(人日の節句)に食べるのが一般的な風習のようですが、旧暦なので現在の2月にあたります。 春の七草は、芹(せり)、撫菜(なずな)、御形(おぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、鈴菜(すずな)、清白(すずしろ)の七種の植物です。なお七種と書いて「ななくさ」と読む場合もあります

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バジル二世

バジル

我が家の住民、バジル君たちです。 バジル(Basil)はシソ科メボウキ属の多年草です。和名はメボウキと言うそうです。バジリコはイタリア語のようです。成長初期段階では草のような茎ですが、成長すると木になっていきます。シソ科なので大葉くんと同じような実のつき方をします。 イタリア料理によく使われるハーブとして有名なバジルですが、健胃、食欲増進作用があるようで、品種は50種以上にもなるそうです。 1年草と説明されることがありますが、バジルは本来多年草であり、1年草という表現は日本の気温が寒すぎるから耐えられないというだけ

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原因や結果や現実の軽蔑

結局現実的なものは、それが象徴でありうるかぎりにおいてのみ、まだ価値があるのだと考える。こうして人間は風習の倫理に威圧されて、第一に原因、第二に結果、第三に現実を軽蔑し、すべての彼の高級な感覚(畏敬や、崇高や、誇りや、感謝や、愛の感覚)を、想像された世界、いわゆる高級な世界と紡ぎあわせる。そしてやはり今日でもわれわれは、人間の感情が昂まる場合には、何らかの方法であの想像された世界が働く、という結果を見るのである。悲しいことである。しかしいつかは学問的な人間にとってすべての高級な感情が疑わしくなるに違いない。 曙光3

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同調効果

同調効果は、相手に自分と共通の事柄があると安心感や親近感を覚えるという心理効果である。そして、人は人の意見に対して同調してしまう習性がある。これに関してはアッシュの実験が有名である。同じ集団に属している場合は、だんだん態度が似てくるという傾向がある。 また同調効果と呼ばれるものとしてミラーリング効果というものがある。このミラーリング効果は、好感を寄せている相手の仕草、表情、動作を無意識にまねたり、 自分と同じような仕草や表情をする相手に好感を抱くような効果を意味する。 同調現象 相手と共通の事柄があると安心し、親近

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輪止め

道徳的に苦しみ、その上この種の苦しみの根底には誤謬があると聞くこと、これは癪にさわることである。 ― 道徳の新しい理解を阻止するものは、誇りであり、誇りを満足させる習慣的なやり方である。 曙光 32 省略しましたが、ニーチェは曙光のこの箇所(曙光32)で苦行ジャンキーについて触れています。 苦行を筆頭に、「苦しめばカルマが消える」「体を厭い痛めつければ浄化される」という思想から「努力そのものを賞賛する」といったものまで、苦しみや忍耐、自己犠牲を美徳とするものはこの世にたくさんあります。 そして「苦しむ」、「忍耐する

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テンションリダクション

テンションリダクションとは、緊張と弛緩から自我の防衛機能が低下し、心理的に無防備になるという効果・現象である。緊張している状態からホッとして緩んだ時、その瞬間に心理的なガードが緩むことを意味する。 テンション(tension)は、物理においては張力、心理においては緊張を意味し、リダクション(reduction)は、減少や縮小、削減、還元と言った意味があるので、テンションリダクションとは緊張が弛緩するという感じになる。その時に自我は弱まり、心のファイアーウォールが弱まるという感じになる。 重要な出来事や重大な決断の時

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精神に対する誇り

「誇り」というものは、勝手に内側にとどめておくか、第三者への賞賛の場合に使うようなものです。この言葉の使い方を間違えれば、誇りはただの優越感であり、高慢であり、後ろめたさへの自己説得になってしまいます。 本来自分自身が持つ誇りは、自分自身で納得しておくようなものです。また、誰かを勇気づける時に用いたりするという場合もあるでしょう。しかし「これが私の誇りである」と言い放ちつつ、誇りを卑怯な手段として利用する人たちもいます。 ということで「誇り」と称する傲り、強がりのような、優越感、高慢、後ろめたさへの自己説得について

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